美人のホシ(保脂)〜手をきれいにする手洗い〜
手洗いは必要だ。
しかし、洗えば洗うほど良いわけでもない。
手をきれいにする手洗いとは、どんなものだろう?
先にポイントだけ。
0 手洗いの目的は人を守ること まず守るべきは自分の手
1 流水で優しく洗う 汚れを落として皮脂を落とさず傷つけず
2 よく拭く 質の良いタオルで擦らずに水を吸い取る
3 皮脂を補う ハンドクリーム、ワセリン
0 手洗いの目的を確認する
手洗いの目的は、人(自分と家族など、医療従事者なら患者や同僚)を病原菌やウイルスによる感染症から守ることだ。
人を守ることが目的なのであって、菌を殺すことは目的ではない。
だから落とすべきは病原菌と病原ウイルスであって、全ての細菌ではない。
病原菌や汚れといった付着物は表層に付く。
その下の皮脂や皮脂の下の善玉菌は、手を守ってくれている大切な味方だ。
人の皮膚は毛穴などがアリの巣のように入り組んでいて、深くまで常在菌が住んでいる。
外科手術前にどんなに手洗いしても、30分経つと細菌の数は元に戻る。
手の細菌をゼロにするなど無理な話だし、する必要も全くない。
病原菌も善玉菌も一緒くたにして全滅しようというのは、テロリストと一緒に一般市民まで皆殺しにするような暴挙だ。
味方を殺してしまっていないか?
その目安が手荒れだ。
手荒れしやすさは、皮脂の分泌能力、肌質、免疫力などによって人それぞれ違う。
手荒れすれば感染は増える。
だから手洗いは、手荒れしないことを前提に行わなければならない。
手荒れするなら、その手洗いはあなたの限界を超えているということだ。
どんなに洗っても手洗いだけで感染は防げない。
手洗いの限界以上は、食材、換気、免疫力など他の対策にゆだねよう。
手洗いで第一に守らなくてはならないのは、あなたの手なのだ。
1 優しく洗う
手洗いはその目的と限界を知って、皮脂を落とさず汚れだけを落とすように、できるだけ優しくしよう。
自分の手だと思うと雑になるなら、赤ちゃんか大切な恩人の手を洗うつもりで感謝して洗おう。(実際に大切な人の手だ)
流水で洗うのが基本だ。
目的は汚れ(表層の異物、病原体)を”落とす”ことだからだ。
汚れた創でも、流水でしっかり洗ってから縫うだけで感染を起こさないほど、流水洗浄は有効だ。
逆に消毒は創の治りを悪くして感染を増やす。
手を洗わずにアルコール消毒だけなど皮脂を落として生き残った病原菌を定着させるだけだ。
水の温度は大切だ。
冷たくないくらいがいい。
温度が高いほど皮脂が溶け、冷たすぎると血流が悪くなって皮脂を出せなくなる。
石鹸類を使うかどうかは、汚れの種類による。
油汚れなら使った方が落ちるが、皮脂も流しやすいので注意が必要。
手洗いの限界が下がってしまう。
石鹸をつけて手荒れするなら、流水で頻繁に洗った方が目的にかなう。
指の周りや手首など満遍なく、しかし優しく洗う。
菌を全部落とそうなどと、強くこすり過ぎてはいけない。
ブラシで擦ったりして傷つけると、直後は菌が減っても、後から黄色ブドウ球菌などの病原菌が増えてしまう。
黄色ブドウ球菌は感染症や食中毒を起こす代表的な病原菌だ。
さらに、傷ついた手は炎症を起こし、炎症は触れたものをアレルゲンにしてしまう。
私もかつて「手荒れい」に励んだ結果、手袋アレルギーに悩んだ一人だ。
2 よく拭く
洗ったらよく水気を拭き取る。水と油の関係で、水がついていると皮脂が戻りにくい。
質の良いタオルで、拭くというより、こすらずに圧迫して水を吸い取る。
指の間とか、自分が荒れやすいところを念入りに、しかし優しく。
有名なハンドモデルさんも「これだけです」と言っていたくらい大切。
3 皮脂を補う(保脂)
そして、皮脂を補おう。
いわゆるハンドクリーム、主成分は油だ。
その目的は、一時的に皮脂の代わりをすること。
そして皮脂を戻りやすくすることだ。
よく「保湿」と言われるが、これは誤解を生む言葉だ。
お肌がしっとりするために必要なのは、水分ではない。
水仕事の後、手はしっとりするだろうか?
カサカサになるだろう。
水に浸けて失われたのはもちろん水分ではなく皮脂である。
保つのは皮脂なのだから、保湿ではなく「保脂」と言う方が正確だ。
こちらはヨガの先生。
顔の話だが化粧水は使わず、ワセリンだけの保湿(保脂)とのこと。(3:40くらい)
(余談だが、ワセリンを鼻や目の周りに塗るとマスク以上に花粉などを防ぐ効果を実感する)
以上が、本当に手をきれいにする手洗いだ。
もしあなたが手荒れしているなら、実際にやってみれば、その違いに驚くだろう。
さらに改善するには、食事(特に脂質を十分に)、日光(ビタミンDが足りないと皮膚病になりやすい)や生活の手荒れ要因、手袋の使い方などを見直す必要がある。
手荒れするなら、何かが間違っているはずだ。
今あまりに傷ついた手をしている人は、傷を癒すことが先決。
癒えるまでMG&Cの『ミラクルグローブ』などの皮膚保護クリームを使うのがおすすめだ。
手を洗っても落ちない見えない膜で手を保護してくれる。
手荒れのひどいナースに差し入れると、きれいになって感激される。
アルコール消毒はあなたが医療従事者でなければ基本的に必要ない。
感染症の人と接したらしてもいいが(手を洗った後に)、やはり手荒れに気をつけないと逆効果になりかねない。
消毒の後も「保脂」は必須だ。
病原菌を恐れるより、自分がもともと持っている大切なものに感謝しよう。
その方が病原菌が増えない。
嫌なことを防ぐ以上に、嬉しいことを目指そう。(それが予幸医学だ)
昭和の『巨人の星』的な
思い込んだら 「手荒れ」の道を 行くが〇〇のド根性
ではなく、(〇〇が男でも女でも主婦でもナースでも)
これからは優しい手洗いとお手入れで、『美人のホシ』(保脂)を目指そう。
(読んでくださってありがとうございます。読んで良かった!やってみよう!美人の保脂を目指そう!と思った方はスキ❤️フォローなどいただきますと励みになります^^)
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