【2月オンラインセッション報告記②】三船大制

教養学部4年の三船です。
今回はセッション報告記ということで、
京論壇に少なからず関心のある東大の学生に向けて、
2月セッションの概要とそれについて自分が感じたことを
まとめようと思っています。

自分の所属した分科会の議論テーマは「新時代の人間関係」でした。
東大側がファシリテートを務めた10月セッションでは、
"人間関係と幸福"を軸に個々人のエピソードや考え方について
価値観ベースの議論をしましたが、
北京大側が主導した今回のセッションではうって変わって、
"日中両国の社会変遷と人間関係の変容"を軸に議論をしました。

さらに2月セッションはフルリモートでの開催ということで、
全メンバーが各自の部屋からzoomを繋いで参加しました。
自分たちの分科会が具体的にどんな議論を行ったのか、
詳細についてはぜひ報告書を読んでいただきたいのですが、
参考までに、以下1週間の進め方について書きます。

2月セッション概要 「新時代の人間関係」

1日目:日中両国の社会変遷について、議論の前提知識を共有。改革開放運動以降の中国社会、高度経済成長期以降の日本社会についてを中心に紹介し合い、メンバーの足並みを揃えた。
2日目:【個人-個人の人間関係】を小テーマに、具体的には競争社会やソーシャルメディアについて議論した。
3日目:【個人-家族の人間関係】を小テーマに、具体的には家族の変容や高齢者の孤独について議論した。
4日目:【個人-社会の人間関係】を小テーマに、具体的には学校や職場の人間関係やソーシャルキャピタルの重要性について議論した。
5日目:朝イチのミーティングで最終報告会に向けたプレゼン準備の担当決めを行った。各パートにつき東大側・北京大側1人ずつがペアになり、この日は各自発表に向けて作業をした。
6日目:午前中は各自作業を、午後はこれまで議論した社会問題について課題を深掘り、解決方法はあるのかどうか、日中両国の未来について議論した。
7日目:夕方まではspeechの原稿を作成し、パワポを作り込んだ。夜には運営メンバーに向けて発表リハーサルを行い、その後フィードバックを元に各自夜遅くまで担当箇所の修正をした。
8日目:各自朝からspeechの練習や資料のブラッシュアップを行い、日本時間13時、最終報告会を迎えた。


1~4日目までは日本時間10時から19時まで、適宜休憩を入れつつぶっ通しで議論をしました。1日ごとに北京大のメンバーがファシリテーターを務めてくれており、よく9時間も(しかもオンラインで!)ファシリテートができるなと本当に感心しました。
北京側・東大側でそれぞれ集まって議論をしていた10月セッションとは違い、今回はフルリモートでの開催。それぞれが孤独に画面と向き合っており目線も合わず、休憩時間になるとブチっと画面をオフに、という環境。
みんな本当に大変だったと思います。

2月セッションの感想

新時代の人間関係についての議論全体を通じて見えてきたのは、
国家間の社会・思想の差異だけでなく、
国内での世代間の差異/都市-農村間の差異や、世界共通の変化などが
複雑に折り重なって一つ一つの人間関係が成り立っているという事でした。

そのため、「中国の人間関係は〇〇で日本の人間関係は△△である。」
という様な、単純な二分論で結論づける事はできないんだと感じました。

また、確かに社会背景や伝統/慣習については日中両国で相違も多いですが、人間関係の主体はあくまで"個人"であって、その"個人"を形作る思想や価値観は国を超えて共有されてきているため、とりわけ京論壇というそれぞれの国で近しいバックグラウンドを持つ学生の間では、「新時代の人間関係」というテーマに関して共感できる意見が多かったように思います。

北京大の学生と議論をしていて「相違点」よりも「共通点」が多いと感じ、
「めっちゃ分かるわ〜」と思う事が何度もありました。

もう一点、議論の内容自体からは離れますが、
フルリモートでの議論を通じて得た気付きについて書きたいと思います。

コロナ以降一般に、オンラインでは感情が伝わりにくいためリアクションは大袈裟にするべき、や、相槌は多めにするべき、など言われていますが、そういった対処療法的な事よりも、コミュニケーションに前向きな姿勢を持つ事が一番重要だと感じました。

対面だと容易なのですが、オンラインでは関心のあるフリが難しいです。チャットでのコミュニケーションにおいても、発言の頻度や表現で暗にその人のモチベーションが伝わります。(誤解も生まれやすいですが。)
ましてやオンライン会議ツールを使った直接的(?)なコミュニケーションでは尚更、私達の本心は意図せずスクリーン上に反映されるように思いました。

しかし逆に言えば、オンライン会議ツールを通して感情を伝えることも不可能ではないです。非対面の壁は乗り越えられます。ただしコミュニケーションに前向きでいればです。そのためには、相手に興味を持つ事/自分の意見がある事・そしてそれを伝えることができる事が必要だと感じました。

これに関しては準備の次第でなんとかできます。が、
自分も出来ている時と全然ダメな時があったので、自省を込めて。
新時代の人間関係を良好に築くためには、こういった努力も必要だと学びました。

さいごに、
今から約一年前に自分が京論壇2020へ応募することを決めた時、
まさか中国に行けないなんて、フルリモートで議論を行うなんて
考えてもいませんでした。

正直参加者として残念に思うこともありましたが、京論壇2020はこれからの時代を先取りした経験であり、これからの時代で大切なことを議論できる場だったと思います。こんな状況だからこそ学ぶことのできた事も多いと、今なら言えます。京論壇2021が翌年度の参加者の皆さんにとって、実りの多い場となることを祈っています。

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