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パントマイム舞☆夢☆踏:インタビューサークル、サークルインタビュー vol.16

人物研究会が行っているサークルインタビュー。再開後3回目の今回はパントマイム舞☆夢☆踏(マイムトウ)さんです。気になる名前の由来から、サークル員のみぞ知るエピソードまで、パントマイム舞☆夢☆踏さんのあれこれ聞いちゃいました。

談〇パントマイム舞☆夢☆踏 清水さん
取材〇人物研究会(楠城)
構成〇人物研究会(楠城)

気になる名前の由来は、、、!

―まず、パントマイム舞☆夢☆踏さんのサークルの特徴を教えてください。
清水 活動場所は学生会館の会議室で行っています。人数は13人で内5人が他大学、早稲田が8人で学部も結構バラエティ豊かです。普段どんなことをしてるかは時期によって違くて、例えば、新歓期であれば木曜日に新歓のRIDEっていうイベントのための練習をやって、火、金曜日は指導者のハッピィ吉沢さんという方が教えてくださる練習と、自分達で後輩に教える練習の2種類でやってます。早稲田祭とかライブが近づいてくると火、木曜日は普通に稽古して、金曜日にハッピィ吉沢さんが来てくれて、技を極めていくというのが基本の活動です。
―「舞夢」っていうのはパントマイムの「マイム」からきてると思うんですけど、その最後の「踏」ってなんだろうっていう。
清水 そうなんですよねえ、僕も意味がわからなくて(笑)聞いたんですけど、どうやら「舞踏(ブトウ)」から来てるらしくてそのあいだに「夢」をいれた人がいたらしいんですよね。なんでそうしたのかは教えてくれなかったんですけど(笑)。このサークルを立ち上げたハッピィ吉沢さんによると当時のメンバーで東京外国語大学の中国語科の人がいて、その人に名付けてくれって言ったらこれになったらしくて、ハッピィ吉沢さんも何故この名前になったのかは知らないっていう。
―そうなんですね笑、謎のままなんですね。
清水 そうですね。まあでもなんか、舞☆夢☆踏ってもともとパントマイムをするサークルじゃなくて、ブレイクダンスサークルだったんですよね。なので、舞踏っていうのも実はブレイクダンスから来てるんじゃないかな、って僕は踏んでるんですけど、憶測なので。
―どういう経緯でブレイクダンスからパントマイムに移行したんですか?
清水 ハッピィ吉沢さんがもともとブレイクダンスの人だったんですけど、体を傷めちゃったかなんかでブレイクダンスが出来なくなっちゃって、パントマイムをちょっとやってたから、じゃあパントマイムサークル作ろうってなって。今でもブレイクダンスサークルの方は名前変えてあるらしいんですけど。
―そうなんですね。パントマイムの魅力はどう感じていますか?
清水 ハッピィさん曰く、言葉を使わないで伝えるために身体操作を駆使することは空間演出を極める必要性があるわけですよ。だからただ単に、ぺたぺたってやるんじゃなくて、壁がそこあるんだよっていう事を身体全体でやらなくちゃいけない。そういう風に色々研究していくとだんだんと理論ができてくるんですね。
―例えば、どのような理論なんですか?
清水 例えば、スポットライト理論っていうのは、当たり前なことにスポットライトを浴びているものはその場から動かない。ここに花があったとして、この花にスポットライトを当てるとしたら、この花の周りを人間が動く様に出来ている。で、じゃあこの花に価値がなくて花の方を動かすと人間側が主人公になる。花を嗅いで、(鼻で息を吸う)ってやると、花にスポットライトが当たるよ、みたいなそういう理論であったりだとか。ただ壁を触るのではなくて、壁を触っている時に自分自身も壁になるという風に相手に伝えるっていう理論であったりとか。まあ、結局ただの真似事やジェスチャーじゃなくて、ある意味理論に基づいて色々なものが組み立てられていくっていうのがパントマイムの魅力なのかなって思いますね。大事なのは理論ですね。
―意外ですね。結構センスとか関係あるのかなって思ってたんですけど。
清水 そうですね、やっぱりパントマイムの一番良いところってダンスとか演劇と違って理論に基づいてできているので初心者にも出来るっていう所ですかね。僕自身、中学高校と合唱と剣道しかやってなくて、パフォーマンス系やっていなかったんですけど、そのパントマイムの理論を言われてから続けられている所はあるので、そこは結構大事にしてますかね。

