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脚本家・黒澤明が凄い

2022 10/14(金)
 
銀座にある国立映画アーカイブで「脚本家・黒澤明」という展覧会を観てきた。実にうまいタイトルの付け方である。
映画監督ではなくて、脚本家の黒澤明。
確かに黒澤明は脚本を書いているが、いつも複数で書いているイメージがある。一人で書くよりいいアイデアが生まれるからという理由で黒澤明の作品の多くは単独では執筆してない。
だが、展示物を観て驚いた。
黒澤明が一人で書いた映画の脚本が多くあったのだ。
ではなぜ俺はそれを知らなかったのか。以下、その作品を列挙すると
「幡随院長兵衛」
「虎造の荒神山」
「陽気な工場」
「達磨寺のドイツ人」
「静かなり」
「美しき設計」
「翼の凱歌」
「森の千夜一夜」
「青春の気流」
「愛の世界」
この中の一本でも知っているだろうか?
俺が知らなかっただけなのか、黒澤明ファンなら当然の知識なのか。
さらには、「喋る」という題名の、演劇の脚本まで書いていた。
一体、いつこんな脚本を書いて、映画にしていたのだ。
展示物をまじまじ観ていると、これらは映画監督としてデビューする以前、助監督時代に書いたものであるということが分かった。
しかも、その数本はゴーストライターとして執筆しており、黒澤のくの字もクレジットされていない。どうりで知らない訳である。
この展覧会は凄い。来てよかった!
途中からは、「七人の侍」など誰もが知っている名作映画の共同脚本が網羅されているばかりでなく、20世紀FOXが作った映画「トラ!トラ!トラ!」の脚本では、オリジナルのタイトルが「虎 虎 虎」と表記されていたり、映像化されることはなかった「黒き死の仮面」では、アニメーションを取り入れるシーンを考えていて、黒澤明は、この脚本を手塚治虫に読んでもらって相談したというエピソードがあったり、初の連続ドラマを手掛けることになったが映像化されなかった「ガラスの靴」の脚本に関しては、本邦初公開だったり、戦争で撮影できず中止になった、大河内伝次郎とエノケン主演の幻の映画「どっこい!この槍」は脚本とポスターだけが存在していていたり、とにもかくにも、見所満載である。
国立映画アーカイブで11・27まで開催している。
常設展も日本映画の歴史がユニークに展示されていて映画好きの方もそうでない方も楽しめるつくりになっている。
30分毎に上映される無声映画では、弁士時代の徳川夢声が
「カリガリ博士」を解説している映像まで観れる。
黒澤明展も含めて、なんと、入場料は、びっくりの250円である。
いつ行くの?今でしょ!思わずそんなフレーズまで飛び出す位、魅力いっぱいであった。
 
 
 
 

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