『僕の大事なコレクション』短評

『僕の大事なコレクション』


監督は俳優のリーブ・シュライバー。今回、初監督である。主演は『ロード・オブ・ザ・リング』のフロド役のイライジャ・ウッド。主人公はユダヤ系アメリカ人ジョナサン。彼は病床の祖母から一枚のセピア色の写真をもらう。それは若かりし頃の亡くなった爺さんと少女が写されていた。

写真には「アウグスチーネとトラキムブロド」にてと書いてある。それ以外は不明。トラキムブロドは祖父の生まれ故郷ウクライナの地名らしい。ジョナサンは彼女が何者なのかつきとめるため、ウクライナへ。そこで1950年からユダヤ人の祖先探しを支援している一家をサポートにつけることに。その一家の長男アレックスが通訳として出迎え、彼の祖父と合流し、旅に出る。


英語がまったく話せない偏屈者の祖父にヘンな英語とアメリカ文化を微妙に間違えて解釈している青年、そしてあらゆるものを記念としてコレクションする癖があるジョナサン。始めは噛み合わなった3人も、次第に一緒に旅するものの友情が芽生える。
ストーリーは単純でお互いの文化の噛み合わないさがなんともこっけいである。

アメリカ映画ではあるが、ほとんどウクライナで撮っているので感覚としてはドイツや東欧の映画に近い雰囲気だ。そしてなによりも音楽が優れている。
ヨーロッパの民族音楽を少しロックっぽくやっている。ストーリー自体は『ロング・エンゲージメント』に近いが、雰囲気はボクが好きなエミール・クストリッツァの作品に近い。

「家族」、「男の友情」、「過去」、「人種」、「ウクライナ」などさまざまな切り口で見られる。
英語が完全にリスニングできるとさらに楽しめたはずだ。

イライジャ・ウッドもいいがアレックス役のユージーン・ハッツがイイ!彼はゴーゴル・ボーデロというバンドのボーカルで俳優としてはこの作品がデビュー作となるが、とてもそのようには見えない。このゴーゴル・ボーデロの曲がいくつか聞ける。これがイイんだよ!

評価:★★★★★

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