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圧倒的に参加者の熱量を高める「Aテーブル作戦」とは

こんにちは、ユーザベースの酒居です。
最近イベントでの相談でお声がけいただく機会が増えて、noteの書き甲斐があります笑

さて、今回は参加者の熱量最大化に大きな成果を上げることができた新たな取り組み、名付けて「Aテーブル作戦」をご紹介したいと思います。
かなりマニアックですが、「新たなセミナーのカタチ」を目指すおもしろい取り組みになったかと思います。ぜひ読んでいただければ嬉しいです!

とにかく圧倒的に参加者の熱量を高めたい!

ユーザベースのオフィスが移転する少し前、6月下旬。相変わらず、ぼくたちマーケチームは「セミナー参加者の熱量をいかに高めることができるか」について議論を繰り返していました。

前の記事で書きましたが、熱量を高めるためには、いかに参加者自身が喜んで自ら熱量を高めてくれる方法をつくるか。いわゆる『北風と太陽』的発想。そこで一番大切になるのが、『コンテンツ』であるという考えに行き着いていました。

しかし、コンテンツを工夫し、さまざまなテーマでセミナーを開催していく中で、やはりまだまだ熱量を高められる伸びしろがあるように思えてきました。「おれたちには何が足りてないんだろう」。その日もインターン生の岩井と話していました。

ちなみに、『北風と太陽計画』については、別記事で詳しく書いてますので、そちらを読んでいただければ嬉しいです。
セミナーを毎週開催してPDCAを回して気づいた、セミナー企画で一番たいせつなこと

そこで、気がついてきたことは、太陽的発想だけでなく、実は北風的施策も大切なんじゃないかということ。あくまで参加者視点で参加者のためになることというが前提で、小手先のテクニックに走ってはいけないですが、それでもセミナーを開催する目的につながる仕組みづくり、環境づくりは熱量最大化にはとても重要だと改めて行き当たりました。

コンテンツは日々新たなものをつくろうとしているのでそこは引き続き継続する。そして、2つ目の取組みとして、「参加者の熱量を高める仕組み」づくりにフォーカスを当てました。

参加者の熱量を高める仕組み(環境)の根本

では、その仕組み(環境)をどうつくるのか。そこで考えた問いは、「どういうときに熱量は高まるのか」です。過去のセミナーの経験上、一番参加者の熱量が高まるのは、最後のQ&Aセッションでした。
(Q&Aセッションについては、こちらもご参考にしてください⇒Q&Aはセミナーの要。Q&Aを最大限に活用するカタチの変遷

では、なぜQ&Aは盛り上がるのか。そこで出た結論は「インタラクティブ性」。つまり、セミナー講師が一方的に伝えるのではなく、双方向で参加者側も自身の考えを話すことができるからこそ、一番熱量が高まるのではないか。つまり、「インタラクティブ性を追求すれば、自ずと熱量を高めることができるのではないか」という仮説を立てました。

Q&Aはすでに普段のセミナーである程度カタチになっていて、盛り上がってもいました。参加者を10名以下にグループ分けして、各担当者がその方々の質問に回答していくやり方は、運用に乗り機能してました。

しかし、一方でその質問会をじっくり見ていると、実は盛り上がってるグループとあまり盛り上がっていないグループがあることに徐々に気づいてきました。ランダムにグループ分けをして講師はローテーションしているにもかかわらず、なぜグループによって、盛り上がりの差が生じるのだろう。

それをさらに観察していくと、再びある仮説ができてきました。つまり、言葉は悪いですが、いわゆる「リテラシーの差」がグループ内に存在しているということ。ぼくたちのセミナーのテーマはB2Bマーケティングに関することがほとんどですが、このマーケティングにおけるリテラシーの差によって、初心者が多いグループはあまり質問も出ず、質問が出ても逆にリテラシーが高い人が退屈してしまう、という状況になっていました。

この参加者同士のリテラシーギャップが熱量の増加を妨げているのであれば、リテラシー状況やモチベーション度合いに応じて、参加者をグループ分けできれば、より熱量を高めることができるのではないだろうか。

(※ リテラシーというワードで説明をしていますが、あくまで分かりやすくご説明するために用いていますのでご了承ください。)

セミナー参加見込者をセグメンテーションする

そこで、参加見込者を大きく4つのセグメントに分けて定義を行ってみました。

4つのセグメントの定義は次のとおりです。

① Star層・・・セミナーテーマの領域において、圧倒的な成果を上げており、新たなチャレンジに積極的な層(講師または講師候補)

