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P&Gのブランディング戦略をトレース


いきなりですが、P&Gと楽天のブランディング戦略の違いって知っていますか?

楽天は、大半の楽天の商品や事業に「楽天」という名前がついています。
(楽天カード、楽天市場、楽天トラベル等)

一方、P&Gは、商品にP&Gの名前は前面についておらず、商品の名前の方を前面に押し出しています。
P&Gという超有名ブランドがありながら、どうして本体のブランドを前面に押し出さないのでしょうか?

本日は2社のブランディング戦略を比較しながら、P&Gの財務数値と関連付けながら追っていこうと思います!


1.はじめに

はじめましての人も、既にお知り合いの方もこんにちは。

普段Twitterで「日本人全員が財務諸表を読める世界をつくる」を目標に、#会計クイズを発信している大手町のランダムウォーカーです。

https://twitter.com/OTE_WALK

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実は最近インスタグラムを始めました

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以下本題

今日は久しぶりにnoteで企業についての分析記事をまとめてみました!
お手すきの際にでも見て頂けたら幸いです(^^)


2.P&Gと楽天のブランディング戦略の違い

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ブランディングの際に、
①企業名の方を前面に出す場合→横串啓蒙型
②企業名よりも商品名を前に出す場合→個別適応型
があります。

例えば楽天の場合は、楽天という親会社の名前が紐付けられるように各サービス名にも付けられることが多いです。

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一方P&Gはこれとは逆で、親会社名よりも商品名の方を前面にだすブランディングをしています。
「これってP&Gの商品だったんだ!」となることも少なくないと思います。
せっかくP&Gという超有名ブランドがあるのにどうして商品の名前を認知させるブランディングをしているのでしょうか?

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ということで今回のサムネタイトルに繋がります。

今回はこのブランディング戦略を切り口にP&Gという会社の近年の経営戦略を財務数値から追っていきたいと思います。

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理由は大きく3つ

1.リスクヘッジ
仮にパンパースが大炎上して不買運動が起きてもアリエールで儲ける体制を作るため

2. M&Aが多い文化
よくM&Aや売却があるから今日P&Gで明日親会社が変わってもお客様を混乱させないため

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他にも理由はあるようですが、大きくはこの2つが理由のようです。


一方、楽天の場合は経済圏を展開しているため、横串啓蒙型のブランド戦略を採用しているようですね。

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3.会計クイズ P&Gの財務データはどれ?

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「最も価値の高い化粧品ブランド」という「The Beauty Economy」のランキングがありました。
それによると1位はロレアルパリ。ブランドの価値だけで137億ドルもあるそうです。

このことからもコスメ業界では「ブランド」というものに非常に価値がつけられることがわかります

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さて、そんな「ブランド」ですが、自社でブランドを利用する方法は大きく3つあります。
①自社で育てる
②提携する
③買収する

資生堂などは長年の実績などから「資生堂ブランド」を育成していますね。逆に価値のあるブランドランキング2位のジレットは2005年にP&Gが買収して以降、P&Gのブランドとして販売しています。

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以上を踏まえて今回の問題

登場企業は化粧品関係銘柄3社

・P&G
・資生堂
・ポーラ・オルビスHD

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この3社のうち、P&Gの連結貸借対照表はどれでしょう?

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少し考えてみてください(^^)





【ヒント】
連結貸借対照表の内訳です

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4.会計クイズ 解答


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正解は選択肢①がP&Gの貸借対照表でした。

今回は無形固定資産(のれんやブランド)にフォーカスをあてた問題でした。

化粧品メーカーの財務分析について話す際に、無形固定資産の論点はよく出てくるので、今回は無形固定資産にフォーカスを絞って出題してみました。

今回の解説は基本的にブランドや買収が財務諸表上のどこに影響するのか?というところと、最近のP&Gの経営戦略の転換について話していこうと思います。

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※のれんって何?という方向け!

「のれんの簡単な概要説明!」


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6.P&Gの近年の財務数値の動き

P&Gの近年の動向を財務数値から追っていきます

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冒頭にも紹介しましたが、P&Gという会社は、非常にM&Aをよくする企業です。

今までも数々の企業やブランドを買収してきました。

有名どころですと、ジレットやパンテーン、VS等がありますね。

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ブランドの獲得を目的としたM&Aが起こる背景としては、
①新規市場への進出
②スピードアップ
③収益力の強化
等があげられます。

※最近だとNewsPicksを運営しているユーザベースがアメリカのメディア「Quartz」を買収しましたが、あれのメイン目的はアメリカ及び世界の市場への進出の足掛かりにするためかと思います。
米国ではNewsPicksはほとんど知られていませんが、Quartzは米国の若手ビジネスパーソンの中では浸透しています。
そのため、1から新規の市場でNewsPicksの知名度をあげるよりもQuartzを足掛かりにして市場を開拓した方がスピード感が圧倒的に違います。

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そんなP&Gの従来の戦略は、小売店の棚をP&G製品で埋めつくし、棚を支配することでした。
棚自体を買い取り支配することで、新興メーカーの商品の置くスペースも奪い、戦わずして勝つ戦略です。
そのため、数多くのブランドを保有する必要がありました。

しかし、近年はECの普及により状況は変わってきます。

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ECの普及により、新興メーカーとの競争が激しくなります。
また、比較サイトや消費者意識の変化から、中途半端なブランド商品よりもPBブランドが選ばれるようになり、リアル店舗でも競争は激化します。

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そのような背景などもあり、近年P&Gの売上高は下落傾向です。

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一方、利益率の推移を見てみると2017年度のみ営業利益率と当期純利益率が逆転しています。
ここにP&Gの経営戦略の転換が見られます。

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逆転している理由を見るため損益計算書の内訳データを見てみると、
非継続事業から多額の利益が発生していることがわかります

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非継続事業から発生した利益の内訳を見ると、
どうやら事業を売却しているインパクトがかなり大きいようです。
この年P&Gはアメリカの化粧品メーカーのCoty等に40近くのブランドを売却しており、その影響が財務諸表に現れています。

ここから読み取れるP&Gの戦略の転換は、収益力のあるブランドに集中し、収益貢献の少ない非中核ブランドについては売却し整理をはじめているようです。

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一時的に利益率は上がっているためROEも上昇していますが、この戦略の転換の結果がどうなるかがわかるのはもう少し先になってからでしょう。
個人的に洗濯でアリエールのジェルボールを使っていることもありP&Gは応援していきたいですね!



以上、お付き合いいただきありがとうございました。
今回の記事を読んで少しでも財務諸表分析、会計、ファイナンスに興味を持っていただけたら幸いです。




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今回の記事の内容は、会計クイズの勉強コミュニティ「ファイナンスラボ」にて昨年4月に行った勉強会の内容をまとめたものでした。

イベントが無い場合、毎週このような分析を発信しているので、興味のある方ぜひ気軽にお越しください(^-^)




ファイナンスラボの詳細については下記リンクへ

https://note.com/jireikaikeiryoku/n/n64a4a6ea333d



【勉強会のお知らせ!】

今週末にやります!
IRの読み方講座!興味ある方はぜひ♪





以上お付き合い頂きありがとうございました(^-^)

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