師走〜December〜 コラムとかエッセイとか #11

師走の特別扱い感に物申したい。
12月を旧暦で師走と表すことは国民の70%に周知されているのに、じゃあ11月は?と尋ねると途端に正答率10%にまで落ちる。
師走だから忙しくするのも仕方がないみたいなふうになっているし、あっという間にすぎていくものの代名詞になっている。12月は31日まであるぞ。

そもそも師走の由来が気に入らない。
坊主がお経を上げるために全国を走り回ることが由来らしいが、坊主だけは計画的に物事を進めて欲しい。年末に慌てて駆け回る坊主の説教を誰が聞くのか。夏休み最終日に慌てて宿題をする子供と何も変わらないじゃないか。

溢れ出る年末ですぞ感も気に入らない。

たまたま1年の最後にいる月というだけなのにさっきまで今年もお世話になりましたみたいな顔をして挨拶をしてまわっていた師走は、今度は睦月に喪中リストを申し送りすることに必死だ。
「〇〇さんとこのご主人さん亡くなったらしいから今年は年賀状出したらダメだからね!睦月ちゃん聞いてる?」
「はいはーい、どうせ用意してくれたやつしか出さないだから大丈夫だよー。もうこっちはお正月なんだからせかせかしないでー。そういえば△△さんとこのご家族は元気だった?」
「ヤバイ!ご挨拶行くの忘れてたー!!」


12月の一大イベントといえばクリスマスだろう。
家族とゆっくり家で過ごす欧米の文化を日本流にアレンジした結果、恋人とイルミネーションを見に行く奇妙なお祭りに仕上げた昭和~平成を生き抜いた先輩方のセンスにはあまり共感できないが、カップルの1年間で最も大事な日のうちの一つとして認識されている事実には反することができないのでそれなりにこの行事には従って生きてきた。
クリスマスプレゼントはいつも自分を悩ませた。
誕生日ほど張り切らないでいい気がするが、かといって手を抜きすぎると微妙な空気がふたりを包んでしまう。最終的に何をプレゼントしたかは全く覚えていない。嫌なことはすぐに忘れてしまいたい性格なので、間違いなくプレゼント選びは失敗したのだろう。

良いのか悪いのか、今年のクリスマスはホテルでの隔離期間と重なり、誰にも会う必要がなければ、プレゼントのことを考える必要もなかった。もしクリスマスプレゼントを渡した人がいれば教えて欲しい。恋人から恋人なのか、親から子なのか、恋人とは呼べないけれど想いを寄せる人なのか。
ただ12月は忙しすぎてそんな幸せエピソードを聞いている時間はないので、正月におせちとお雑煮に飽きた頃にでも教えて欲しい。

メリークリスマス

良いお年を


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