② Active層・・・スキルや知識量はまだ伸びしろがあるものの、熱量高く向上心が高い層

③ Beginner層・・・これからその分野を学び始めようとしている層

④ Negative層・・・モチベーション高くなく、セミナーには来ない層

ちょっと曖昧な部分があるものの、セミナーに関するセグメンテーションとしてこれで分けてみました。その中で、Negative層の方は今回は検討外となるので、実際はStar層、Active層、Beginner層が関わってきます。そして、Star層は基本的には講師なので、セミナー参加者として考えるべきなのはActive層とBeginner層になります。

Active層を一箇所へ集約し熱量を最大化させる

これまでのQ&Aではインタラクティブ性を求めていたものの、Active層とBeginner層が混在することによって、質問の内容が異なったり、うまくグループ内での会話が盛り上がらないというケースがありました。

セミナー参加者側で、もっとも熱量を高めてくれるのが、Q&Aセッションで最も質問を挙げてくれるActive層です。なので、インタラクティブ性が高い「Active層」が熱量を高める重要な核となります。

物理化学に従えば、熱は分散させるよりも、一箇所に集約した方が温まるに違いない。そこで、これまで分散していたActive層を1つのテーブルに集め、そこで講師を含めて着席し、質問を挙げながら熱い議論を繰り広げてもらう、というアイデアを思いつきました。

セミナー参加者を登壇者に。質問自体をコンテンツ化

質問をたくさん挙げてくれるActive層を1箇所に集め、1テーブルで熱い議論を繰り広げてもらう。これはたしかに熱量が上がりそうです。

それではまわりのBeginner層やそこに入れなかったActive層はどうするか。最初は別テーブルでも同様にQ&Aをそれぞれ行うことも考えました。しかし、よくよく考えれば、Active層テーブルの議論は面白そうで普通に聴いてみたい。つまり、テーブル議論がそのままセミナーコンテンツになりうるんじゃないか

なので、まわりのテーブルの方々はActive層テーブルでの議論を視聴するという形式にしたらおもしろいんじゃないかと。まるで朝まで生テレビのごとく、これで一つのセミナーをやれば全体的に満足度が高いコンテンツになるのではないかと考えました。

実践のための課題

ここで課題となるのが、そもそも「参加者の中からいかにActive層を見つけ出すか」です。つまり、参加者の中からセミナーへのモチベーションが高く、質問や意見を述べたいと思っているActive層とBeginner層をいかに判別するかがキーになります。

モチベーション度合いを外見で判断できるわけでもなく、実際に質問が挙がってからでは遅い。だからといって、開始前に「質問したい方いますかー?」といってもおそらくほぼ挙手は見込めません。
この形式を実現するためには、この判別のオペレーションが重要です。

リマインドコールでActive層を判定する

そこで実施したのは、リマインドコール時のヒアリング。セミナー参加者へのリマインドコールの段階で、今回のセミナーの趣旨を説明し、講師へ質問したいことや話したいことがあるかを事前にヒアリングをとることにしました。

「今回のセミナーではセミナーの後半にQ&Aセッションを設けており、事前にご質問をしたい方に一つのテーブルにお集まりいただき、お一人ずつご質問を挙げていただきながら、講師を含めたテーブルの皆さんでご質問内容についてお話していただく形式を考えています。こちら参加ご希望されますか?」

という内容で、お一人ずつ質問希望があるかをチームメンバーが確認していってくれました。このヒアリングによって、Active層として何方をアサインすれば良いかを事前に確定させることができ、事前にテーブル配置を決めることができるようになりました。

要はStar層の存在。湯原さんとタッグで進む

具体的なセミナーアイデア、そのためのセグメンテーションとそれを棲み分けするオペレーションは用意できました。しかし、一番大切なことがまだ残っています。

このセミナー形式を成功させるために最も重要となるのが、「Star層」の存在です。参考にしたい、話を聴きたいStar層がいるからこそ、Active層はモチベーションを高めて積極的に質問をしてくださいます。そして、そのActive層の方々のやりとりを見て、Beginner層はモチベーションを高め、Active層へと移行していっていただける、というフローが生まれます。なので、その根源となるStar層こそ、このセミナーのカタチの最も重要なところなんです。

そこで、それまでもほぼ毎月ぼくたちのセミナーに登壇してくださっている、株式会社マルケトの湯原良樹さんに、この新しい取組みについて相談しました。

「湯原さん、今度のセミナーなんですけど、セミナーの中でテレビ番組をやる感じで、これまでと違う新しいカタチにチャレンジしてみたいんですよ!」というぼくの全然意味がわからない説明にもかかわらず、湯原さんはいつも通り「あぁ、いいですよー」とあっさりOKしてくださいました。

