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陸上競技場を満席に!

ずいぶんと日が経ちましたが野球のワールドベースボール・クラシック(WBC)は盛り上がりましたね。私も子供の頃に野球をやっていましたし、今や国民的なスターになった大谷翔平選手をアスリートとしてとても尊敬しているので、大会期間中は夢中で応援していました。

WBCを見ていて気になったのは大谷選手がインタビューで「これからの野球人気」を意識したコメントをしていたことです。日本国内で不動の人気があり、競技人口も多いのに、野球界も将来の姿に危機感を感じているということでしょう。またメジャーリーグでは今シーズンから試合時間を短縮するために「ピッチクロック」を導入するようになりました。ルール変更に賛否両論あるようですが、こうした改革は野球というスポーツをさらに魅力あるものにしたいという意思から生まれたのは間違いないでしょう。

日本国内で他のスポーツを見ても、サッカーをはじめとしてバスケットボール、バレーボール、ラグビーなどは新たに手を打ちながら人気獲得に努めています。例えばバスケットボールはチアリーディングで試合を盛り上げ、また子供向けにキッズエリアを用意して遊べるようにするなど様々な形でファンを魅了し、観戦を楽しめる工夫をしています。こうした取り組みが協会や関係者によって戦略的につくり上げたことは容易に想像できます。では陸上界はどうでしょうか。1年くらい前にこんな記事を書いたことを思い出しました。

箱根駅伝の人気は確かにすごいものがありますが、陸上競技全体としてみれば「観るスポーツ」として人気を確立しているかというと、正直、不十分と言わざるを得ないでしょう。以前にも書いた通り、ひとつの提案として大会では選手の顔と名前、出身地などの情報を積極的に出すべきではないでしょうか。大会主催者がこうした取り組みをするのは観る人へ向けた最低限のサービスなはずです。そしてこれも繰り返しになりますが、箱根駅伝はそうした情報がテレビで詳細に伝えられるために人気が出たのです。初めて陸上競技を観る人は選手の個性や特徴を競技の姿からだけで知ることはできません。そのバックグラウンドなどの情報を得ることで興味を持ち、知識を増やして応援するようになると思うのです。

日本選手権でも空席が目立つ。有料で梅雨開催はつらい。5月であれば選手も観客も青空の下で楽しめるのでは。


もっと電光掲示板の活用を!
寂しすぎる

また、もっと競技を絞った大会があってもいいでしょう。私は毎年5月に宮崎県延岡市で行われる長距離の競技会、「ゴールデンゲームズinのべおか」がとても好きで、できるだけ選手を参加させたいと思っています。(今年は関東インカレが翌週にあるため、残念ながら不参加)実業団選手も多く参加するハイレベルな競技会ということはもちろんですが、長距離に特化していて選手とファンが近く、他にはない盛り上がりを感じるからです。ファンの皆さんが日本のトップレベルのパフォーマンスを身近に感じ、応援している姿を見ると、こちらのモチベーションも上がります。またここではジュニアのレースも行われるため、未来のアスリートの育成にも貢献しているのです。「あの舞台で走りたい」と夢見る中高生は陸上長距離界にとっての財産です。また旭化成を中心に自治体や地元企業、学校などが一体となって大会運営する姿もひとつのモデルと見ることもできます。

選手とファンの距離が近く、盛り上がる!
(ゴールデンゲームズinのべおか)

私が提唱したいのは「スモールアスレティクス」です。大きな陸上競技場でいろいろな種目が行われる陸上の大会もいいですが、これからは小さな競技場で小規模の大会を増やしてはどうでしょうか。短距離だけに特化した大会、投てき種目に特化した大会などもあってもいいと思うのです。「ゴールデンゲームズinのべおか」のように観るべき対象が常にひとつの種目になれば、競技の面白さをさらに知ってもらうことができるでしょう。ルール説明や選手紹介も、より丁寧に行うこともできますし、選手と直接、触れ合う機会も作れるはずです。そして選手にとっても通常の大会より注目されますので、きっとモチベーション高く臨めるはずです。

近年はネットによるライブ配信も多く行われるようになりました。4月に城西大学も参加した「関東私学七大学対校戦」もネットで配信され、私も一部競技で解説を務めましたが、おかげさまで好評だったと聞いています。「スモールアスレティクス」であってもこうしたテクノロジーを使えば、ただ大会の模様を伝えるだけでなく、選手や競技の魅力を日本中に広めていくことができるでしょう。スポーツにおいて情報発信の重要度は増す一方です。それは大学スポーツでも同じことだと考えています。

陸上競技の魅力を多くの人に知ってもらうための工夫を!

結局、1年前とほとんど同じことを書いてしまいました(笑)いうまでもないことですが、陸上競技はスポーツですので、「競う」と同時に「楽しむ」意味合いを忘れてはなりません。「観る人」を巻き込んでこそ、「やる人」の楽しさも増すはずです。いつか大きな陸上競技場を満席にすために今、何ができるのか。私自身、様々な取り組みに積極的に協力していきたいと考えています。

まもなく、久しぶりに関東インカレの応援合戦が始まる


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