カスタマーサクセスにおける効率化と非効率化のバランス
業務において効率化の追求って素晴らしい事だらけだけど、カスタマーサクセスに関しては非効率化も重要だよね。というお話で、SaaS導入時のオンボーディング業務について書いてみました。こんにちは、STORES でカスタマーサクセスのマネージャーをしている陣山です。
STORES 株式会社はお店のデジタルまるっと」お任せいただく為の STORES のプラットフォームを展開しておりSTORES /STORES 決済 /STORES 予約 /STORES レジ/STORES ブランドアプリ の5つのサービス(2022年12月現在)から成り立っています。
STORESでは、プロダクト毎にカスタマーサクセスがいて、私はメインで STORES 予約 のカスタマーサクセスグループを担当しています。
STORES 予約 は、2020年の途中までCoubicという会社名/サービス名称でしたが、2020年8月にSTORES(当事はhey)にジョインをしており、そのタイミングでサービス名を STORES 予約 に変えています。当時は、新組織としての体制構築が急ピッチで進められおり、私がその年の12月に入社したのもその一環だったのだと思います。(なので先日入社して丸2年が経ちました。早いッ!!)
この2年間、カスタマーサクセスとして仲間集めから始まり、本当にいろんなことにチャレンジをしてきました。
個人的なことでは、会社のWORK LOCAL という制度を使い、2022年2月に関東から福岡へ移住をしたことが、人生の中においても大きなチャレンジでした。
2021年に実施してきたことは、以下の昨年の振り返りで書いていますので少し割愛しますが2021年〜2022年の大きなチャレンジと決断をしたことを振り返ってみようと思います。
2021年は STORES 予約 のカスタマーサクセス元年
2021年が STORES 予約 のカスタマーサクセス元年だと(勝手に)思っています。狙っていた成果が表れた年だからです。
だいぶ遡る事、2020年、コロナ禍においてお客さま数が爆増したにも関わらず私が入社する前のCSメンバーは3名。オンボーディングチーム2名とその後のリテンション対応をするリレーションズチーム1名で頑張ってくれていましたが、どちらも本当に目の前のお客さま対応をすることで精一杯。顧客を成功に導くのがカスタマーサクセスだ!!なんて言っている余裕はもちろんありません。
この余裕の無さがお客さまにとっても、メンバーにとっても悪循環になってしまっていた状態でした。たぶん↓のような感じ。
2021年の取り組みで意識した「効率化」
「効率化」それは誰もが憧れ、誰もが目指して常に意識をしているステキな言葉。少ないメンバーで多くのお客さまを余裕をもちながら対応するには効率化を実践していくしかありません(もちろん、採用も強化してメンバーも増えました)。
メンバーが多くの時間を費やしているオンボーディング業務にまずは着目し、脱属人的なオンボーディングを目指し当たり前のことを確認するようにしました。例えばこんなこと
カスタマーサクセスとしては当たり前のことばかりですよね?いわゆる「凡事徹底」です。ただし、これらを整備し、実践しただけでは効率化とはなりません。この凡事徹底で大切なのは、属人的業務が少なくなり、一定の高水準のサービス提供が誰もが提供できるようになること。
そうなると人に「余裕」が生まれます。この「余裕が少しある」すなわち、目の前の業務以外の事を考えられる状態が、良いコンディションだと考えています。
この良いコンディションの中で皆んなが意識をしてくれたのが「自動化へのチャレンジ」と「コンテンツ強化」による「セルフオンボーディング率の向上」です。
これらが整うと、セルフオンボーディング率が高められ、業務の効率化をあげることができます。比較的、簡単に設定できるSaaSでもあるので事実、セルフオンボーディング率が飛躍的に高まりました。
以下のグラフは2021年のハイタッチオンボーディング(青線)とセルフオンボーディング(赤線)の割合の推移です。1月段階ではセルフオンボーディング率が20%程度でしたが、5月で逆転をし、最大で80%にも達しました。
セルフオンボーディングの高まりによる思わぬ落とし穴
セルフオンボーディング率を高めて効率化を行っていくという、狙っていたことが実現した2021年、これらをやり遂げてくれたメンバー達に私は足を向けて寝る事はできないし、いまだに凄すぎることだと思っています。
