見出し画像

日経平均高値更新と2つの戦争。30年で失ったもの、得たもの、そして取り戻したもの。

2024年2月22日(金)に日経平均株価39,156.97円を付け、1990年12月29日の38,915.87円を超えて最高値を34年2か月ぶりに更新した。

やっと元に戻った、ここから再スタート、通常モードにもどれるような気がする、との感想を先日書いたところだが、ここ数週間でいろんな方と話をし、多くの識者者の話を読み聞きし、さらに3週間ほど前に軽症ながらも前後の記憶を失うような交通事故に逢ったこと、それからロシア・ウクライナ戦争、イスラエル・パレスチナ戦争のニュースを反芻することで、少し想いが変わってきた。

1990年末と言えば、その前後数年で世界の政治と経済の枠組みが大きく動いた頃だ。1988年のロシア通貨危機、1989年の天安門事件、ベルリンの壁崩壊、そして1990年にはイラクのクウェート侵攻、東西ドイツの統一などが起きた時期。さらに1991年㋀には湾岸戦争へと発展。そして12月にはソ連崩壊が続いた。時代が大きく動いていたのだ。

日経平均が「あの頃」に戻る?というそんな時期に、まるで世界の枠組みが、国際的な情勢も冷戦の頃の体制に戻ろうとしているようにも思える。日本は経済的に失われた30年だったのかも知れないが、旧共産圏や中近東、中国やロシア、南米諸国等その他の発展途上国や中進国の多くは政治的には失われた?逆戻りする為の30年だったのかも知れない。自由主義、民主主義が必ずしも先進的ではないのかも知れない。日本やアメリカ、EU諸国だって危ういものだ。

歴史は繰り返しても、それは同じ場所を行ったり来たりではなくて、らせん状に別の方向へ向かっている。必ずしも上の方や良い方向かどうかは分からないけど。30年間に失われたものに対して、得られたものの日本を含む世界の政治経済、個人の生活や意識、世界観や人生観、そして人と人との繋がりや繋がり方へのインパクトは計り知れない。IOT、ロボットやAI、量子コンピューターの実証研究、利用技術の開発、遺伝子解析から遺伝子操作やその応用、IOTとの融合を含むバイオテクノロジー、ビットコインやその他暗号通貨、NFTの発明や流通など。国境を越えて駆け巡る情報やデータの流通速度の超高速化や膨大な蓄積、社会基盤や生活基盤そのものが30年前とはかけ離れたものとなっていて、世界全体としては全く別の方向へと向かっている。いつの時代も変化は一部から始まって、変われないものや変わろうとしないものが変化を押しとどめようと抗う。それでも気が付いたら殆どすべてが変わっている。中島みゆきの「世情」のとおりだ。

歴史は繰り返すけれど、決して同じではないということ。既視感はぬぐい切れないけれど、あの時は、あの時。今は、いま起きていることを、いまのリスクとしてしっかり向き合うしかないのだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?