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緩やかに進むサラリーマンからフリーランス社会への移行

米国の労働市場では、サラリーマンからフリーランスへの移行が緩やかに起きている。現在のフリーランス人口は5,700万人(労働人口の35%)で、2027年までには労働力の半数以上はフリーランスで構成されるようになるという予測もある。その要因としては、ブロックチェーン上のスマート契約により、従来の雇用契約が抜本的に変革されることや、給料制ではなく、プロジェクト単位の報酬の支払いも電子決済で容易になることが挙げられる。

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■出所:Freelancing in America: 2017(Upwork)

フリーランス系プラットフォーム「Upwork」が、米国内で働く18歳以上の6,000人に対して行った調査によると、Z世代のほぼ半数にあたる46%がフリーランスとしての働き方を選択している。これはミレニアル世代と並んで多い割合である。 彼らの成功例に倣って、その上の世代でも新たな働き方にチャレンジする人達は増えている。

フリーランスの中でも、主に5つのタイプに分かれており、仕事量や時間の使い方に応じた働き方ができるようになったのが、近年の特徴である。Upworkの調査でも、他の仕事と掛け持ちしながらフリーランスとしての収入を伸ばしていこうとする層が5割以上ある。この層は「ムーンライター」や「ダイバーシティワーカー」と呼ばれ、“脱サラ”の明確な転機を決断することなく、サラリーマンの立場から徐々にフリーランスへの移行を進めている。

《米国フリーランスの種別と割合》

○Independent Contractor(独立請負業者)…1770万人(31%)
(特定の雇用主を持たずに、請負契約によって仕事を受注している。)

○Moonlighters(ムーンライター)…1300万人(23%)
(昼間は安定した仕事を持ち、夜間や休日を利用してフリーの仕事を行う)

○Diversified Workers(ダイバーシティワーカー)…1980万人(35%)
(複数の職業、仕事を並行して行うフリーランス)

○Temporary Workers(テンポラリーワーカー)…340万人(6%)
(雇用契約は結ばずに短期の契約制で職場に勤務する形態)

○ビジネスオーナー…340万人(6%)
(従業員を雇っている個人事業主)

フリーランス系の仕事でも高年収を稼げる仕事は次々と登場してきている。特にAIやブロックチェーンなどのエンジニアは、勤務地を限定した従来の採用方式では優秀な人材を獲得しにくいため、ギグエコノミー圏から採用されるケースが増えている。

英語圏でフリーランスの仕事を仲介する代表的なサイト「Upwork」「Freelancer」「People Per Hour」「Hubstaff」「Guru」の中で、各職種の報酬単価を集計した調査では、ロボット工学、金融、人工知能、ビデオ編集、マーケティングなどの仕事が上位にランキングされている。いずれも新しいカテゴリーの職種で、大学では学べないスキルを独自に習得した者が、高年収を稼ぐための共通点となっている。

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企業にとっても、新しくて高度なスキルを、社内の人材教育によってすべて習得させることは、コストと時間の面から無理があることから、外部の有能なフリーランス人材を活用したいというニーズは、日本でも高まってきている。テクノロジーの進化が速い時代には、求められるスキルのニーズが入れ替わるサイクルも早くなり、労働市場における需要と供給の面からも、サラリーマンからフリーランス人材への移行は進むことになるだろう。

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