「全ての表現の基礎が学べるサークル」で見た一本の花。

―ちなみに清水さんはなんでパントマイムに入ろうと思ったんですか?
清水 僕が自己表現系のサークルに絶対入りたいと思っていて、まあ落語とかいろいろ見ていたんですけど、そこにマイルストーンの舞☆夢☆踏の所に「全ての表現の基礎が学べるサークル」ってあって、調子乗ってるな、って思って見に行ったんですよ。で、その時がハッピィ吉沢さんの特別稽古の時で、最後にパントマイムを見せます、って言ってさっき言ったスポットライト理論を紹介したんですね。花は、最初は価値はないけど、嗅いだ瞬間にそこに価値があるように見えるって言ったときに、そこに一本の花を僕は見て。
―おお~
清水 ああこの人すごいってなって。なら、この人の話聞いてれば絶対将来表現上手くなるし、何より結構論理的だったから、それまでパッションでやるもんだと思ってた節があるから、あ、じゃあこの人に師事しようと思って。
―ちなみにハッピィ吉沢さんという方は創設者ということなんですけど、結構毎週ちゃんと来られる感じなんですか。
清水 そうですね。来れるときは来てくれてますね。自分の生活もあると思うんですけど、やっぱりパントマイム舞☆夢☆踏を自分が作ったっていうのもあるし、思い入れがあるんじゃないですかね。僕たちはそれにすごいあやかってて、もはやボランティアのように来てくれているので、明らかに毎学期の講師料が割りに合わないっていうか、、こんなすごいこと教えてくれてるのに、こんな安い値段で教えてくれるんだっていうのに毎回感謝してますね。
―他のOBの方とかとは交流とかはあったりするんですか。
清水 たまに遊びに来るって感じですね。あとはライブで人がいないときに来てくれたりしてます。面白い人達ばっかりで、えーっと、ゆるキャンってわかりますか?
―ゆるきゃん?
清水 アニメがあるんですけど、その映画だかの演出かなんかの人がもともと舞☆夢☆踏の出身で、理系だったんですけど、舞☆夢☆踏に入って、演出とかいいなって思って、アニメーション学校に入って、でアニメの演出家になったみたいな話は聞きますね。
―じゃあ結構卒業後とかは、みなさんいろんなとこに行かれてる感じなんですね。
清水 そうですね。あと理系が多いです。体の構造が分かるので、ロボット工学とか学んでいる人とか、「オリヒメ」とか言ったかな、そういったロボットの会社を立ち上げた人がいるらしくて。体の構造とあとは舞台の演出の仕方とかも学べるので文型理系どっちも平等にいますね。
―舞☆夢☆踏さんのツイッターに載ってる動画を見たんですけど、カメラワークとかもこだわってたりとかするんですか。
清水 2020年の早稲田祭のオープニング映像の、、
―そうです。
清水 カメラワークは、舞☆夢☆踏に他大学の人で映像系の学校に通ってる子がいて、その子がこういうカメラワークにした方が良いとか言って作っていった感じですね。結構自由なのでやりたいことができちゃうって感じはありますね。
―例えば、一人でやってるパントマイムとかもあるじゃないですか。そういうのはそれぞれ自分で演出を考えていくんですか?
清水 だいたい一人でパントマイムやるのは早稲田祭だと思うんですけど、三日間ある夏合宿の最終日に全員何か自分で考えた作品を一つ出さなきゃいけないっていうのがあって、で、その中から、早稲田祭で披露できそうな作品を選んで、そのあと特別授業じゃないですけど、ハッピィさんとそれを作った人が相談して、良い作品に変えていくっていう感じです。結構自由だし、学ぶことが多いのでやってて飽きないですね。
―歴史的には1985年からということなんですけど、サークル員しか知らないエピソードとかはありますか。
