居酒屋トークで第三の軸をつくる。ぼくらが動画メディアを立ち上げた理由
こんにちは、FORCAS(ユーザベース)の酒居です。
2018年9月に『マーケミニッツ!』というB2Bマーケティングに特化した動画メディアを立ち上げました。
現在はFacebookの専用ページで配信をしています。まだまだメディアといえるレベルではありませんが、おかげさまで徐々に観てくださっている方も増えてきて、最近では初めましての方からも「動画観てます!」「ミニッツ好きです!」と言っていただけるようになってきました。とても嬉しいかぎりです。
しかし、「そもそも自社のプロダクトとは直接的には関係がない動画メディアをなぜ始めたのか」ということについて、よくご質問いただく機会が増えてきました。そこで、今回は動画メディアを始めた理由について、お話していきたいと思います。
ちなみに、今回はノウハウというよりも、完全にぼくの動画に対する想いを徒然と書いてる記事になります(笑)
そもそもメディア素人のぼくが、動画メディアを語ることはおこがましいですが、自分たちが考え、実行してきたことをシェアさせていただければと思います。
『マーケミニッツ!』とは
そもそも『マーケミニッツ!』とは、どんな動画メディアなのか、ということについて簡単にご紹介します。
『マーケミニッツ!』は、毎回著名なB2Bマーケターをゲストとしてお呼びして、弊社FORCAS代表の佐久間とともに、ざっくばらんにマーケティングについて語り合っていただく動画です。
現在はFacebookページで毎週配信をしており、1つの動画は3分程度で気軽に観ていただけるものになっています。
これまでには、freee株式会社CMOの川西さんや株式会社マルケト代表取締役社長の福田さん、LINE株式会社執行役員の葉村さんにご出演いただいています。
きっかけはパネルセッションへの疑問
そもそもなぜこの動画を始めたのか。
元々は「イベントでのパネルセッションって、なんで面白くないんだろう?」とふと思ったことがきっかけでした。
もちろんおもしろいパネルセッションもたくさんある(弊社イベントのパネルはおもしろいと自負)のですが、表面的な会話でまとまっていたり、すごくキレイに仕上がっている話が多いなと思っていました。
また、せっかくパネル形式であるにもかかわらず、意外とパネリスト同士で会話が盛り上がって、その場で何か新しい会話が生まれるケースも結構少ない。そうなると、予定調和な展開となってしまいがちで、せっかくのリアル感があまり感じられません。
せっかくパネリストで登壇されてる方は素敵で、話を聴きたい方ばかりなのに、その機会を活かしきれていない。と感じる機会がよくありました。
パネルセッションよりも、打ち上げでのぶっちゃけトークの方がおもしろかった
そんなことを考えていた時、あるイベントの後、そのパネル登壇者であるマーケターの方々と一緒に打ち上げに行かせてもらっていました。
最初は普段通り、他愛もない楽しいお話をしていたんですが、徐々に話のテーマは日頃の「マーケティング」の話になってきました。
どんな取組みをしていて、「こういうことしてみたら、すごい失敗しちゃったんだよねー」と笑いながら赤裸々にお話してくださる方もいれば、「ぼくはこれについてはこういうふうに考えてて、今の風潮は絶対におかしいんだよね」と自身のマーケティング論を力説される方もいらっしゃいました。
その話に引き込まれて、笑いながらもずっと聞いていた時、ふと思いました。
「この会話、さっきのパネルセッションより、めっちゃおもろいやん」
仲良いメンツだけで、しかも酒の席で飲んでいることもあるためか、何の見栄もない、リアルな実体験、悩んでることの相談、経験から導き出したマーケティングの考え方。おもしろい話がどんどん溢れ出てきました。
この話を他のマーケター含め、B2Bビジネスに関わる方々にぜひシェアしたい。
絶対に皆聴きたいと思うだろうし、日頃の自分の仕事や考え方に本当に役立つ内容がある。だからこそ、この居酒屋トークの熱量のままで、何の加工もせずに、このままの形で伝えたい。
