シェアハウス・ロック0825

エディット・ピアフ

 パリ・オリンピックの開会式でのセリーヌ・ディオンの『愛の賛歌』(エディット・ピアフ)を、youtubeでは切れ切れでしか聞けないと書いたが(【Live】パリ・オリンピック0729)、いまでは全曲通して聞くことができる。
 この「切れ切れ」以来、私はなんだかyoutube依存症のようになり、エディット・ピアフ本人の映像付き歌唱を探しては聞いている。探したなかに、『エディット・ピアフ〜愛の讃歌〜』(2007年、フランス映画)のラストシーンがあった。
 これはエディット・ピアフの伝記映画で、主演のマリオン・コティヤールは、本物よりも本物っぽい。彼女が、第33回セザール賞主演女優賞と第80回アカデミー賞主演女優賞を受賞したというのもうなづける出来である。
 この映画を見たのはだいぶ昔なので記憶があやふやになっているが、エディット・ピアフは5歳まで売春宿で育ったという出自なので、そのせいもあるのか愛情依存症みたいなところがあり、そのためか正直なところその人生はぐちゃぐちゃである。もっとも、エディット・ピアフの人生、とりわけメジャーデビュー以前は伝説にまみれているので、いま書いたことも、正確なところはわからない。
 有名になった以降も、シャルル・アズナヴールのデビューをサポートし、自らのフランス、アメリカでの公演旅行に同伴させるなど、事実上の愛人関係にあったと言われているし、イヴ・モンタン、ジルベール・ベコー、ジョルジュ・ムスタキなども同様の関係にあったらしい。
 そう言えば、ビリー・ホリディも愛情依存症みたいなところがあるな。二人とも麻薬依存症も兼用である。ビリー・ホリディは44歳で亡くなっている。
 アルコール依存症や薬物依存症には治療方法がそれなりに確立していて、しかも脱出プログラムや脱出のための会などもあるが、愛情依存症はそうはいかない。大変なんだろうな。私のyoutube依存症は、電源さえ切れば、それで治るのでどうってことはない。
 上述の映画のラストシーンでは、「女性へのアドヴァイスをいただけますか?」「愛しなさい」「若い娘には?」「愛しなさい」「子どもたちには?」「愛しなさい」というインタビューの声にかぶさり、エディット・ピアフが『水に流して』を歌うのだが、ここは相当の名シーンである。おそらくこれは、オランピア劇場のコンサートで、そのときは立つのもやっとであったはずだ。このシーンでエディット・ピアフが猫背っぽく見えるのも、たぶんそのせいなのだろう。エディット・ピアフは、47歳になってまもなく亡くなった。
 youtube依存症の時期に、都はるみが『イムジン河』を歌っているのを見た。『エディット・ピアフ〜愛の讃歌〜』でエディット・ピアフが着ているような黒っぽいドレスを着て、やはりどことなく猫背っぽい。この『イムジン河』は、絶唱といっていい出来である。
「都はるみ、『イムジン河』を歌う」で検索すれば出て来る。歌うのは一番最後だが、歌う前のインタビュー部分も聞くべきである。

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