諷詠二箇条|俳句修行日記
『老木に涙注げば花の咲く』という句を詠んだのだが、「俳句は物語を作る道具じゃない」と言われて口論になった。「それは言葉の中から自ずと滲み出てくるもんじゃ」と、師匠は言う。言っていることがよく分からないボクは、頭に血がのぼって「師匠の詠む句だって、ボクのと大差ないじゃん」と言ってしまった。
口をとざした師匠の顔は、とても寂しそうだった。翌日、表書のない封書がひとつ。裏返すと、師匠の筆跡で『徘徊ス情理ノ狭間ニ軋ム如』とあった。あわてて師匠の携帯番号をプッシュするも、「おかけに