頭痛の対処法〜「痛い」の「居たい」の飛んでいけ
鎮痛剤飲むなって、この痛みをどないせぇっちゅうんじゃ〜い⁈
というそこのあなた。
痛みは、心と身体のアラームです。
何か「このままじゃまずいことがあるよ」と知らせてくれているのです。
鎮痛剤を飲むということは、言うなれば火災報知器が鳴っているのに火を消したり避難したりせずに火災報知器をブッ壊して
「これでOK」
みたいな話です。(焼け死にます)
痛みが続くということは、治ることが難しい状態にあるということです。
例えば、指などにトゲが刺さった時、痛いですよね。でもトゲが抜けると、まだ傷は治っていないのに、痛みはかなり消えます。骨折した時も、動かないように添え木を当てて固定するだけで、痛みはかなり楽になります。完全に治るのは1ヶ月後でも。
痛みのメッセージを受け止めて、治りやすい状態になれば、痛みは引くのです。
あなたは画ビョウを踏んで足の裏に刺さった時そのままにして、
「よっしゃ痛み止め飲もう!」
って思いますか?まず画ビョウ抜きますよね?それが、痛みのメッセージ、心と身体のメッセージを受け止めるということです。
頭痛は、あなたに何を伝えようとしているのでしょうか?
それは一人一人違いますが、多い順に例を挙げてみましょう。
1)凝ってますよ。
一番多い頭痛の原因は、首や肩や目の周りの筋肉の凝りです。緊張性頭痛といいます。
締め付けられる頭痛、こめかみ・後頭部の頭痛に多くなります。
左右片側の頭痛だと「偏頭痛(片頭痛)」と思っていたり医師にもそう言われる人が多いですが、実はその多くが緊張性頭痛です。
緊張性頭痛の原因は、第一に姿勢の悪さです。スマホを見るうなだれ姿勢、長時間作業する机や調理台の高さが合っていない、前や左右に傾いた状態が「まっすぐ」だと思っている人が多いです。
診察室で向かい合うと傾いている頭痛患者のなんと多いことか。本人のスマホを借りて撮影してあげると驚かれます。傾いた姿勢では筋肉は常に緊張を強いられて凝ります。
まさに画ビョウを踏んだまま歩いているようなものです。
目の凝りの最大の原因は画面の見過ぎです。ずばり、スマホ中毒です。30分に1回でも立って遠くを見て、肩腰をグルグル回して足踏みしましょう。(はい私も今タリーズでやりました)
凝りの頭痛の人が治るために必要なことは、ほぐすことです。揉むのが一番です。揉むといっても、モミモミすると逆に痛めることもあるので、痛いところをゆっくり押しては離す、指圧のイメージです。今流行りの筋膜リリースです。
自分でやってもいいですが、リラックスして人にやってもらうと効果的です。好きな人とお互いにやりっこするのは最高です。
私は救急外来で患者に指圧してあげることもあります。(暇な時ね)
その場で効果を実感して喜んでもらえますが、最近はセクハラだとかドクハラだとか言われがちなのでやりにくくなりました。(実際言われたことはないですが)
2)鉄が足りませんよ
慢性的な頭痛、月経前後に悪化する頭痛、階段を登るなど身体を動かすと悪化する頭痛に多い原因は、鉄不足です。日本の閉経前女性の99%は鉄不足と言われます。ビタミンDと並んで、日本人女性に不足している栄養素が鉄です。(お菓子や糖質ばかり食べている人が多いです)
最近は子どもでも鉄欠乏の子が多いです。小児科医が鉄欠乏を疑ってフェリチンを検査することはあまりないので、見逃されていることが多いです。
鉄が足りないと、酸素を使ってエネルギーをつくることが難しくなるので、身体はいつも酸欠状態。高山病のように、すぐ息切れがしたり、頭痛や吐き気がしたりするのです。(さらに脂質を燃やせないので、太りやすく糖質ばかり食べたくなります)
治るために必要なことは、まず鉄を十分に食べることです。赤身の肉・魚、卵、鰹節、大豆、小松菜などに含まれています。食べる時は、お茶、コーヒー、赤ワインといった苦いもの、渋いものを一緒に飲むことは避けましょう。タンニンなどが鉄の吸収を邪魔してしまいます。玄米のフィチン酸も鉄の吸収を邪魔するので、鉄を増やしたい人は5分づき米か雑穀がいいでしょう。(穀物を食べない手もある)
また鉄の吸収には胃酸が必要です。胃酸を減らすクスリは鉄不足の原因になります。
ただし鉄不足の人はタンパク質不足を合併していることが多く、消化酵素や胃酸が不足して肉などが食べにくくなることがあります。そうした人は、消化する必要のないアミノ酸たっぷりの味噌汁やボーンブロススープがおすすめです。
逆に、お酢やビタミンC、クエン酸などの酸っぱいものは鉄の吸収を助けてくれます。
鉄の調理器具でお酢を1さじ入れて料理すると、どんな料理でも鉄分が摂れます。
近年、栄養成分表でひじきの鉄分は10分の1に減らされました。鉄鍋でなく、ステンレスで煮るようになったからです。鉄の調理器具を使うことは、それほど決定的なのです。
サプリメントで摂るならフェロケル、ヘム鉄、ビタミンC、必須アミノ酸などが良いでしょう。
月経困難によって鉄を失う人は、ビタミンD(日光、魚、きのこ、サプリ)、ビタミンE(サプリはだめ、アーモンドなど)、ビタミンK(納豆、海藻)などを摂ることによって軽くすることが期待できます。
鉄は1日に吸収できる量は限られ、回復には何ヶ月もかかります。生活を改善して根気よく増やしていきましょう。
3)詰まってますよ
「詰まり」にも色々あります。
多いのは便秘です。
深夜に激烈な頭痛を訴えて私を起こす女性の多くは『浣腸の刑』に処されます。(←ちゃんと診察した上での治療です。ナースがやります)
恥ずかしがって「痛いのは頭なんですけど」的に嫌がる人も多いのですが、うんちを出すとあ〜ら不思議、頭痛が消えたじゃありませんか!
ちょっとバツが悪そうな、でもスッキリした顔で帰っていきます。
もう一つ、風邪の時などに多いのが、副鼻腔の詰まりによる頭痛です。副鼻腔はおでこやほっぺたの奥にあって、鼻呼吸することで一酸化窒素という重要な物質をつくります。
一酸化窒素は血管を広げたり、酸化を防いだりしてくれます。
口呼吸をしていると一酸化窒素がつくられず、全身の血流が悪くなります。
粘膜が浮腫んでますます鼻呼吸しづらくなり、副鼻腔の出入口が詰まると副鼻腔炎になって激烈な頭痛の原因になります。
塩うがい・鼻うがいすること、ビタミンD(ビタミンAも)を摂ること、なるべくゆっくり(少なくとも吸気は)鼻呼吸することなどがメッセージを受け止めることになります。
まだまだいろんな原因がありますが、今日はこの辺で。
なぜ人は痛みを鎮痛剤でごまかそうとするのか?
実は、治りたくないからです。
不安でいいイメージが持てない人ほど、変化を恐れます。
今までの自分のままで「居たい」と思うのです。
糖質ばかり食べている自分
傾いた姿勢の自分
運動しない自分
うんこを溜め歩く自分
そんな自分で「居たがってる」から「痛がってる」のです。
大丈夫です。
あなたには治る力があります。
もっと素敵で幸せなあなたが待っています。
心と身体のメッセージを受け止めて、生活を改善すると決めてみましょう。
ほら、それだけで、少し痛みが軽くなっていませんか?
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