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【感想】『人生を狂わす名著50』を読んで、「深い愛情」を感じました。

本記事は「note×ライツ社」の合同企画「#読書の秋2021」の課題図書『人生を狂わす名著50』(三宅香帆【著】)の読書感想文です。過去に趣味で撮影した写真を交えて読書感想文を書いてみました。本企画の詳細は下記に記載されています。

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私は旅行や出張に出掛ける際に、最後まで悩むことがある。「どの本を持っていこうか?」という難問である。早く読み終わってしまうと時間を持て余してしまうし、だからといって重くて分厚い本を持っていくと筋トレになってしまう。電子書籍という選択肢もあるが、やはり質感を楽しみたいので紙の本を一冊は持っていきたくなってしまう。そのため、出発前の忙しい時間帯にもかかわらず、本棚の前で本を眺める時間がついつい増えてしまう。そんな私に本書は「選書する時間を削減しようと考えずに、もっともっと全身全霊で本を選んだ方が良い!」とバシバシと背中を叩いてくれるようであった。

本書の冒頭で著者は「私にとって、読書は、戦いです。」という気持ちをぶつけてきてくれる。「読書は△△するためのもの」という問い掛けに対して、「読書は戦うためのもの」という回答をする人は稀だと思う。本書では厳選された50の作品に対して、著者の愛情溢れる書評を読むことができる。著者の軽快な文章と熱い想いとともに、私は名著の世界を巡る旅を楽しむことができた。

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「読書の楽しみ」を「読書前」・「読書中」・「読書後」の三つに分けて考えてみる。「読書前」の楽しみは、書店などで次の一冊に出会うために色々な本を眺めている時間だと思う。「読書中」の楽しみは、作品を味わっている時間だと思う。「読書後」の楽しみは、本の感想を書いたり語ったり、そして誰かの読書体験にふれたりする時間だと思う。そんな三つの「読書の楽しみ」を一度に体験できてしまうのが本書であった。

本書では各作品を6つの項目(①○○な人へ、②書誌情報、③○○VS○○、④ハッシュダグ、⑤人生を狂わすこの一言、⑥次の本)に分けて紹介している。このフォーマットがとても素敵である。読書感想文というと、小学生時代の体験から、ついつい方眼紙に一語一句丁寧に文字を納めていく作業を思い浮かべてしまう。しかし、そんな概念をあっさりと突き破ってしまう本書のフォーマットの自由さに魅了されてしまった。本書のフォーマットでアウトプットするように読書を進めていくというのも楽しそうだと思った。

本書を読んでいると、読書の魅力がヒシヒシと伝わってくる。それと同時に、自分自身の読書体験を見返す良い機会となった。「世の中の大量の本をどうしたら、より多く読めるのか?」と、私が中学生の頃に途方に暮れたことを思い出した。その時は、「速読」を習得しようという結論に達して、粛々と「速読」のトレーニングに励んでいたことが懐かしくなった。結局、文章を多少は速く読めるようになった程度で「速読」は習得できなかったけど、、、、。大人になるにつれて、「世の中の大量の本を全て読む」ことはあっさりと諦めて、適度な距離感で読書を楽しもうという方針に落ち着いた。そんな過去の自分自身の読書に関連する体験を回想しながら、本書を読んでいくことが、また一層楽しかった。

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著者が本と対峙する際の熱量の高さには惚れ惚れとしてしまう。「読書」に対して著者の熱い気持ちを読んでいると、自分自身も不思議と熱い気持ちになることができた。また、著者の言葉選びの感度の高さには、驚かされるばかりであった。「この内容を、こういう表現で伝えるのか!」という新鮮な発見の連続で素直に楽しかった。揺らしても叩いても自分の中からは出てこない言葉達に夢中になった。寒い冬の夜に、本書を抱いて寝ると、本書から溢れる著者の情熱によって、体が温まりそうだと感じた。

「読書」に対する心構えと楽しさを思い出させて頂いた著者の三宅香帆先生に感謝するとともに、本書を生み出して頂いた編集者の方々に感謝致します。ありがとうございました。これからも自分のペースで読書を楽しんでいきたいと思います。

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#人生を狂わす名著50 #読書の秋2021

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