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10年前にカスタマーサクセス部隊を構築したきっかけとは?

2010年、当時勤めていた(株)インフォマートでカスタマーサクセス部隊を作ってからこれまで、殆どのキャリアをCSで過ごしました。当然、当時は「カスタマーサクセス」や「サブスク」なんて言葉を知らず、CSは「既存フォロー担当」サブスクリプションのことは「チャリンチャリンシステム」と勝手に呼んでいました。そんな私が当時CS部隊を作ったキッカケなどを綴ってみたいと思います。構築後のコトはたくさんありすぎるので別記事で。

尚、特定の企業名を出していますが、全て私の主観であり企業としての公式・正式な見解ではありません。(インフォマート社のコトを多く綴っていますが、家族のようなものということで許してくれることを願っています)

当時カスタマーサクセスを構築した企業

当時勤務していたのは、今や30万社を超えるユーザーを抱えるBtoBプラットフォームを運営する株式会社インフォマート。その中で私が担当していたのはBtoBプラットフォーム規格書(当時はASP規格書システム)。Food業界の外食と食品卸・メーカーを繋いで「規格書」と呼ばれる商品情報をプラットフォーム上でやりとりする仕組み。うまく商品情報を集めることができれば外食側は簡単に自社メニューのアレルギー情報やカロリー情報を管理できるという素晴らしいサブスクモデルのシステム!比較的新しいシステムだったとはいえ、ユーザーは当時で700社程度だったかなぁ。(IR資料上で現在は8,000社超

ただ、なにが問題だったかって、このシステムは外食やホテル(買い手側)が情報を集めるので、そこが積極的に動かないと食品卸・メーカー(売り手側)もまったく動かない。

2010年に営業として入社して気づいたのが、この外食(買い手側)たちに対し、システムを導入した後の放置感がすごかった。導入したんだから、あとはご自由に使ってください!的な。新サービスだったので社内で人数もかけられない状況だったし。

でも今だったらありえない考え方をしていたわけで・・・(今はめちゃくちゃフォローしているはずなのでご安心を)

当然、外食(買い手側)への放置状態がつづき、そこに繋がっている卸とメーカー(売り手側)も放置をするという負の連鎖。

なんと私の担当はその放置されている食品メーカーへのアップセル担当となったのだ・・・。

とえあえず放置されている彼らへ訪問すると・・・

予想どおりの回答「うちは外食(買い手)からの依頼でインフォマート入会したのに、その外食が全く利用しないんじゃぁ、意味ない。せっかくおたくが来たんだから、この場で解約する。」チャーンん連発。

むしろ会ってくれるだけマシ。当時はTELしただけで怒鳴られることも。

これじゃぁ全く営業にならん・・・・

当然、営業数字もグダグタで・・・・

どげんかせんといかん!ということでこの放置状態を何とかしようと思いはじめました。

カスタマーサクセス(既存フォロー)を構築したキッカケ

営業として、既存のユーザーへ対してTELをしただけで怒鳴られるのはキツイ。さすがにこれはキツイということで、何とかしようと思いました。

何とかって・・・???

<当時の状況をまとめると>

・フォロー担当がいなかった。
・すでに放置状態が長く、外食(買い手)の先方担当者が既に辞めている。
・担当者がいてもシステムが難しくて担当のモチベーション低下。
・外食(買い手側)が放置していたので、紐づくメーカーも放置する。
・メーカーは、買い手側からの依頼を受けてインフォマートに加入(少額ながら利用料も発生)
・私の予算は、メーカーからのアップセルを狙うこと。
・メーカーへ電話すると怒鳴られる。

外食(買い手)をフォローすることで、そこに紐づく卸・メーカーも正常に動くようになり、メーカーからのアップセルも獲得しやすくなるのでは?!

そうだ!負の連鎖があるなら、その根源から修正すればいいんだ!食品メーカーではなく、買い手側である外食の運用を立て直そう!と名案のごとく思いつきました。そう、安易に・・・。

カスタマーサクセスとしてまず最初に実施したコトとは

部長に外食(買い手側)のフォローをすることを許可をいただき、メンバーは課長と私の2名。

まずは、理想のやるべきコトを整理から。

・オンボーディングの充実化(目的設定とスケジューリング)
・自走できるようにプログラム化
・利用状況のヘルススコアの構築
・定期的なフォローアップ

そう、今のSaaSで常識とされていることは当時から考えていました。
ただ、理想ではなくて現実を見た時に、全利用社数700社の中で外食(買い手側)は60社程度。
定期的なフォローアップが不必要で、自走している企業は10社もいなかったのでは・・・?

理想のやるべきコトは一旦おいておいて、起動修正よりも、いっそのことオンボーディングのやり直した方が早いと思って以下を流れで外食(買い手側)にアプローチ。

1. 電話してフォロー担当になったことを伝達。
2. これまで放置とはどういうこっちゃ!?と怒鳴られる。
3. 謝る。とにかく謝る。
4. 会社としてフォローを充実化させることを伝える。
5. 運用できなかった理由をちゃんと聞く。
6. それに対する改善策を持っていく。
7. 改善策を実施すると同時に、オンボーディングのやり直しを提案。
8. これを繰り返すと、5.の本当の理由が見えてくる。
9. 根本原因の発見と解決

あまりにも放置されていたので、7.の「オンボーディングのやり直し」これが当時は重要だった。もう一度やり直しましょう!これをもう、なんども依頼しました。ユーザーには「操作が難しい仕組みという」レッテルを貼られてしまっていた(放置してしまっていたので当たり前・・・)のでお土産として「ライト版」の運用方法を構築し、それを提案することで「あぁ、それならやりやすいかも・・・」という言葉をもらえるようにしながら。
なにより、その後に新規で加入する企業のオンボーディングの基礎を作るためにも・・・。

これを半年かけて20社くらいに実施していくと、目に見えて状況が変わってきた。外食(買い手側)が卸・メーカー(売り手側)に商品情報の提出をプラットフォーム上で求めるようになると、メーカー側も商品情報を提出するようになった。(もちろん、ここはマンパワーで超ハイタッチフォローをしながら)

負の連鎖の根源を発見すること

川の流れを止めている石を整備することで水が流れるようになる。当時これを実感しました。このおかげでメーカーのアップセル売上も目処がつき、フォローすることの重要性を会社も感じてくださり、私は外食(買い手側)の専属フォロー担当へと。メンバーも課長と私ともう一名増えて3名で活動できるようになりました。

まずは、どこで流れが詰まってしまっているのかをヒアリングによって聞いて(今だったら色々なシステムがあるが)、分析して冷静に対応することが必要です。

そこがうまくいけばユーザー様からは「あぁ、この担当者はちゃんとフォローしてくれる人なんだ」という安心感を持ってもらえ、信頼を得られるのでより良い情報ももらえるようになります。ここの理想的な領域に入るのは、元の関係が悪ければ悪いほど、実はすぐに到達しやすいのかもしれません。そのためにも最初のカスタマーサクセス構築段階では超ハイタッチを覚悟したほうが良いです。(もちろん残念ながらチャーンされてしまうケースもありますが)

次回以降のnoteでどうことを実施してきたのか。ヘルススコアの旧と新を記載できる範囲で綴らせていただきます。

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