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3Dプリンターの仕上げにおける実験

昨年光造形3Dプリンターを買いました。
これでものづくりが楽になるぞ!!!やった〜!!!と思っていたのも束の間
3Dデータ作りにそもそも慣れていないこと、プリンター稼働時間の長いこと、積層跡が気になるなど、意外と問題山積みでした。

ここでは最後に挙げた問題点、積層跡処理の仕方、3Dプリントをして出来た造形物の仕上げ方について研究したことをまとめていきます。
一点のアクセサリーを完成させるまでに行った実験の様子です。
一年前の記憶を文章にしているので、多少わからなくなっている部分があるかもしれません。

これから画像をいくつか貼りますが、見えづらい部分があるかもしれません。実験結果が気になる方は拡大して見てみてください。

いかに誤魔化すかの実験

3Dプリンターの練習も兼ねて、3Dが得意そうな図形で、何か中に物を入れられたらいいな。くらいのふわっとした動機からアクセサリーを作り始めます。今回は明確なゴールが決まっておらず、作業工程の少なさや完成度の高さを優先して製作していきます。

データ制作やプリントの過程は割愛。あくまで仕上げの部分の実験報告です。
まずプリント後の様子。小星形12面体のアクセサリーを作ります。

クリアのレジンで印刷しましたが、完全に透明というわけにはいかず積層跡で曇って見えます。形は中を空洞にして軽く、モチーフを分断して印刷しやすい形に。

このままパールっぽい塗装して誤魔化せないかどうか、エアブラシで塗装します。

積層跡誤魔化されず。安っぽいおもちゃみたいで失敗!ちなみにこれは中にビーズが入っていてカシャカシャします。あんまり見えないけど。
使った塗料はクレオスMr.クリスタルカラーXC07ターコイズグリーン
カラーに関しては、ちゃんと吹けばとても綺麗なので機会があれば使いたいな。

誤魔化すために更にもう1、2工程

人に見せるのを想定していなかった為、字が汚い

画像フォルダから実験のメモ書きのようなものが発掘されました。
積層跡を消すために、マット調にすれば誤魔化せるのではという実験をしていきます。
ここでいう「つや消し添加剤」はクレオスミスターカラー30フラットベーススタンダード、「プライマー」はクレオスメタルプライマー改のことです。
「何故ツヤ消しとプライマーを混ぜたのか」なんですが、当時の私はプライマーをサフ代わりに使用していたんだと思います、傷や積層跡隠蔽の為に。効果の程は分かりません。色々調べてクリアサフというものが手に入らなかったので。使ってみたいな〜、クリアサフ。あと、混ぜて吹いちゃえばエアブラシ一回で済むかな〜みたいなこと考えてました。

左から順に説明します
艶消し+プライマーのみ。パッと見誤魔化されている気がする、積層跡を誤魔化すという意味では成功かもしれない。
谷間に塗料ムラが白く残っているのが気になる。(これは塗装の技量の問題なので今回は見逃して)

真ん中
先程の実験にパールの塗装をしたもの。
そしたら積層跡が浮き上がってきた。
上からもう一度艶消しを吹いてみたが積層跡取れず。


じゃあもうヤスリで削ろう、スポンジヤスリで丁寧に積層跡を除去。
普通に綺麗!当然の成功!やはり谷間が白くなってしまう(塗装技術の問題)

表面処理と中身の実験

もう一個実験したいこと、中に液体を入れてみたらどうなるか。ついでに表面処理の実験もしています。

またメモ書き画像が見つかりました。
中に入れる液体は様々な説を聞きますが、今回は精製水+化粧水とベビーオイルで実験。

ベビーオイルとグリッター、液体なし

左:ベビーオイルの中にラメを混ぜています。動くとキラキラする。中に液体を入れると内面の処理をしなくても勝手に透き通ってくれる。

右:写真だと見えずらいですが内側に未処理の曇りが見えます。

2つとも表面にラメをレジンで塗布してみています。樹脂用染料SDNで赤に染めた後、積層跡の隙間にレジンを塗り、レジンの塗りムラを更にラメで誤魔化そうとしています。安っぽいおもちゃの結果となりました。因みにSDN、染まりますが今回分断されたモチーフをくっつけてから熱湯にぶち込んだので気圧の関係で接着したところから隙間が開きました。あともしやる場合はレジンの耐熱温度とかあるからやってみたい人はちゃんと調べて。

