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Gracias por tu impresion ディエゴ・マラドーナ

レジェンド ディエゴ・マラドーナ

衝撃のニュースが飛び込んできました。サッカーファンならずとも、その名を聞いたことがあるであろう、サッカー界の神にして、アルゼンチンのレジェンドであるディエゴ・マラドーナがお亡くなりになりました。まだ60歳の若さでしたが、硬膜下血腫で倒れ、手術をして退院しましたが、昨日、心臓発作で亡くなられたそうです。

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マラドーナと言えば、世界一のサッカー選手であることは間違いなく、「サッカーの神」と呼ばれる一人でしょう。しかし、華々しい活躍をしましたが、人生の後半は、スター故の苦しみも多かったのではないでしょうか。薬物使用によって引退することとなり、様々な騒動を起こしたことでも有名でした。アルコール依存症となり、治療もしていたそうですが、整形して「マラドーナおばさん」と批判されたりもしました。

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スーパースター故に、栄枯盛衰が顕著に現れた人生だったと言えるかもしれません。
ご冥福をお祈りいたします。


マラドーナ伝説

マラドーナの凄いところはいくつもありますが、何より、その身長です。165cmしかなく、背が低いと思われているリオネル・メッシでさえ、170cmです。スポーツは、背が高い方が有利ではありますが、マラドーナは、おそらくピッチの中で一番身長が低いにも関わらず、一番大きな存在だったと言えるでしょう。

とにかくドリブルが抜群にうまくボールタッチが凄すぎます。スポーツにおいては、常に進化していて、特に同じ国で低身長のメッシとは、常に比較されます。しかし、マラドーナだったら、今のサッカーでも間違いなく通用すると思います。


私は、ずっとサッカーをやってきたので、多少なり思い入れはあります。高校の時には、マラドーナの映像を観て、プレイを研究したものです。私も背が低いので、全く比較になりませんが(^^;

マラドーナは、FWの選手ですが、ボールを持った時、ファウルをしないと止められませんでした。そこで、ガンガン足を削られるのですが、レガース(すね当て)を、ふくらはぎにもつけていたそうです。それも、マラドーナのすごさを表す逸話ですね。

そんなマラドーナの功績を讃えて、いくつか「伝説」を、紹介したいと思います。


「神の手ゴール」

1986年に開催されたメキシコW杯の準々決勝。イングランド戦で、マラドーナの明らかなハンドによって、ボールはゴールに吸い込まれました。イングランド選手が猛抗議するも、ファウルとみなされず、先制ゴールとなりました。

こちらをご覧ください。


スローで観たら、間違いなくハンドですが、判定は覆りませんでした。この判定によって、副審を務めたドチェフさんは、こう述べています。

「ディエゴ・マラドーナは私の人生を壊した。
 彼は素晴らしいサッカー選手だ。だが、小さな男だ。
 身長も低かったし、人間としても・・・」

ファウルにしなかったことで、様々な批判され、苦しんだそうです。3年前に、80歳で亡くなったそうですが、その際にも、イングランドでは、「悪名高き」と称して報道したんだとか。
「ハンド」だったことは、後にマラドーナも認めています。

というのも、イングランドとアルゼンチンは、政治的な対立があり、W杯でも未だにしばしば因縁扱いされます。そういった背景もあり、ドチェフさんに対してのイングランドの鬱憤は大きなものがあったのでしょう。

また、映像をよく観たらわかりますが、ハンドなのは間違いありません。ただ、それ以前にオフサイドなんですよ・・・。
改めて観て観たら、今初めて気付きました(笑)。ドチェフさんは、「ハンドを見逃した線審」と言われていますが、そうではなく、「オフサイドを見逃した線審」だったということですね。まぁ、だとしても結果は変わりませんが(^^;

今でこそ、VARという、ビデオ判定が導入されましたが、導入されるときにも、この「神の手ゴール」が引き合いに出されたものです。きわどいプレーの場合は、ビデオ判定で、ゴールやファウルが覆ることとがあります。良くも悪くも、「神の手ゴール」は、おそらく永遠に語り継がれる名シーンです。VARによって、「世紀の大誤審」がなくなるのは、良いことだけど、寂しい事でもあるね、と。


