見出し画像

検察庁法「改正」本丸 黒川検事長辞職 「コロナ自粛下」 接待賭けマージャン/抗議のSNS投稿1000万に

 政府は検察官の定年延長を可能にする検察庁法の改正案を、5月7日国会に提出、採決を狙った。
 だが8日から、「#検察庁法改正案に抗議します」というSNS投稿が計一千万近くに及んだ。国会前や街頭抗議も全国で多発。元検事総長ら検察OB14名も反対意見書を提出。背中を押された野党も抗戦。政府・与党は、5月18日、今国会成立を見送ると決定した。
 20年2月8日で満63歳となった黒川東京高検検事長は、甘利明元経済再生担当大臣や小渕優子元経済産業大臣を不起訴とした人物。その直後の16年、検事総長になるには必須ポストである法務事務次官に就任した。安倍政権はコロナ対策に専念すべき時期にもかかわらず、検察庁法改正案を国会に提出。しかも国家公務員法改正案と束ねて、法務大臣の出席を必要としない内閣委員会での審議を画策した。
 今年1月、「定年延長が可能な国家公務員法の規定を検察官にも適用する」との解釈変更を閣議決定し、黒川氏の退職を半年先の8月に延ばしている。続く今回の法改正案は、①検察官の定年を63歳から65歳に引き上げる。②検事長、検事正などの幹部は63歳で役職を降り、平の検事に戻る。③ただし内閣が必要と認めた場合、役職を続けられる、としていた。
 ①と②は、昨年秋の法案検討段階で入っていたが、③が加わったことで、内閣の判断で政権に都合の良い人物を検察幹部に残すことができる仕組みに変わった。政権の検察支配法案だ。安倍政権が今国会での成立を急いだのは、「モリ・カケ・桜」の不祥事、財務省職員の遺書での告発と遺族の提訴、河井克行前法務大臣への捜査が続き、自身に及ぶことを恐れたからだと言われている。
 小泉今日子さんなど著名人も法案に反対を表明し、注目された。だが、きゃりーぱみゅぱみゅさん(歌手)が投稿削除に追い込まれるなど、「芸能人は政治に口出しするな」との圧力も強いことは問題だ(特に若い女性に対して)。
 政権は秋の臨時国会で再提出を目論んでいたが、週刊文春が、黒川氏が産経新聞記者宅で、コロナによる外出自粛要請中の5月1日に接待賭けマージャンに興じていた、と暴露した。黒川氏は辞職し、法案は暗礁に乗り上げた。黒川氏のこうしたマスコミとの付き合いは、安倍政権に習ったものだろう。個人の辞職で幕引きは許されず、安倍内閣の総辞職が必要だ。

(編集部・村上)

【お願い】人民新聞は広告に頼らず新聞を運営しています。ですから、みなさまからのサポートが欠かせません。よりよい紙面づくりのために、100円からご協力お願いします。