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俳句と川柳|俳句修行日記

 世間はゴールデンウィーク。そのことを師匠に言うと、「何じゃソレ」と。声をあげてもダメならば、ボードに一句たたきこむ。
「あしたまた仕事メーデーメーデーと」
 川柳に鞍替えしよかな…
と言っても、川柳と俳句の境がよう分からん。師匠に聞くと、俳句は発句から生まれ、川柳は前句附をベースにしておる云々…。そんな古いむかしの誕生秘話じゃない、現代における二者の違いはどうなっとるんじゃ???

 師匠のたまう。「絵にたとえるなら、俳句は静物画、川柳はポスターじゃ。俳句は、個人の美意識が表出したもの。川柳は、他者との同時性を見出すためのツールじゃ。」
 首を傾げると、「ポスターは、作者の訴えが明らかでなくてはならない。静物画とは、独自の視点から宇宙を再現しようとするもんじゃ。」
「じゃあ、静物画はモノゴトの一面しか切り取れないということすか」言うと、「そもそも、高次元の世界を二次元に完全復元することなど不可能じゃ。風景を描くことの本質は、気付きを得ることにある」と師匠。

 いよいよ川柳に惹かれて「言葉で世界を動かしてみたい」と思い至ると、師匠、「生活人として、利害の中を渡り歩く覚悟ならそれでええ。探求者として生きていくならここに留まれ」と。
 いま、ボクは迷ってる…(つづく)