病院を受診したらしてもらうこと1 診断編
病院を受診する基準 に続いて
3日以内の発熱、咳、喉の痛みで
水が飲めない
呼吸が苦しい
意識がおかしい
がある時、病院を受診する目的は、山ほどクスリをもらって帰ることではない。
まず、なぜ水が飲めないのか?息が苦しいのか?意識がおかしいのか?診断することだ。
1 バイタルチェック
血圧
心拍数
血液酸素飽和度(指を挟んで測る)
意識状態(自分では正常だと思っていても)
血圧が高いのは気にしない。
不安な時は上がるのが正常。
問題は低い時だ。
上が100をきる場合、脱水や敗血症を疑う。
「私ふだんから血圧低いんです〜」
と言う人は、前もって言ってくれ。
肺炎の診断で最も大切なのは血液酸素飽和度だ。
95%以下なら疑って検査する。
2 診察
視診 経験ある優秀な医師は、パッと見でその人の重症度をかなり見抜く。めちゃくちゃ大雑把に言えば、青白いのはヤバイ。赤いのは辛そうでもわりと大丈夫。
嗅診 私の造語だが、臭いはとても重要だ。
子どものアセトン臭、喘息児の親のタバコ臭、酒臭さ、肺炎・扁桃炎の膿臭、口臭。
それぞれのリスクがピンとくる、というかウッとくる。
呼吸音 胸の音より、喉の音が大切だ。ヒュー(上気道閉塞)、ゼロゼロ(喘息など)、ブー(肺炎)、と言わないか。
のど・口の中の診察 舌が乾いていないか(脱水)、扁桃が腫れたり膿がついていないか(扁桃炎)。
3 血液検査
最大の目的は、ウイルス性か細菌性かの判断をすることだ。
経過と診察だけでもおおよそ見当がつくが、迷った時には血液検査をする。
血算の中の白血球数(WBC)がポイントだ。
上がっているなら細菌性、上がってない、あるいは下がっているならウイルス性の可能性が高い。
(敗血症など例外はある)
血算だけなら時間もお金もあまりかからない。
初めはウイルス性で、後で細菌性が合併することもある。
(いわゆる「こじらせた」状態。解熱薬、咳止めを使った人に多い)
治りが悪いなら再検する。
もう一つ重要なのは、
生化学検査のナトリウム(Na)とカリウム(K)だ。
ナトリウムが下がる低ナトリウム血症(低張性脱水)になっていないか確認する。
痙攣した子どもや脱水でぐったりした人の多くは低ナトリウムだ。
下痢・嘔吐を繰り返した場合は低カリウムになりやすい。
意識障害では血糖値もチェックする。
特にスポドリ持ってダルそうにして入ってくる人!
4 レントゲン検査(はなるべくしない)
重症感が強い時は、胸のレントゲンや CTをとって肺炎の状態を確認することもある。
軽症の場合は治療に差はなく、放射線を浴びるだけでメリットはない。
私は子どもや妊娠可能な年齢の女性には肺炎を疑っても極力しない。
「妊娠してません」
と言う女性が入院ルーチンでレントゲンを撮られたら赤ちゃんが写ってた、ということはけっこう「ある」!(お願いだから、ちゃんと拒否してくれ<(ToT)>)
妊娠反応も初期では陰性になるし、最終月経を言えない女性、吐き気のある女性の「妊娠してない」は信用しない。
必要なことだけしてもらおう。
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