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一時帰国で感じた「日本人の”親切さ”」

今回の記事も、内容の関係上、大きな主語で書くことになりますが、予めご了承いただけますと幸いです。

あと、タイトルとは違って、イイ話ではありません。

先日、1年ぶりに日本に一時帰国しました。ドイツ生活も4年目(通算9年目)に入り、ドイツの生活に身体が馴染んできたからか、今回の一時帰国では外国人感覚で日本に滞在することになりました。

特に今回衝撃を受けたのは、「日本人の冷たさ」です。

総じて日本人は冷たいです。

誰に対して冷たいかというと、見知らぬ他者に対してです。
よそよそしさを超えて、無頓着。いや、嫌悪感さえ伝わってくる。

街を行き交う人、電車の中、店の中など、生活する上で見知らぬ人と接触することは避けられません。そして、日本で感じたのは、極力他者と関わろうとしない、干渉もしないし干渉されたくない、そういう冷たい空気でした。

驚いたのが、道を譲っても、ぶつかりそうになっても、「ありがとうございます」も「すみません」も何一つ言わずに、むすっとして、何なら迷惑そうな表情を顔に浮かべて通り過ぎていく人が多いことでした。

こんなにギスギスしていたっけなあ…と思ったものです。

まあ、私が世間一般には「おじさん」の年齢になり、こんな人に声をかけられても怪しいというのもあるかもしれません。

ただ、だからこそ余計に、お店での過剰すぎる親切な対応との差が際立って、どうしても違和感が拭えなくなるのです。

ニコニコしながら完璧な接客をしているこのスタバの店員さんも、
きっと外では、困っている人の傍を無表情で通り過ぎるんだろうなと。

私も他人に偉そうなことは言えないのですが、やはりこのギャップには愕然とします。

確かに、「お客様と店員」というように、役割を与えられる場合には、日本人の親切な対応や気配りやおもてなしは世界でも群を抜いています。

物凄く嫌な言い方をすれば、お金絡みの関係では、日本人はすごく優しい。

これで本当に「おもてなしの国」と言えるのかどうか・・・。

どうしてそう思うかと言うと、ドイツでは他者(見知らぬ人)との交流が日常的に当たり前に起きているためです。

ぶつかりそうになったり、道を譲ったりしたら「すみません」「ありがとう」の会話を交わすのはもちろんのこと、

道に迷っている人がいれば誰かは声をかける、お年寄りがベビーカーのお客さんがバスやトラムに乗ってきたら何も言わずに席を譲り、

さらには隣に座った人同士で他愛もない会話が花開くことも日常茶飯事です。

よその人に話しかける、見知らぬ人から話しかけられる、のハードルが、日本より段違いに低いのがドイツです。

なので、こう・・・日本に帰ると、知らない人にもちょっと声をかけたくなってウズウズするのです。良くない、良くない。

ドイツのサービスの質の悪さは世界一ですが(自分の感想)、こと個々人に関して言えば、ドイツでの生活のほうが人間味がある気がします。

結果、日本が悪くてドイツが良い、と言いたいわけではありません。
日本にも今でも田舎ですとか、あるいは都会でも昔はもう少し温もりのある交流が日常的にあったような気がします。

その雰囲気が失われていき、個々人が他者に無関心になり、無関係な個々の人間がたまたま同じ空間を共有しているだけかのような感じが、久々に日本に戻ってきた人間としては淋しく感じたのでした。

これは個人主義とは言わないと思います。
単に、社会という人間の集団の中で、個々が交わらず遊離しているだけ。
一方、本当の個人主義社会であるドイツでは、
人々は知人や友人以外の輪でも「つながっている感じ」がします。

どうしてこうなのか?

私は「迷惑」に関する両社会の向き合い方の違いに原因があると思います。

日本人は、他人に迷惑をかけるな、世間に迷惑をかけるな、と言われて育ちます。迷惑はとにかく否定されます。

迷惑を互いにかけないことで、一応は多数の人が嫌な思いはしないで過ごすことはできます。

ただ、そのせいで相手に対しても同じように自分に迷惑をかけないことを強く求めてしまう。要は自他に対する要求が高く、厳しい。

世の中には本当に迷惑な人もいますが、中には、色々な事情から、本人の意思とは無関係に、迷惑をかけてしまう人もいます。総じて、社会が求めている振舞い、いわゆる「普通」の振る舞いができない人に厳しい社会が日本社会だなと感じます。

一方、ドイツ人は、「迷惑はかかるもの」という前提をしていると私は思います。

「迷惑はかけてはいけない」と迷惑を否定するのではなく、「迷惑はお互いかけ合うものだ」と迷惑の存在を受け入れているのがドイツ人社会です。

ドイツは「お互い様」の社会です。

そうすると、誰かが困っているときには助けよう、自分だってどこかで相手に迷惑はかけているんだし、という考えで個々人が行動するので、自然と他者の迷惑に寛容になっていきます。

これは、現地語や現地の風習に不自由しながら暮らす外国人としては本当にありがたいことなのです。「普通の振舞い」ができない異邦人にとっては、こういう社会に居場所を見出すことができます。

だからと言って、日本は悪い、ドイツは良い、と片付けたいわけではありません。日本はやっぱりドイツよりずっと住みやすいと思います。これも社会的な同質性が高いからだと思います。

この2つの社会のハッキリとした違いが、興味深いと思ったのです。
そして、こういう「人間味のある感じ」が日本では(特に都会)なかなか感じられなかったのが、寂しく感じられたのでした。

自分の言いたいことが上手く書けたかどうかは分かりませんが、以上が私が一時帰国した時に感じた両社会の差でした。

意外と、日本人の気づいていないところで、「日本人は冷たい」という印象を外国人に与えているかもしれません。
「おもてなし」というのは接客業をしている人だけがするものではなく、同僚や近所づきあい、さらには都会の雑踏からも始まることを、私も一人の日本人として気に留めておきたいと思います。

なかなか言いにくい話ですが、ここまでお読みいただきありがとうございます!!

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