精製水と化粧水、液体なしにビーズ

左:表面処理はヤスリ→光沢クリア。使用したのはクレオス Mr.スーパークリアー 。光沢表面、一番キレイです。ヤスリがけが効いてる。地道な作業には勝てない。

右:一個前の実験にビーズを詰めたものです。液体は入っていません。こちらはヤスリがけ→パール→艶消し仕上げどちらも中に入れたものががあまり見えない。表面処理は良しです。

1年経った今現在の様子を見てみると、精製水と化粧水を入れたものは水分がやや蒸発したのか水分量が少なくなっているように見えます。あまり成功とは言えないようです。しかし完全に密閉して液漏れも無かったのにどこから蒸発するんだ

実験を踏まえて

以上で実験終わりです。

マット仕上げ、実験は成功っぽいけど、耳元アクセサリーのマット加工はモチーフに顔周りの油分がついて中途半端にテカテカになったらやだな、、、あとどうしても半透明になるので、そうなると中のものがあまり見えない。
今回はやめよう、となりました。また機会があればやろう。仕上げ方は良かったので。

そうなると光沢仕上げがいいかな、
じゃあ地道にヤスリがけしかないのかな、
ベビーオイルを入れると勝手に中身が透き通ってくれる、ラメを入れた表現可愛かったな、

のようなフワッとした実験結果を踏まえ、このようなアクセサリーになりました。

おもちゃ感があります。でも安っぽくない!かわいい!
ヤスリがけ→エアブラシの工程で地道に作るしかない結果となりました。カラーはガイアカラーのクリアーイエローと光沢クリアーを混ぜています。
目的の1つでもあった「工程を減らす」はクリアできなかったものの、それ以上に良いクオリティのアクセサリーになったのでは?

折角ならいろんな色で作りたい!

作りました。
自家通販では現在お取り扱いありませんが、こちらには在庫がまだ数点あるようです。
片耳で¥4,400。

そういえば制作動画とか作ったことあったな。
気になる方はインスタのリールを見てね。超早回し動画です。

までも仕上げ方のひとつの方法として、参考程度にご覧頂ければと思います。
こちらに記した情報が全てではなく他にもやり方はいくらでもあると思います。作品に合う方法でものづくりを楽しんで下さい。あくまでも仕上げ方のひとつの方法として、参考程度にご覧頂ければと思います。
また、こうしたらいいよ!などの知識や技術をお持ちの方のアドバイスなどありましたら、是非お教えください。

最後にお知らせがあります。

ワークショップをやります

なんと今回紹介した小星形12面体のピアス(イヤリング)が自分で作れるワークショップが貴和製作所で行われます。

モールドはJISSが製作しておきます。
好きなものと、オイルを入れ、蓋をして完成のワークショップです。
星形の他に画像のドロップ型、あともう1つ製作中のモールドの3種類からお選びいただけます。モールドの色は透明のみ。

今回は両耳セットで製作できて¥6,060。好きなように作りましょう!
更にお茶とケーキ付き。ゆっくり作業しながら、お話しつつ、楽しみましょう。

このアクセサリーが欲しい方にも、
3Dプリンター製の素材がどんなものなのか触って確かめてみたい、という方にもご参加いただければと思います。

11/28(月)①11:15〜  ②13:00〜 2回開催。
時間は1時間程度で予定しております。

詳しい情報はこちら、
ご予約は貴和製作所キラリトギンザ店までお電話をお願いします。
https://kiwaseisakujo.com/lesson/ginza-221128/

そこそこ長い文章にお付き合いいただきありがとうございました。ワークショップ、皆様のご参加お待ちしております!


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