Q&A 喘息のクスリをやめたいが?


Q
娘(9歳)で、喘息治療中です。昔から大きな発作もなく、時々ヒューヒューすることがあり、治療しています。
出来れば薬をやめていきたいのですが、小さな頃の治療が大切と聞き、迷うところです。

また、わたし自身も生理に合わせて体調不良があり、加味逍遙散を服薬しています。漢方もあまり、、、という記事を読み、対処法があれば、教えて希望いただきたいと思いご連絡しました。

A
 個人的な事情はわかりませんので、あくまでも『一般論』としてお答えします。

 私も9歳ごろまで喘息が酷くて、しょっちゅう学校を休んだり、夜中に発作を起こして母を困らせたりしていました。

 喘息とは、気管支が収縮して細くなり、炎症を起こして咳が出たり息が苦しくなったりする発作性の病です。

 発作性というところがポイントです。何らかの刺激に対して、急に起こっては治まってを繰り返すんですね。

 発作のきっかけは、煙(タバコ)などの臭いだったり、ホコリ(ハウスダスト)だったり、冷たい空気だったり、風邪だったり、不安や緊張だったりします。

 なぜ身体はわざわざ気管支を狭くして息を苦しくするのか?

 基本的には、免疫がうまく働けないからです。
 花粉症と基本的に同じですが、あえて繰り返しましょう。

1 未熟だから(ビタミンD不足)

 免疫細胞が成熟してちゃんと機能を発揮するためには、ビタミンDが必要です。
 ビタミンDが喘息発作を減らすことは多くの研究で明らかになっています。


 なぜビタミンDが足りないのか?最大の理由は日光不足です。
 ビタミンDの多くは皮膚に日光を浴びることでつくられます。
 私は小学校に上がる前、空気の悪い都会の街中に住んでいました。
 当時は排ガス規制もなく、大気汚染、光化学スモッグなどが問題となっていました。
 ビタミンDをつくるβ紫外線(UVB)は散乱しやすいので、大気汚染はビタミンDをつくりにくくしてしまいます。
 私の喘息も一番ひどい時期でした。

2 腸内細菌バランスの乱れ

 ビタミンDをはじめ、多くのビタミンや栄養素を腸から吸収するには腸内細菌が必要です。
 腸内細菌は基本的に母親から貰います。産道を通る時に全身に塗られ、母乳には腸内細菌とその餌が含まれています。私は母乳を1ヶ月ほどしか飲めなかったことから、腸内細菌はちゃんと育たなかったでしょう。
(噛み付いたのが痛かったらしいです。生まれた時からそういう奴...ごめんね母ちゃん(´;д;`))   
 その後もしょっちゅう熱を出しては抗生物質の使用、そして牛乳好きなどがたたっていたことと思います。

3 牛乳・小麦

 腸を汚してアレルギーを起こしやすくする物質として、牛乳のカゼイン、小麦のグルテンがあります。
 これらは粘膜に膜を張るようにへばりつくことによって腸を汚します。
 粘膜は洗い流そうと分泌過剰になったり炎症を起こしてむくみます。
 私は牛乳が好きで、小学生の頃から紙パックのままでガバガバ飲んでました。
 そして鼻はいつも詰まっているのが当たり前でした。
 思えば給食がなくなった高校時代は楽でした。
 プロテインパウダーを溶くために牛乳を再開した大学時代はまた鼻詰まりがひどくなりました。
 気づいて意識的に牛乳・小麦をやめると、鼻の通りの良さに感動しました。

4 口呼吸

 鼻が詰まって口呼吸をしていると、喉に乾燥した空気が直接当たります。すると免疫の要であるのどの扁桃が汚れて免疫がちゃんと働けなくなります。免疫は間違えてアレルギーや自己免疫疾患を起こしやすくなります。
 私はしょっちゅう扁桃炎で高熱を出して寝込みました。
 大学卒業前に手術で扁桃を摘出しましたが、それからものどが痛むことはありました。

 口呼吸のもう一つの害は、鼻呼吸すれば副鼻腔でつくられる抗酸化物質である一酸化窒素がつくられず、一酸化窒素とともに血管拡張作用のある二酸化炭素が下がりすぎることです。
 二酸化炭素が下がりすぎると血管は収縮しやすくなり、血液はアルカリ性に傾きます。(呼吸性アルカローシス)
 すると全身の血流が悪くなり、腎臓などの代謝は酸性に傾きます。(代謝性アシドーシス)

 代謝性アシドーシスは身体にとって望ましくない状態です。
 もしかすると喘息は、呼吸を妨げることによって二酸化炭素を上げて呼吸性アルカローシスを軽減し、その間、代謝性アシドーシスを是正する働きがあるのかもしれません。

 小児科医の母は私にゆっくり腹式呼吸させるよう指導しました。
 当時は正直、苦しいのにそんなんできるかい!と思っていましたが、理に適っていたかもしれません。
 (他の要素が改善しないのに発作時に腹式呼吸だけは辛すぎます)
 
 というわけで、喘息を治したければ、

1 日光を浴びる
2 サプリ(子どもは体重10kgあたり1000IUと肝油の併用がおすすめ)・魚・きのこでビタミンDを腸から吸収する。
3 腸内細菌バランスを整える(味噌、納豆、野菜、海藻などを食べる)
4 牛乳・乳製品・小麦を摂らない(バターは良い)
5 鼻でゆっくり呼吸する習慣をつける(夜は口テープ、ヨガ、瞑想なども良い)

 がおすすめです。

 クスリは一時凌ぎにすぎず、根本解決することはありません。
 発作を起こすと気管支が炎症で狭くなるので発作が起きないようにするのが大切ですが、クスリを飲まなくて発作が起きないのが一番なのは当然です。
 特に大人になって内服ステロイドを飲み続けている人は、喘息以上に悲惨な副作用に苦しむ人を多く見ます。
 ぜひ生活を改善して、子どものうちに治りますように。

『生理に合わせて体調不良があり、加味逍遙散』

 加味逍遙散は業界用語で「ヒステリー玉」と呼ばれ、ビタミンD低下が身体的精神的不安定の原因になっていることは多くあります。
 子どもの低ビタミンDは胎児期からの母親のビタミンD低下の影響もあります。
(私の母も勉強ばっかりで日光なんて浴びなかったアレルギー持ちでした)
 月経時の体調不良は鉄欠乏を疑わせます。ビタミンD低下は月経困難からの鉄欠乏の原因にもなります。
(鉄欠乏については別に書きます。)

 余談ですが、喘息には数々の思い出があります。

 小学校に上がり、郊外へ引っ越した私ですが、引っ越しただけではまだ改善せず、すぐに発作を起こしていました。持久走大会など走れたものではなく、1年性の春は欠席、秋はビリに近い順位でした。
 2年生になり、私は父親と朝ジョギングをするようになりました。なぜ始めたのかは覚えていません。
 衝撃的だったことは、持久走大会で12位になったことです。
 この時私は努力すればできるんだということを知ったのです。
(息子が喘息なのにタバコをやめない父でしたが、感謝しています(;`O´)oコラー!)

 それから昼休みにサッカーを始めるとみるみる丈夫になり(正午近い日光は一番ビタミンDをつくれる)、5年生では欠席なし。6年生では健康優良児に選ばれました。(母は「そんなわけない」と言って信じませんでした)
 中学1年では持久走大会で学年1位になったのです。(えへん)

 喘息は苦しいですが、今トライアスロンを楽しめているのも、ちょっと違った医者(良くも悪くも)になれたのも、その経験があったからかもと感謝しています。


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