おしまい
あの日の事はね、多分一生忘れられないと思うんだ。
息をしたいんだけど、冷たい空気が入ってくるばっかりで上手く吐けなくて苦しくなっていく感覚とか。指先の感覚がピリピリ鈍くなって来る感覚とか。頭までドンドン響くような動悸とか。
ああやっぱり、あなたはそんなことする人じゃないもんねって安心できる、違う、違う、ちがうはずって最後まで信じてたんだよ、私も、きっとこの子も。
おしまいだね。
貴方がどう感じているか知らないけど、私の中ではもうおしまい。エンドロールも終わって、私とこの子だけの第2章が始まったよ。
この子の父親で、私の大好きで大好きで仕方なかった夫は、第1章で死にました。