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ライブとチャットモンチーと大喜利

最近SNSで、音楽のライブ会場の写真を見ることが徐々に増えてきた。

当然まだ油断は出来ない状況なので、細心の注意を払い、対策を行ったうえでの開催だろう。それがたとえ名前しか知らないミュージシャンのライブの写真だったとしても、ライブが開催出来ているということに対して、何だか大きな喜びを感じる。

少し前まで、頻繁に音楽ライブに足を運んでいた。初めて行ったのは2012年の4月、横浜アリーナで行われたももいろクローバーZのライブだった。ライブは二日間行われ、初日はソロ曲、ユニット、ゲスト多数のバラエティ色が強めのライブで、2日目は演出の少ないシンプルにパフォーマンスで勝負するという構成だった。私は2日目のライブを観た。大学生になったばかりの私は、夢中でサイリウムを振っていた。

初めてライブハウスに行ったのは、同じく2012年の6月。高校生の時にハマり、今でも大好きなバンド、POLYSICSのライブだった。記憶の限りだと、初めてのライブハウスの文化に驚きつつも、言うほど戸惑うことも無く、よりバンドを好きになって楽しんで帰ったと思う。

いろんなライブを観に行った。私の場合、曲などの情報を少ししか知らないバンドでも、関係なく行っていた。予習を最小限にして、ライブを観て好きになる。代表曲しか知らなくても、門前払いされないのがライブの良い所だ。

すでに解散して、もう観られないバンドのライブも過去に観てきた。そのうちの一組がチャットモンチーだ。

チャットモンチーは説明不要の人気バンドだが、個人的には強い思い入れはなかった。代表曲を聴いて良いなと思って、デビューアルバムを聴いて、その当時の最新アルバム「共鳴」を購入した。ただそれだけなので、今でも大好きなバンドかと聞かれると、どう答えて良いのかわからない。

ただ、ライブは観たかったので、2015年6月の広島公演のチケットを購入した。しかし、そのツアーはゲストと共に各地でライブを行う対バンツアーで、おかしなことに広島の対バン相手は、ミュージシャンでも何でもない、俳優の柳沢慎吾だった。

一体どんなライブになるのか若干不安に思いながら、ライブハウスに行き、開演を待った。ライブは柳沢慎吾のパフォーマンスから始まった。内容としては、漫談と一人コント。"あのサイレン”と”タバコのフィルム”の「警察24時」や、一人で複数の役を演じる「高校野球」を全力で行い、持ち時間をやり遂げた。ライブハウスであんなに爆笑が起こった経験は、後にも先にも無いだろう。

その後のチャットモンチーのライブは、とにかく素晴らしかった。「共鳴」の曲を中心に組んだセットリストで、バンドの様々な顔が見れた。「隣の女」という曲を生で聴いて、さらに好きになった。

2018年、チャットモンチーは解散。もう新曲を聴くことも、ライブを観ることも叶わなくなった。

先日古本屋にて、元チャットモンチーのドラムで、現在は作家、作詞家として活動する高橋久美子さんのエッセイ「思いつつ、嘆きつつ、走りつつ、」を購入した。3人だった時のバンドに強い思い入れは無かったが、高橋さんがどんな文章を書くのか気になったので、少し悩んでから手に取った。

内容としては、高橋さんの日々の何気ない生活の話や、展覧会を開いた話、海外旅行での出来事などが、柔らかい文体でつづられていた。高橋さんの感性が、そのまますーっと体に入っていくような、そんな感覚を味わえた。

読み進めていくと、大学時代の話が出てきた。高橋さんがいた国語科の同期の話をしていく中で、個人的にかなり驚いた文章が書かれていた。

国語科十三人のうち、変態ばかり六人ほど我が家に集まって、よく朝まで大喜利大会をした。

大喜利?元チャットモンチーのドラムの高橋久美子さんが、大学時代に同期と大喜利?詳しいことは書かれていなかったが、その後に「お題」というワードが出てきたので、今私が趣味でしている大喜利と同じものらしいというのはわかる。

もし私がこの本を偶然手に取らなかったら、私と高橋さんの奇妙な共通点を知ることは一生無かっただろう。エンタメに数多く触れていると、こんな感じで意外な繋がりが見つかることがある。それは自分だけが嬉しい大発見かもしれないが、そのコンテンツをより好きになる可能性を秘めている。今回の発見は、本を読んで良かった、チャットモンチーのライブに行ってて良かった、大喜利やってて良かったと思うには、充分すぎる出来事だった。

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