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起業家を育てたいの?小説家を育てたいの?本当のメッセージは(1)      ー 福井県立高志中学校2021 ー

この問題は本当に深い、と唸らされました・・・


小学6年と中学3年の全員を対象に5月に行った2021年度全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)の結果に関して、都道府県別の公立校の平均正答率で、福井県は小6の国語と算数、中3の国語と数学の4科目いずれも2位または3位で、全国トップクラスの学力を維持し続けています。
(参考:福井新聞 https://www.fukuishimbun.co.jp/articles/-/1389437)
 
 
そんな福井にある「高志中」の問題が非常に興味深かったので採り上げてみます。
大問1では、マズローの欲求階層説と「事業企画書」をテーマにし、
大問2では発想力を問うています。特に、このように発想力を問おうとする、問題作成者の「発想力」に感銘を受けました。(別に記事にさせて頂きます。)

まず、文章1

そこそこ満たされている中で、「問題を見つけて解決しよう」「マイナスな部分、足りない部分を満たそう」とがんばり続けるのは限界があります。


という箇所が非常に気になります。
 
自分にどんなアドバイスを送ればいいのか。納得させることができるのか、それを考えさせる問い。
 
楽しんで生きるにはどうしたらいいのか、というヒントを小学生に与えてくれています。
まずは、有名な心理学の権威・アブラハム・マズローの欲求階層説です。これを理解した上で、下記も意識すると「意味」を見出せないことはないと非常に貴重なアドバイスをくれています。

あの日の「暗記したくない僕」に必要だったのは、親や世間の期待に応えようとすることではなく、自分が納得してがんばることができる意味をつくることや、変化を楽しむ姿勢だったのでしょう。
 現代社会の端々で、実はあの日の僕と同じことが起きていると、僕は考えています。マイナスの状態から脱し、正しい状態へと目指すだけではもうがんばれない。そこそこ満たされているからこそ僕らは物足りなさを感じていて、「自分、自分、自分」ばかりの自分に悩んでいる。そんな僕らに必要なのは、もう「正しい、あるべき状態」を設定するのをやめて絶えず変化や広がりを求め、どんどん実験してみることや、新しい発見をえようと「試行錯誤そのもの」を楽しむことだと思うのです。
 僕らにこれから必要なのは「答え」ではありません。参加する意味、ここで生きる意味、一人ひとり異なる自分が納得して取り組むための意味を、みなさん一人ひとりがつくるほうが、よっぽど楽しんで生きていくことができるはず。


今回の出題を通して、子ども達には、
 
自分自身に「何をやりたいのか?」と何度も何度も諦めずに問い掛けられるのか
 
そんな人に高校を卒業するまでになって欲しい、というメッセージを感じました。
中学生以降の人生(高校を卒業しても)で、何度も何度も読み返すべき文章を選んでくれていますね。
個人的には、やはり、京大で出題された島崎藤村の『三人の訪問者』を思い出してしまいました。
 
(2)に続きます。
 
下記のページよりダウンロード出来ますので参考にしてみて下さい。
https://www.fukuishimbun.co.jp/feature/koshi

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