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証券アナリスト受験記

証券アナリストの会費の支払いをすっかり忘れており、慌てて先ほど支払いました。せっかくなので、今回は証券アナリストの受験体験について書きたいと思います。

この資格試験の合格者は、公益社団法人日本証券アナリスト協会が主催している試験で、証券投資の分野において、高度の専門知識と分析技術を応用し、各種情報の分析と投資価値の評価を行い、投資助言や投資管理サービスを提供するプロフェッショナルとなることを期待されています。

1.試験の概要

試験の内容については、私の受験した頃(2011~2012年)から変わっていないと思います。この試験の体系の特徴として、協会が提供する通信講座を受講することが必要になります。

この通信講座がなかなか良い教材で、会計やファイナンスの専門家が書いた資料を基に教材が作られています。読み物としても結構面白かったです。

2.受験の動機

受験動機は下記の3つかなと思います。

・証券分析に必要な幅広い知識を学べる
・とっつきやすさ(会計士・税理士と比べて)
・会計への飽き

受験の動機は、大学院2年になる頃に資金難から、USCPAの受験を断念したことに起因します(その後2017年に合格)。会計系の資格はほかにも公認会計士(日本)や税理士などありましたが、どちらも大学院(その後の仕事)との二足のわらじで受かるようなものでもありません。会計の修士の学位だけでも良いかとも思ったのですが、せっかく勉強してきたことを資格として残したい気持ちがありました。

そんな矢先に、ちょうど就職活動となり、金融機関を中心に面接に行ったりしていました。そこで証券アナリストの存在を知りました。修士課程で会計に加えて、統計、経済、ファイナンスの勉強もしていたので、違和感なく勉強できるかなと考えたのです。

ほかにも少し会計から離れたいという気持ちもあったかもしれません。日商簿記1級に始まり、3年くらい猛烈に財務会計を勉強してきましたが、USCPAの挫折と修士論文の作成に向けて生活に占める「会計」の比重を下げたいという気持ちもあったかもしれません。それと何となく、ファイナンスって華やかな感じという浮気心もありました(笑)。

3.一次試験の勉強方法

協会の通信講座を一通り眺めた後に、この数学の本を熟読しました。関数電卓とペンとノートを用意して、設問を一つずつ自分で解いていきました。基本的なファイナンス・統計の公式が出てくるので、ここで暗記しました。

ちなみに、学部の頃に教養科目として数学をとっていて、分かりやすい先生(東大を退官した先生でした)だったので、大学初級程度の数学は自信があります(当時は)。

その後は、TACの問題集とテキストを買ってひたすら解いていました。このシリーズです。一次試験はこれだけで十分だと思いますし、実証系の論文を読む基礎力もこのときついたように感じます。

ちなみに、使っていた電卓は、証券アナリストの勉強を始めた当初はhp-12cという渋い電卓を使っていました(hp-35も一時期使っていました)。RPN記法の便利さに当時はすごく感動していたのですが、問題の解きやすさからカシオの関数電卓に変えました。hp-12cは特に計算結果の表示も渋かったので・・・。

ちなみに、hpの電卓は、今から2年前にメルカリで良い値段で売れました。

途中から変えたのは、早稲田の生協に売っていたグレーとブルーの一般的な関数電卓ですが、名前を忘れてしまいました・・。たぶん2000円くらいだったような気がします。

ちなみに仕事ではずっと関数電卓を使っています。ただ、3桁ごとのコンマが出なかったので桁を読むのが難しかったのですが、数年前にカシオの関数電卓で桁区切りできるものが出ました。これを仕事で使っています。

会計業界で関数電卓を使うと目立ちますが、アメリカに出張したときは現地の会計事務所の人は関数電卓を使っていました(カシオの)。

さて、電卓の話はこのあたりにして・・・

一次試験の時期は2011年の11月でした。会場は確か蒲田あたりの大きな会議室だったと思います。300人くらいいたかなと思います。見渡す限りおじさんばかりで、女性は見つけられませんでした。。とんでもない世界に来てしまったと驚きました。結果は無事合格でした。

