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【統一地方選を関東から考える】政治批判の受け皿なし 大阪ダブル選の余波、東京へ

遙矢当(はやと) @Hayato_barrier

 与党である自民党の政策への信認や、IRの争点化など、多くの課題を抱えながらも争点化を巧妙にずらして選挙戦を闘った感のある今回の統一地方選。大きく躍進したかに見える日本維新の会だが、地方によっては維新を退けた選挙区もあった。自民党は勝利に終わったと安穏としていられない選挙区も多い。
 首都圏1都3県から、2023年統一地方選挙を振り返りたい。
 大きく言ってポイントは3つある。1つ目は、日本維新の会が大阪ダブル選挙(9日に投開票された大阪府知事、市長選挙)で得た勝利の余波が東京近郊にも波及し手しまったことであり、2つ目が市区町村議会で世代交代=自民党を中心に古参議員の落選であり、3つ目は共産党の退潮ということになる。
 大阪ダブル選挙については、9日が選挙日になったことが悔やまれる。正直、維新の余波が首都圏の地方選に波及しないためにむしろ同日での選挙日になっていた方が良かった。そんな所感を持った。今回の統一地方選挙については、反維新の観点で言うなら維新の勢力を「大阪府内のみに封じ込める(ことができる)か」という目標があった。ところが、この大阪ダブル選挙を、維新は軽々と乗り越えてしまった。これにより、例えば私の地元(東京22区)には、何と足立康史(衆院議員)が上京し、市議会議員候補の応援に出向く余裕を見せたりした。もっとも、都内での足立の知名度などは知れているものではあるが。
 その結果、私の地元では28議席中史上初となる維新所属の市議会議員が2名誕生するなど、痛恨の結果を招く結果となった。これは東京都内の各市区町村議会で同様の結果を生んでおり、9日の勢いに首都圏の有権者が乗ってしまった格好だ。正に受け皿となる政党が無いということを表すのかもしれない。

自民党の「退場」と共産党の急落
市民は地域を超えて再出発を

 2つ目は、国政の補選(衆院4、参院1)の結果もあり目立たないが、首都圏の市区町村議会では、自民党の古参議員が選挙結果により「退場」することになった。これは、補選が自民大国の山口選挙区等での結果であるがゆえ、自民党の草の根レベルでの退潮は実感しにくい。だが、補選の結果=(自民党への不信任)で現在の岸田内閣への支持を示さないという示唆に富むものになったと言えそうだ。今回の結果を見て「勝ったふり」をしている自民党は滑稽だ。自民党の統一地方選挙の選挙戦略は大阪を見ても分かるが、ここでもチグハグな印象を受ける。そもそも戦略と言えるようなものも無いのだろう。場合により解散を見据えていたとのことだが、これでは解散総選挙の(見通しも)覚束ない。
 3つ目は、共産党の支持が急速に下がってきていることだ。やはり、小池晃(書記局長)の田村智子中央委員に対するパワハラ問題と、松竹伸幸(かもがわ出版)を始めとする党則違反による党員の理不尽なパージに対するネガティブなイメージが拭えなかったことに起因しているようだ。前回の統一地方選挙に比して60議席以上失った。これが各自治体では維新の新しい議席に流れた格好となった。野党共闘はもう過去の話になるのか。特に現職の男性候補が落選するなどの事態が散見され、このまま行っても打開されないのだろう。執行部をじわじわと追いつめていく結果になり得る。
 もっとも大阪も、23日の首長選挙は結果が伸びなかった(高石市1勝)あたり、反維新の勢力は少しでも挽回を見せたし、維新の戦略が精緻なわけでも無い。これからの4年は大阪だけでなく、全国的に重苦しい4年間が始まるのかもしれないが、活路はあるという事だから、地域を超えて再出発をしていく必要があるのだろう。

(人民新聞 2023年5月5日号掲載)

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