そして、オンボーディングスピードも上がり顧客もハッピーだと思っていたのですが、思わぬ落とし穴がありました。
それは、ある意味ではこれも当たり前のことですが「顧客を知る」これが弱まってしまったことで、多くの判断がつかなくなってしまったのです。
顧客を知らないと何も判断ができない
列挙した前述のヒアリング項目は、オンボーディング時にキックオフMTGを行っている方であれば当たり前に聞くべき内容ですよね?シンプルに、セルフオンボーディングの場合は、これらを聞く事ができなくなってしまうリスクが高いのです。
問題なのは、最初のタイミングで情報を収集できていないと、実際に稼働が始まって定量的なデータを見ても、それが良い状態なのか?不満足な状態なのか?判断がつかないのです。
良い状態なのか、そうでないのか?その判断ができないと、フォローすべきかどうかも分かりません。満足度も分かりません。チャーンリスクも分かりません。そして、関係値が無いので必要なヒアリングもしづらい状況になってしまいました。
結局、顧客のことを知っている状態でないと、チャーンリスクも下がっていかないのだと改めて強く思いましたし、カスタマーサクセスとして、このまま顧客を知らずに効率化を求め続けていいのか・・?自問自答を繰り返したのが2021年の年末でした。
非効率でも「顧客を知る」を知るべき
顧客を知ろう!というと、何を把握すればよいのか?と突っ込まれやすいのですが、企業/サービスによって千差万別なのだと思っています。
大切なことは、これらをヒアリングして蓄積させることによって、いつでも目的地と現在地を照らし合わせることが出来る状態にしておくことです。
さらに、このヒアリングした内容をカスタマーサクセスとして、お客さまと一緒に目指すことができると、顧客との信頼関係が必ず生まれます。オンボーディングフェーズとその後のフェーズで担当が違う場合においては、その信頼関係ごと引継ぎをすることがオンボーディングチームの役目なのかもしれませんね。
当然、完全なるセルフオンボーディングを諦めて、ヒアリングする内容を揃えて、そこに向かってお客さまに伴走すると、効率は悪くなります。
効率は悪くなるけど、その代わりに得られる「顧客を知ること」というのはカスタマーサクセスの財産になります。定量的な数値では計り知れない顧客の利用状況を判断できるようになり、将来的なチャーン抑止にも当然つながります。
そう決断をし、2021年に推進しまくっていたセルフオンボーディング率を2022年から徐々に引き下げてみた結果がこちらです。
効率化と非効率化のバランス重視型
セルフオンボーディング化は超絶重要なことで、それ自体を止めるつもりは全くありません。あくまでもバランスが大事なのだと。ゆえに、セルフオンボーディング率を下げてでも、カスタマーサクセスとして知るべき顧客の情報を蓄積することにしてからというものの、オンボーディング時点ですでにメンバーの顧客理解度が明らかに良くなったと感じています。
高い水準での一定のサービスレベルを保ち、効率性を担保しながらも、顧客の把握を行い、顧客との関係値を深められるには、この効率化と非効率化のバランスをどのような閾値にしていくのがベストなのか?その黄金比率を皆んなで追求しています。
2023年に向けて
その他にも非常に多くのことにチャレンジした1年でした。もう本当に数えきれないくらい。オンボーディング業務だけでなく、リレーションズチームの施策ではハイタッチフォロー、ロータッチフォロー、テックタッチフォロー、それぞれ多くの施策をみんなで責任を持ちながら実践し続けた1年でした。
1年以上続けたワクチン利用の無償提供も完了したし、新たなエクスパンションモデルの構築にも成功。これまでフォローできていなかったお客さまにもコミュニケーションも開始しました。
▼ワクチンの予約システムとして無償提供を続けた話
自分としては STORES 予約 カスタマーサクセス2年目が終了しただけではあるので、3年目は今年に生み出した施策の練度を上げ、更なる価値提供に向けて躍動していく2023年いしていきたいと考えております。
最後に
最後までお読みいただきありがとうございました。
STORES では2022年12月、多くのポジションで仲間を募集しております。少しでもご興味ありましたらこちらご覧いただけますと嬉しいです。
私は普段はtwitterに出没しているのでお気軽にフォローしていただけると嬉しいです。
STORES 株式会社
陣山一樹
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