湯原さんにご登壇いただいている『【ABM実践】マーケティングオートメーション活用によるABM事例セミナー』(我々の中での通称:湯原さんセミナー)は、毎回人気を博しているセミナーです。そのセミナーのQ&Aセッションで、7月の回からついに実践を開始しました。

リアルタイムにスクリーンで投影し全体満足度を高める

ここでもうひと工夫こだわったのは、Active層だけ熱量が上がるのではなく、しっかりBeginner層含めた全体の熱量が高まるようにすることです。

Active層テーブル近くの参加者テーブルであれば、講師やActive層テーブルの話も聞きやすいですが、離れれば離れるほどホワイトボードの見やすさも話の聞き取りやすさも低下してしまいます。

そこで、ビデオカメラを設置し、ホワイトボードと講師(湯原さん)を撮影し、リアルタイムでプロジェクターへ流してスクリーンで投影しました。
スクリーンで投影することで、ホワイトボードの見やすさと距離感を解消できます。&こういうことやってるセミナーはなかなかないと思うので、単純にサプライズの効果もあることも期待してました(笑)

また、これは改善の中で追加したものですが、単に話している映像を映すだけよりも、議論の質問内容が何かを明確化した方が周りの方々には状況がわかりやすいことがわかってきました。その為、AテーブルのActive層に質問を話していただいたら、その内容を要約してテキスト化し、リアルタイムでスクリーンに質問テーマを映し出しました。

質問内容スライドと実際の映像とを上手く切り替えて映し出す。これによって、さらにAテーブル以外の参加者にも内容をうまく伝え、熱量を高める環境をつくることができました。

実践&改善でPDCAを積み重ねる

このようにして、湯原さんの協力を得ながら、マーケ&インサイドセールスメンバーとともに、数回にわたってこのAテーブル形式(岩井くん命名)を実践しました。

結果として、初回から質問や意見出しを希望するActive層の方々が5名名乗りを挙げてくださり、セミナー本番ではAテーブル内で湯原さんに色々と質問をしてくださいました。さらに、Aテーブルに座られた方のその後の商談化、案件化率が通常よりもかなり高いことも後程データでわかりました。施策としては、まず良い結果が出ました。

また、想定外のメリットも出てきました。

・Aテーブルに座った方同士で、セミナー後にそのまま会話が盛り上がる

・Aテーブルでの議論に触発されて、Beginner層テーブルからでも質問したい方が結構出てきた

・Aテーブルに座っている参加者の方へその他テーブルの方から名刺交換に来られることも増加

特に参加者の方同士でコミュニケーションが増えることは、運営側からしてとても嬉しいです。我々のセミナーが一つのオープンコミュニティになればと考えていて、その取っ掛かりの部分をつくれたのかなと思います。

一方、実際に開始してみるといろいろと課題も見つかってきました。

・質問を希望するActive層の選定は結構難しい。また、リマインドコール時のヒアリング時点でどのように打診をするかによって、当日の質問内容が大きく変わる

・Aテーブル外の方の質問を回収しきれないケースが発生

・コンテンツとして成立させるには、質問内容にもある程度統一したテーマが必要

・ビデオカメラ撮影運営はリソースがかかるため、リソースパツパツでやってる我々には諸刃の剣

オペレーションまわりやコンテンツ自体の精度を高めるためには、まだまだ改善していかねばならないことが多くあります。

しかし、毎回の改善を通じて、みんなで前進できていることはとても嬉しいです。これからもさらに新たなカタチを目指して、トライと改善を繰り返しながら、いろんな取組みを進めていきたいと考えています。

おわりに

いかがでしたでしょうか?今回は結構マニアックなお話になりましたが、このようにFORCASでは参加者の方々の熱量最大化へ向けて、日々新たなセミナー&イベントのカタチに取り組んでいます。

湯原さんをはじめとした、我々の取組みに付き合ってくださっているFORCASユーザーさん、いつもあたたかくご協力くださり、本当にありがとうございます。そして、我々のセミナーにお越しくださる参加者のみなさんにも日々感謝です。

これからもいろいろな取組みや施策にトライして、その成果を共有していきたいと思っています。引き続きどうぞよろしくお願いします。

それでは、今回はこのあたりで。今回も長文お読みくださり、ありがとうございました。ではではっ!

読んでくださってありがとうございます。まだまだ試行錯誤の連続ながら、自分たちの日々の取組みから得た気づきをシェアしていきたいと思っています。