4.二次試験について

2011年11月に一次試験合格後に、2012年6月の二次試験の申込を済ませました。こちらも協会の通信講座がセットになっています。

二次試験は、記述形式で、経済、会計、ファイナンス、倫理の四分野に関するものでした。内容は複雑で、現在の経済問題に関するや意見を述べたり、統計学を用いた検定を行うものなど範囲もかなり広かったです。

二次試験は内容は複雑であったが、記述試験で得点を稼ぐポイントは「量」を書くことではないかと思います。このことについて明確な根拠はありませんが、大学、大学院と記述試験の問題を問われるなかで、明確な回答がわからなくとも、量を書けばそれなりの点数を獲得できていたことから推測しています。また、大学院時代では、TA として学部生の試験の採点も行ったことがありました。採点方法はキーワードとなる用語が含まれているか、文章の量があるか、「てにをは」は問題ないか等でした。このことからも、量を書くことは重要であると思います。

さて、二次試験の勉強を始めてみて、独学ではやや難しいように思われました。それぞれの分野の修士レベルの問題が出題されるよう感じました。そのため、専門学校に通うことを考えました。

しかし、簿記や USCPA のときと異なり、重大な問題がありました。それは、資金不足です。簿記や USCPA のときは爺さんから贈与(非課税)でもらった資金があったですが、このときにはもう無くなっていました。また、社会人となりましたが、趣味にかけるお金が多く、「学費」を賄うだけの貯蓄もありませんでした・・・。

お金が無く、専門学校に通えなかった私は、雀の涙ほど(10万円くらいはあった)の自分の貯蓄を切り崩し、LECの通信講座を受講することにしました。

この講座は、7万円ほどで受講でき、テキストと講義の DVD が送られてくるものでした。この形式で、朝と夜に勉強をすすめ、社会人2年目の6月に法政大学で二次試験を受験しました(ちなみに前日は上司とゴルフをしていました。そんなことをやっているからお金がないのですね)。

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結果は合格でした。試験は、朝から夕方までひたすら記述するもので、最後の方は手が痛くなっていましたし、試験問題も「ツイストオペ」に関する記述やわけのわからないファイナンスの計算問題でクタクタになるまで頭をつかいました。

しかし、次善の策として「量を書く」ことは常に意識していました。手はすごく疲れましたが、結果は合格です。あまり美しい合格の仕方ではないが、手段を問わずに結果を出すことは重要なことだと思います。

5.その後の変化

証券アナリスト試験に合格後は、証券アナリスト協会に登録して「検定会員」となることが認められますが、そのためには実務経験3年が求められています。

この要件は、証券分析業務だけではなく、経理業務その他の経験も認められるとの事だったので、私は新聞社での大学4年間の経理業務補助、2年間の大学院での会計の研究に加えて1年半の会社での経理業務を職務経歴として申請して、協会から入会が認められました。その後に入会金と年会費の請求書の支払いを経て、晴れて「証券アナリスト協会検定会員」として認められ名刺にも「証券アナリスト」と記入しました。

また、この試験の勉強では、それほど苦労はしなかった。これまでの受験経験から効率的に勉強ができたと思う。自分のこれまでの経験から勝ち取った成功でした。

ちなみに合格後くらいから新卒で入った会社に少しずつ違和感が芽生えてきました。大手の商社で安定もしていたのですが、転職したいなという気持ちが芽生えてきました。この辺りは別の機会に書こうと思います。

ちなみに私のキャリアで金融機関にいたことはありませんが、たまにこの資格についてコメントをもらうことがあります。例えば、

・IPOを進めていた時に証券会社の審査部門のヒアリングがあって、「証券アナリスト資格」について、「よく受かりましたね、私も今勉強していて~」とかその筋の人には評判が良いです。
・会計事務所で金融機関の人と一緒に仕事をするときは「証券アナリスト持っているんですか!?すごいですね」とか、やはり金融系の人はこの資格のことを知っている人がいます。
・あとは上場会社の経理にいたときは、先輩に「おれ数学さっぱりできなかったから証券アナリストのテキスト開いた瞬間にやめたよ(キリッ」という意図の分からないコメントをもらったこともあります。

以上のように、あまり苦労せずに効率的に合格することができた資格ですが、私のキャリアにおいて会計以外の分野の「幅」を持たせてくれた機会だったと思います。だいぶ忘れたこともあるのでブラッシュアップも定期的にやっていきたいと思います。

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