ケンドー修介@失業東大生

バイオ系研究者 → 外資系メーカーへ転職 → 監査法人へ転職 → 体調壊して失業 → 外資系メーカーへ復帰 → バイオ系ベンチャーでしぶとく生息中。仕事とお金、そして家族のことを考え続けて暮らしています 。

研究室を脱出せよ!〜ポスドク転職物語〜

若手研究者がアカデミアから民間企業に転職するまでの、すったもんだのお話し。

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研究室を脱出せよ!【23】ポスドク、いざ最終決戦。

最終面接の日、いつものように待合室へ通された僕は、今日この日、自分の人生が決まるのかと思うと、武者震いせずにはいられなかった。気持ちを落ち着かせようと、出されたばかりのお茶を一口すする。それにしてもいつも思うのだが、戦略コンサルで出されるお茶というのは、とんでもなくうまい。一体いくらの茶葉なのだろう。お茶に限らず、オフィスの内装、名刺の厚紙、そして立地と、すべてが豪華なのが戦略コンサルだ。ここで働くというのはどういうことなのだろう。田舎暮らし、貧乏暮らしがすっかり板についた自

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研究室を脱出せよ!【22】ポスドク、真摯さについて考える。

玄関先まで藤森先生を見送ったあと、僕は黒岩さんに尋ねた。 「黒岩さんは、研究室の目的ってなんだと考えてるんですか?」 黒岩さんは気のない返事で、 「ん、そうねー。まあ、な。難しいよなあ。」 などと適当なことを言っていた。 居部屋に戻ると、先ほど書かれた図がそのままホワイトボードに残されていた。黒岩さんはそれを見ながら、 「なあ、ケンドー。研究室の悪魔の戦略、って知ってるか?」 とつぶやいた。 「悪魔の戦略?」 僕は、その不吉な言葉に思わず顔をしかめた。 「

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研究室を脱出せよ!【21】ポスドクと、科学の価値。

黒岩さんは続ける。 「論文とグラント、このふたつは実は密接な関係がある。いい仕事、いい論文を出したかったら、それなりの設備、スタッフ、その他諸々が必要になってくる。要するに金がかかるね。じゃあ、その金をどこからもってくるかっていったら、競争的研究資金、グラントってよばれる予算をひっぱってくる必要があるわけだ。ケンドーも知ってるかと思うけど、グラントの審査っていうのは、その分野の専門家が集まってするんだけど、その際に基準となるのが、どんな業績を挙げてきたかっていう実績のところ

研究室を脱出せよ!【20】ポスドクと、ドラッカー。

最終面接を控えたある日、研究室でちょっとした事件が起こった。三井さんが投稿した論文にエラーが見つかったのだ。不幸にして論文はすでに受理されており、オンライン上では全文が読める状態になっていた。海外の研究者からの指摘がすぐに入ったために発覚したそうで、全く異例のことだったが訂正記事を投稿することになるという。 エラー自体は、試薬の名前に関するちょっとした記載ミスだったが、実験の再現性を担保する重要な項目だと言うことで、訂正は避けられない事態ではあった。 僕は正直言ってことの