そこで、思いついたのが、「みんなで話してる風景をそのまま動画で配信したら、面白いんじゃないか」ということでした。ここで、"動画"という手段に行き当たりました。
どんな動画をつくるのか。コンセプトが固まっていく
じゃあ、どんな動画をつくればいいだろうか。
登壇された方も、飲み会で語っていた方も、どちらも同じメンバーです。では、イベント時と打ち上げの居酒屋の時との違いは何なのだろうか。
感じたのは、「安心感のある空間で、いかにリラックスして会話ができるか。そして、気のおける信頼関係がある仲間と楽しい時間を過ごしている時、話し手の熱量はめちゃくちゃ高まる」ということでした。
そういう空間をつくり、かつ打ち解けた会話ができる信頼し合える話し手にざっくばらんに語り合っていただく。まるで居酒屋にいるかのように。
つまり、「まるで居酒屋でざっくばらんに語り合っているかのように、マーケティングについて語り合う動画」が、この動画の根本にくるコンセプトだ。これを体現できる動画をつくろう。
このように徐々にコンセプトが固まってきました。
なぜ動画メディアをやりたいのか?その理由を深掘る
思いついたら早く動いてカタチにしたい。
その帰りに早速メンバーに「動画をやろう!!」と何の脈絡もなしに、社内チャットツールのslackで連絡し、代表の佐久間にも「動画やります!」と話しました。
しかし、そうは言うものの、「なんで動画をやるんだ」という話になります。居酒屋でのトークがめちゃくちゃ面白かったから!というだけでは、さすがに理由になりません(笑)そして、動画を始めるのであれば、カタチはどうあれ、人的リソースと予算が発生します。
我々FORCASはまだまだスタートアップで、ただでさえ人手不足の中で、いかにアウトプットと成果を最大化させるかを常に追求している状況。
そんな中で、メンバーに協力を求め、自分もマーケティングチームとして、その施策を実施するには、本当にFORCASにとって必要なことなのかを自分自身で理解し、GOサインを出さなければいけませんでした。
最初は「動画を始めたい」ということだけで見切り発車しましたが、走りながら、徐々に自分なりの「動画を始める理由・意義」を考えていきました。
そこで至った結論が、「三本の矢作戦」です。
これだけだと全然意味がわからないので、ご紹介していきますね(笑)
ビジョンを実現する3つ目の軸:「三本の矢作戦」
この構想を考えるきっかけになったのは、そもそもユーザベースの創業者であり、NewsPicksの創業者でもある弊社グループ代表の梅田の話でした。
梅田は2017年末にアメリカへ渡り、NewsPicksのニューヨーク支社を立ち上げ、アメリカ版のNewsPicksアプリの提供を始めました。そして、2018年7月にアメリカの経済メディア・Quarz社を買収することを発表しました。
このニュースは社内外問わず、大きな反響を呼びましたが、ぼくにもとても大きな衝撃でした。そして、梅田が社内メンバーへ語った買収の理由の中で出てきたのが、この3つの軸の話でした。
NewsPicksの場合は、まず「プラットフォーム」が母体としてあり、そこから「コミュニティ」と「メディア」という2つの要素が軸となって、3つの柱を形成しています。Quarzの買収は、アメリカでの「メディア」の増強のための布石ということでした。
その話に感銘を受けつつ考えたのが、「FORCASにとっての3つの軸は何なのだろう」ということでした。
FORCASのビジョンを実現するために必要なこの3つの軸は何か。
FORCASはいわゆるSaaSのプロダクトを開発・提供しているので、やはりメインの軸としては「プロダクト」があります。
そして、もう一つの軸もすぐに思い至りました。「コミュニティ」です。
FORCASのプロダクト自体が、開発段階からユーザーの方々との「共創」によって生まれたもので、マーケ・セールス・CS・開発にいたるまで、全メンバーが普段から「ユーザーとの共創」をとても重視しています。
だからこそ、その「共創」を実現するためには、ユーザーさんとの強固な信頼関係をつなぐ「コミュニティ」の存在がとても大きくあります。
ここまではすぐに考えつきました。しかし、果たして「3つ目の軸」とは何だろうか?
