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本ってなんだ

こんばんは。最近めっきり暑くなりましたね。 体調崩されていないでしょうか?

私は最近、暑いなあ、梅雨通りこして夏じゃん。と、ギラギラ紫外線を浴びながら通勤していた時、Podcastを聴いていました。
哲学学者の永井玲衣さんがメインパーソナリティをつとめる「ニュース二度見三度見〜社会のことちゃんと考えたいラジオ〜」通称#社ちゃんラ、という番組です。
1週間のニュースをさかのぼって、30分でまとめて振り返るもので、家にTVがない私にはぴったりの番組。

その中の、永井さんの導入で「梅雨入りは具体的な定めがなく、気象庁職員が話しあって毎年決まる」という話に「厳密に決まっている感じじゃないのがいいですよね〜」と言っており、いいですね〜と思っていました。

この言葉のなかで、物事の定めはあるようで、ないもんだな、と考えるようになりました。 金風舎でも新たな挑戦の中で「本っなんだろう」と私自身考える場面がたくさんあります。

金風舎では現在、独自の出版プラットフォーム「DCH - Digital Contet Hub」を開発しています。詳しくは弊社代表香月のnote記事をご覧いただきたいのですがhttps://note.com/nobosan/n/nede0dd85950e

ざっくり簡単に話すと、著者の文章をまずはWEB上で公開し、最終的には電子書籍や単行本(紙の本)にして販売していく物となっています。

自分自身も、この会社で働く前は「電子書籍なんて、紙の本の副産物でしょ。やっぱ、本は紙だよね」と思っていました。

もちろん、装丁がこだわり抜かれた本を所有していて幸せな気持ちになるし、この気持ちが全く変わったわけではありません。でも、本はそもそも「知見を開く媒体」を指すもので、その本質は「知見や知識を記す」ことにあります。

「本(名)」 ①人に読んでもらいたいことを書い(印刷し)てまとめた物。書物。[広義では、雑誌やパンフレットおよび一枚刷りの絵・図をも含む。]略 ②書籍・図書の汎称。かぞえ方、一点・一部・一冊・一巻 (新明解国語辞典第六版)

「紙に書く」ということで普及された「本」なので、紙というだけ、本質は形のない「知見」を形にすることです。さまざまなテクノロジーが普及した現在、その方法が、電子に変わるということは歓迎されるべきことなのではないかと思います。

たとえば、芥川賞受賞作『ハンチバック(市川沙央)』は、身体に障害のある主人公が、グループホームに暮らしながら、しがないコタツ記事や18禁TL小説をサイトに投稿し、そこで起きる出来事を綴った小説ですが、そこではこんな一文があります。

「こちらは紙の本を1冊読むたびに少しずつ背骨が潰れていく気がするというのに、紙の匂いが好き、とかページをめくる感触が好き、などと宣いた電子書籍を貶める健常者は呑気でいい」

『ハンチバック』

これを読んで、ドキッとしました。 個人の思い(しかも、小説という架空の世界での)なので、全てではないと思いますが、媒体が障壁で、知見を知ることができないのは勿体無いなと。「本の本質」って何だと。本ってなんだろう、と。

方法はさまざまに、「知見を届ける」という目的を見失わない様に、編集部でも挑戦し続けていきたいと思います。

「次世代の教科書」編集部 石田佑典

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