研修中の店員しかいないコンビニの話

ある日、別居している母親に荷物を届けなければならなかったため、宅急便を利用することにした。

ご存じの方も多いと思うが、宅急便はコンビニからも出すことができる。

自宅から徒歩数分のところに行きつけのコンビニがある。

だからいつも通りそのコンビニに荷物を運ぶことにした。

初夏で日が完全に暮れた、おそらく午後7時頃だったと記憶している。

店内に荷物を運ぶと、研修中と名札に書かれた同じくらいの年頃の男の子が受け付けてくれた。

荷物を入れた段ボール箱をカウンターに置き、「宅急便で荷物を送りたいんですけど」と言った。

家にある適当な段ボールに荷物を詰め込んだので、その箱にはおそらく以前使用した時のバーコードが貼られていた。

すると研修中の店員はなぜかそのバーコードをピッと読み込もうとした。

正常に処理されるはずがない。

再度そのバーコードをピッ。

ちょっとイラッとした。

おそらくメルカリで配送するときの手続きのような感覚で貼られていたバーコードを読み取ろうとしたのだろう。

仕方がないのでもう一度「えっと、宅急便で荷物を送りたいんですけど」と言った。

「宅急便、、、」と研修中の店員。

すると三度目のピッをやろうとした。

流石にイライラが加速した。

多分宅急便の手続きが初めてなのだろう。

私も困ったので心の中で「誰か来いよ」と思いながらあたりを見回した。

すると隣でレジを打っている若い男の店員の姿が見えた。

しかし、その店員の名札にも「研修中」の文字が書かれている。

「はぁ〜〜〜!?」それしか思わなかった。

その店員もレジ打ちが終わると、こちらに来て研修中店員同士で話合うもその店員も分からず。

しばらくしても一向に他の店員を呼びに行く気配がない。

しかもその店員は結構平然としていて私よりも肝が据わってやがった。

「普通逆だろう。」そう思った。

これは協力しながらやるしかないと開き直った。

私はこれまでにも同じように何度か宅急便で荷物を送ったことがあるので、ある程度どのような流れで手続きを行うかは知っていた。

「多分、どっかに配送用の紙があると思うんですけど」

店員が紙を探そうとする。

念の為、「着払いで」と言っといた。

どうやら紙があったようだ。

宅急便で荷物を送った経験はあったが、コンビニでバイトをしたことがあるわけではないので詳しいことは知らなかった。

お届け希望日の欄があり、なるべく早く届けたかったので「最短でいつ届きますか?」と聞いた。

店員が試しにそれらしい情報が出そうなバーコード等を読み込んだがダメだったようだ。

「わかりません。」と店員。

思わず「えっ、そんなことあるんですか?」と聞き返してしまった。

それでは希望日が書けないではないか。

「ちょっと待ってください、」と店員。

何か閃いたようだ。

送り先の住所を記入すると、ようやく最短お届け日がわかったようだ。

その日時を記入しその他の必要情報も記入した。

「お願いします。」と紙を渡すと「〇〇円です。」と言われた。

「着払いって言ったじゃーん。」心でそう叫んだ。

やはりそれも分かっていなかったようだ。

「これ、元払いの紙みたいなので着払いの紙ください」と言ってもう一枚の紙を持ってきた。

今度は間違いなく着払いの用紙のようで記入を済ませ、心配なので自分の目で確認を行った。

最後に控えと思われる紙を受け取り、ハンコを押していないのに違和感を感じ、念のため印を押してもらった。

「はぁ〜〜〜。」荷物を送るだけで消耗してしまった。

冷や汗までかいて、「勘弁してくれ」純粋にそう思った。

アルバイトが大変なのはわかるからその場では怒らなかったが、「本当俺でよかったな」そう思った。

あの店員も悪いけど、研修中の店員二人だけってのもおかしい。

いや、絶対おかしい。

研修コンビニ店員。

ご注意ください。







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