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2週間で5人が路上で凍死|極寒のハンブルクでホームレスのホテル宿泊を求める動き

年明けから全国的に寒い日が続くドイツで、痛ましいニュースが飛び込んできた。1月19日付けの南ドイツ新聞によると、ハンブルクでは、2021年に入ってからたった2週間の間に5人のホームレスが死亡したことが報告された。原因はいずれも凍死だった。

ハンブルクは人口約184万人で、人口約376万人のベルリンに次ぐドイツの第二の都市。現在、およそ2000人が歩道や高架下など、暖房のないところで寝泊まりしている。2018年の時点で、ドイツ全体では推定67万8000人は家がなく、およそ4万1000人が路上で暮らしていたという。またホームレスの76%は男性で、女性(27%)よりも割合が高い。

犠牲者の一人は66歳で、1月15日に通行人によって発見され、救急車を呼んで蘇生を試みたものの、帰らぬ人となった。また大みそかには桟橋で1人(48歳)、住宅地で1人(45歳)、元旦には中心地にある公園で59歳の男性が亡くなっているのが見つかっている。その翌日には、65歳の男性の遺体が墓地に横たわっていた。男性の近くにはテントがあり、食事を作ろうとしていた様子だったという。

現在、ドイツでは新型コロナウイルス感染拡大防止措置のため、厳しいロックダウンが実施されている。その一環でホテルは観光客の宿泊を禁止しており、ホテルに多くの空き室がある状況だ。それを踏まえ、ハンブルクのキリスト教民主同盟(CDU)と左翼党は、ホームレスのホテル宿泊を要求している。

路上で暮らす人々の中には、寄付によってすでに宿泊場所を確保した人もいる。また、「コールドバス(Kältebus)」と呼ばれる、夜間バスで都市を巡回してホームレスに温かい飲み物や防寒具などを提供するボランティア団体も活動しており、必要な場合は避難場所に連れ行くこともある。しかし、コロナ感染対策のため宿泊できる人数には限界があり、例年以上にサポートが困難というのが現状だという。

支援が足りていないことは、5人のホームレスの死によって明らかだ。コロナ禍の標語である「ステイホーム」は、帰る家のない人々にとってあまりにも皮肉な言葉である。

参考:Süddeutsche Zeitung「Obdachlose kämpfen mit dem Kälte-Tod」enorm「KÄLTE UND CORONAKRISE: Was du jetzt für obdachlose Menschen tun kannst」

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