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コロナパンデミックは 世界大変動への触媒/編集部 脇浜 義明

 新型コロナウイルス感染症は、気候変動と並び資本主義経済が産み出した異常で、グローバル金融危機などの経済的緊急事態と同じ系譜に置くべきだ。
 かつてのコロナウイルスのマーズやサーズやエボラ熱と同じく、人獣共通伝染病で、資本主義的工業農業生産様式が、多様性という形でバランスを保っていた生態系を乱して自然破壊したために、それまで隠れていたウイルスが現れ、動物を経由して人間に感染するようになった、と専門家が説明している。
 大量の毒性薬品で自然、人間、動物を汚染するアグリビジネスに対し、自然との調和を重視するエコロジー農業を唱える農業運動があることは、示唆的である。
 地球温暖化による極地の氷熔解から、未知のウイルスが出現するかもしれない。エボラ熱は英国の多国籍企業の森林伐採が引き金となって、健康なコウモリからウイルスが他の動物に感染、やがて人間に伝わって、数千人が死んだ。
 だから、新型コロナウイルス感染症を、それを産み出した資本主義的生産関係と切り離して考えるべきではない。
 投資銀行は「正常」に戻るまで、第三世界などから最大の資本を流出させ、市中銀行はひっ迫した中小零細企業への融資をマイナス金利にもかかわらず貸し渋りしている。
 もはや自由市場に任せられなくなって、政府は遅ればせながらパンデミック対策に大量の赤字国債を発行して不十分な規模ではあるが積極財政を行っている。しかし、パンデミック対策は性格上インターナショナルでないと効果はないのに、先進諸国は南側を見殺しにしている。かつて自国発展のために生贄にしてきた第三世界を、今度は自国保護のために見殺しにするのである。しかし、感染はグローバルだから、その仕返しは必ずやってくる。
 さすがに評論家たちも、ポスト・コロナ社会は「かつての日常」の復活にはならないと言い出した。今回の危機は1930年代の大恐慌に匹敵するが、あのときのような積極赤字支出では、次なるもっと深刻な危機の種をばら撒くことになる。
 企業救済、家賃肩代わり、生活費部分的援助などではなく、企業や金持ちの特権を没収すべきだ。資本家の資産を民衆の生きる権利のために解放すべきだ。コロナ危機を世界大変動への触媒とする視点で考えていこう。

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