FORCASは、「プロダクト」と「コミュニティ」を重視し、その2つを車の両輪として走ってきました。ただ、ぼくとしては新たな軸、「3つ目の軸」を持つことが今後大切になるのではないかと考えました。
1本では折れる矢でも、3本が集まれば折れないという、戦国武将毛利氏の有名な話「三本の矢」になぞらえて、これを勝手に「三本の矢作戦」と呼ぶことにしました。
3つ目の軸「メディア」をもつメリット
その3つ目の軸となると考えたのが、「メディア」です。
これはNewsPicksの定義するメディアとは異なり、コンテンツや最新情報を配信していける「場」という意味で考えています。
メディアを持つメリットには2つの側面があると考えています。
① 自分たちの情報を発信できる場を持てる
② 最新の情報が集まり、そこへ人も集まる
自社でメディアを持てば、もちろん自分たちが発信したい・伝えたい情報を発信していくことが可能となります。
「未来のマーケティングを創造し、世界の進化を加速する」というビジョンを掲げ、最新のマーケティング『ABM(アカウント・ベースド・マーケティング)』において、新しいマーケティングをカタチにしていこうと考えている我々にとっては、情報を伝える場をオンラインでも持つことはとても重要ではないかと考えました。
一方、メディアを持つメリットは、単に情報を発信できるということだけではなく、逆に最新の情報が集まってくる流れをつくれることにあります。さらに、それに合わせて、伝えたい人たちが集まってきてくれる。
つまり、情報と人を集めることができるので、情報発信と情報受信を兼ね備え、情報と人のハブを持つことができるようになります。
メディア素人のぼくが語るのもおこがましいですが、その「情報と人のハブ」としてメディアを持てることは、「未来のマーケティングを創造する」というビジョンを実現するとても重要なピースではないかという結論に至りました。
「What」から考える企画づくり
ぼくは普段企画を考えていく上で、5W1Hのフレームワークに沿って、まずマーケティングの目的(Why)から始め、それを実現するための戦略・施策(残りの4W1H)へと展開していっています。
しかし、今回は「Whatありきの企画」です。つまり、「動画メディアをやりたい」という「What」から始め、その目的を「Why」で整理し、それを実現するための具体的な施策「How, Where, Who, When」へと落とし込んでいきました。
こじつけだと言われればそうなのかもしれませんが、自分の実現したいものからスタートし、それを目的と合わせ、最大の成果につなげるカタチにつくっていくやり方も一つの方法ではないかと思っています。
若干ニュアンスは異なりますが、マーケミニッツ!LINE執行役員の葉村さん編vol.2にて、佐久間が話している「コンセプトアウト」の考え方に通じるものがあるのではないかと思っています。
今回は、その「Whatから始める企画」の流れの中で、まずはそれを実行するための理由(Why)を考えたことをご紹介しました。(一部Howにもふれました)
これは最初に腰を落ち着けて考えたというよりか、既に実行に移しながら、考えていったことなので、まだまだ整理できていないこともありますが、現時点では動画メディア『マーケミニッツ!』をやる理由をこのように定義しています。
と、これだけで大分長くなってしまったので、ここからどうやって具体的なカタチ(残りの3W1H)に落とし込みをしていったのかについては、また別の記事でご紹介したいと思います(笑)
今回も長文お読みくださり、ありがとうございました。
ご参考になる点があれば光栄です。ではっ!
『マーケミニッツ!』はこちら↓
読んでくださってありがとうございます。まだまだ試行錯誤の連続ながら、自分たちの日々の取組みから得た気づきをシェアしていきたいと思っています。