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「くまぎらいのくま子ちゃん」第6話

めずらしく、今日のくま子は早起き。

でも、なんだか眠そうなくま子。

      

昨日の夜はあんまり眠れなかったのかな?

くま子のカレンダーを見てみると、

今日の日にちのところに、「あび子」と書かれた文字が。

今日は、あひるの見た目をしている、妖怪族の女の子、あび子ちゃんちに行く日なのです。

緊張して、あまりよく眠れなかったよう。可愛いくま子です。

  

くま子はポシェットの中に、ヨウカイドースイッチとのゲームと、
ヨウカイの森のソフトを入れました。

そして、魔女がかぶるような大きな帽子をかぶりました。

「よしっ。」

出発の準備が整ったようです。

   

玄関のドアを開けると、くま子はスルスルと空へ飛んでいきました。

・・・

ピンポーン。

「はあーい。」

あび子ちゃんの明るい声が聞こえました。

 

「あの……。」

くま子は、他の人の家に行く事が久しぶりすぎて、

こういう時、何と言えばいいのか忘れてしまいました。

 

「くま子さん!待ってたわ。さあ、うちへ入って。」

あび子ちゃんはくま子に笑顔で言いました。

 

「あらっ。でも、くま子さんと私じゃあ、体の大きさが違うから、大きなくま子さんには、我が家は狭すぎるかしら。」

ちょっと、首を傾げてあび子ちゃんは言いました。

 

「大丈夫よ。ちょっと待ってて。」

そういうと、すぐに、くま子は呪文を唱えはじめました。

「クマダラクマダラ。くま子をあび子と同じ身長に変化させたまえ。」

すると、くま子の体が、どんどんと小さくなっていきました。

 

「まあ、不思議。」

あび子ちゃんは、変身していく、くま子の体をずっと見つめていました。

 

とうとう、あび子ちゃんと同じ背丈まで小さくなったくま子。

あび子ちゃんの視線に気づき、恥ずかしくなったくま子は、

せき払いをした後、

「入ってもいい?」

と言いました。

 

「そうね、もちろんよ。」

あび子ちゃんは、くま子を笑顔で家に招き入れました。

 

    

くま子は、あび子ちゃんにヨウカイドースイッチの操作方法や、ヨウカイの森のゲームソフトの遊び方をじっくり教わりました。

「意外と、このゲーム面白いね。」

と、くま子があび子ちゃんに言いました。

「そうでしょ。評判通り、とっても面白いゲームだわ。」

と、あび子ちゃん。

   

くま子とあび子ちゃんは、半日以上ゲームで遊んでいました。

そして、そのおかげで、少しづつ仲良くなりました。

 

「くま子さんって、良い妖精さんよね。」

お菓子を食べて休憩している時、あび子ちゃんは、くま子に言いました。

  

「私は羽がついてるだけ。妖精とは認められてないから。」

くま子はうつむきながら、ボソッと言いました。


「どういうこと?空だって飛べるし、魔法だって使える。
私は、くま子さんのこと、良い妖精さんだと思うわ。」
あび子ちゃんは、声を甲高くして言いました。

     
「ちょっと疲れちゃった。

お遊びはお開きにして、また今度楽しみましょう。」

くま子は、そそくさと帰り支度をはじめました。

   
「わかったわ……。」

少し悲しそうな表情をするあび子ちゃん。

      

「明後日空いてたら、またいらっしゃらない?」

あび子ちゃんは、玄関先でくま子を見送りながら言いました。

 

「うん。分かった。」

くま子は、小さい声で、ちょっと嬉しそうに言いました。

 

・・・

 

今日のくま子はお寝坊さん。

ふと、飛び起きたくま子。

最近、ヨウカイドースイッチにハマっているせいで、

夜ふかししてしまい、朝起きるのが遅くなっているのです。

 

「もう15時!」

くま子は時計を見て、驚きました。

 

食パンを焼かずに、そのままいそいで 生の食パンを

ムシャムシャと食べたくま子。

急いで、顔を洗った後、ポシェットにゲームとゲームソフトを入れ、

帽子をかぶって、急いで玄関を出ました。

    

玄関を出ると、ピューンと、いつにも増して早いスピードで

あび子ちゃんちに着きました。

   

そして、あび子ちゃんと同じ背丈になる呪文を唱えはじめました。

「クマダラクマダラ。くま子をあび子と同じ身長に変化させたまえ。」

 

小さくなった後、すぐに、あび子ちゃんを呼びました。

ピンポーン。

「はあーい。」

あび子ちゃんの明るい声が聞こえます。

   

「くま子さん。待ってたわ。今日は来ないかと思ったわ。」

あび子ちゃんの皮肉な言葉に、ちょっとだけ眉をひそめたくま子。

「さあ、入って。」

あび子ちゃんに招き入れられ、くま子はお家の中に入っていきました。

     

くま子とあび子ちゃんは、またゲームに熱中しました。

キャッキャ言いながら、楽しんでいます。

 

しばらく遊んだ後、

「お菓子休憩しましょ。」

と、あび子ちゃんはくま子に言いました。

「分かった。」

 

甘くて美味しいチョコサブレを、くま子とあび子ちゃんは食べはじめました。

「くま子さん、ゲームのスキルが上達したわね。相当やり込んでるでしょ。」

と、あび子ちゃん。

 

「あび子の方が、私よりゲームうまいじゃん。」

あび子ちゃんに褒められて、少し照れながらくま子は言いました。

   

「ちょっと友達から聞いた話なんだけど……。」

あび子ちゃんは、決心したかのような表情で、くま子に言葉を伝えはじめました。 

「くま子さんって、クマ株式会社で働いてたんでしょ?」

   
「その話はしたくない。」

さっき話していたよりも、低い声のトーンでくま子は返事をしました。

     
「そう……。」

あび子さんは、寂しそうな表情で、くま子に言いました。

    

「もう夜遅いし、今日はこれで。」

くま子は、つくったような笑顔であび子ちゃんに言いました。

  

「分かったわ。じゃあ、4日後はどう?」

と、あび子ちゃん。

   

「大丈夫。では、またね。」

くま子は、玄関をサッと出て、家へと帰っていきました。

     

    

【筆者からのコメント】

筆者の自由もよ子です。

ここまで、「くまぎらいのくま子ちゃん」を読んでいただき、

本当にありがとうございます!!

くま子ちゃん、ちょっとだけでも気に入ってもらえましたでしょうか?

なんと次編では、くま嫌いになった理由が、ついに明かされますʕ•̫͡•ʔ!!

どうぞご期待くださいʕ•̫͡•ʔ  

 

 


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