「5人抜きゴール」

「神の手ゴール」のどよめきが冷め止まない中、わずか4分後に、もう一つの伝説が生まれました。
それがこちらです。

ハーフライン手前でパスを受けたマラドーナは、ターンで一気に二人を交わし、左足による独特なリズムとタッチで、相手を引きつけては交わし、最後はキーパーも交わしてのゴール。サッカーをしている人なら、きっと誰もが一度は挑戦したことがあるのではないでしょうか?
少年マガジンで連載されていた『シュート!』では、久保喜晴の「Gole to Gole」という、自分のゴールから相手のゴールまで、11人全員を抜いてゴールを決めたシーンがありましたね(笑)

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この「5人抜きゴール」は、文句なしのスーパープレイだったと言えますが、このゴールがなければ、もしかしたらマラドーナは、「サッカーの神」とは呼ばれなかったかもしれません。同じ試合で、しかも数分後にこのゴールを決めたことで、「ただのハンドによるゴール」を「神の手ゴール」にしたのでしょう。

プレーそのものが凄いだけではなく、マラドーナという神が誕生した瞬間と言えるかもしれませんね。


薬物使用から引退し、アルコール依存へ

日本が、「ドーハの悲劇」によって、出場できなかったW杯アメリカ大会。マラドーナも出場していました。予選ではゴールを挙げ、興奮したマラドーナは、カメラに寄ってきて雄叫びをあげていたのが印象的でしたが、その試合の後、薬物使用が発覚し、マラドーナは出場停止となり、W杯から追放されました。
その模様がこちら。

その3年後、引退することとなりましたが、現役時代から薬物を使用していて、死にかけたこともあったそうですが、その後は薬物依存からアルコール依存へと変わり、アルコール依存症になったそうです。

日本でも、スーパースターのスポーツ選手や、ミュージシャンが、薬物使用で逮捕されたりしていましたが、スーパースターには、常人にはわからない苦悩があるのでしょうね。マラドーナは、世界中を熱狂させるスーパースターでした。特にスポーツの世界では、賞賛もあれば、同等の批判もあります。言ってみれば、先週は賞賛されて持ち上げられていたのに、今週は猛烈に批判され、翌週にはまた賞賛される、というようなこともあります。持ち上げられては叩き落とされていたら、精神を保つのは簡単な事ではないのでしょうね。


監督ディエゴ・マラドーナ

そんなマラドーナでしたが、治療を経て、2008年にアルゼンチン代表の監督就任し、ピッチに戻ってきました。
ロン毛にヒゲを蓄えたマラドーナは、大きなジェスチャーでリアクションをするのが話題となり、それがとてもチャーミングだと、日本でも人気者になりました。

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そんなマラドーナを真似する、ストロベビー・ディエゴさんも、この時期はよくテレビで見かけたのものです。

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(あ、映ってはいけない人が・・・ww)

メッシ率いるアルゼンチンは、監督はマラドーナということで、優勝を期待されていながらも、準々決勝で敗退。大バッシングにあい、監督を解任されました。その後も、クラブチームの監督に就任しましたが、監督としては成果を出すことはできなかったようです。

数々のスーパープレーと、華々しい活躍を見せてくれた現役時代。引退後は、お騒がせの方が多かったかもしれませんが、マラドーナが放った輝きは、誰にも消せるものではなく、消えるものでもありません
たとえ、薬物を使用しても、アルコール依存になっても、マラドーナの功績が消えるわけではありません。

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まさに、波乱万丈の人生だったかとは思いますが、どこか、そんな波乱な人生を、楽しんでもいたんじゃないかなぁと感じます。それに、今の日本では、薬物使用を始め、問題を起こしたら、社会復帰も許さないような厳しい対応がありますが、マラドーナは、批判されながらも、成果を出せなくても、サッカーを愛し、サッカーに関わってきました。

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なんでもかんでも許されるわけではないと思いますが、マラドーナのようにいつまでもチャレンジして、どんな時も楽しんで生きられたらなと思います。

タイトルの、「Gracias por tu impresion」はスペイン語で、「感動をありがとう」という意味です。マラドーナさん、沢山の感動を、ありがとうございました!


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