清水 早稲田祭って許可がないとパフォーマンスできないじゃないですか。
―はい。
清水 なんですけど、舞☆夢☆踏は創立当初、路上パフォーマンスをゲリラでやってたらしいんですよ。当時それで結構人気を博したらしくて。
―今はやらないですか
清水 今やったら、、たぶん、、(笑)
―キャンパス内でいきなりパントマイム始まったら結構面白いと思いますけど。
清水 そうですよね、やったらおもしろいだろうけど、やった瞬間に捕まりますね、運営スタッフに。やっぱりその当時の自由な気風があったんだろうなって感じがして、ああなんか独特なエピソードだなって思いましたね。
コロナ禍の苦労と今後の活動に向けて
―コロナ禍のサークル活動はどうでしたか。運営上の苦労とかは。
清水 やっぱ今まであるイベントができなくなるっていうのは大きくて、特に新歓の時、本来いろんなとこに新歓ブースが出るじゃないですか、あの時にうちってスタチューっていうのをやってて、
―すたちゅー?
清水 要はさっき言ったゲリラみたいなもので、いきなりパントマイムをやって、興味を持ってくれた人達を呼び込んで、入ってくれないかって頼むってスタイルをずっと貫いてきたんですけど、それが無くなって、パントマイム舞☆夢☆踏って別に知名度があるわけではないので、自主的に来てくれるってわけでもなく、SNSの発信が上手いわけでもなく、、やっぱり対面活動が無くなったのが結構痛手になりましたね、当時は。
―今は対面でやられてるんですよね。
清水 そうですね。今は対面でできてます。
―その前のオンラインメインの2020年度とかはどういうような活動を?
清水 活動できなかった時期は、作品を作り続けようっていうので、一人一作品動画に撮って、それをツイッターに流し続けるっていうのをやって。
―ほう
清水 そうそう、あれは強制でしたね。で、活動が自粛される少し前に、さっき言った2020年の動画も撮って、とりあえず動画コンテンツを充実させようっていう、、まあねえ、やってたね。今思えばですけど。
―パントマイムやっていくうえで新入生にアドバイスするとしたら何かありますか?
清水 理論ですね。やっぱり、一番嬉しいのは理論を知って学ぶ子たちで、理論を知れば知るほどパントマイムって上手くなるので、ただ感覚でやらないでほしいってところがあります。できれば、そうやって学ぶってことが楽しい子が入ってきてくれたら、よりよい活動になるのかなと思ってて、なので「壁」っていうのをやるときもどうしてそれが壁に見えるのかとか、あるいはどうやったら壁らしく見えるのかとかもしっかり理由込みで説明しますね。中にはそれが嫌だっていう人もいるとは思うんですけど。
―ちなみに今年の新歓の様子はどうでしたか。
清水 今年は完全対面で体験をやりまくってて、ツイッターの公式アカウントで、来てくださいって言って、5,6人?かな、来てくれてて、まあここからどれくらい残るのかって話なんですけど。
―新歓の内容としては?
清水 まあもうフリースタイルと言うか、まず、うちの団体の説明をして、何かやりたいパントマイムあるか聞いて、だいたい「壁」って言うので、じゃあちょっと壁触ってみてって言って、やってもらって、、センスあるねみたいなこと言って(笑)。じゃあ、それをより壁っぽく見せるためにはどうすればいいのかなとか。例えば、中指でポイントを立ててやると、位置がずれないとか、あるいは手の角度は斜めにやるんじゃなくて縦にすると壁らしく見えるとかっていうのを段々と習得させてって、じゃあこの角度を保つためにはどういう練習が必要なのみたいな話もちょいちょいしてって感じですかね。
―例年通りくらいは新入生が入ってきてるって感じですか。
清水 そうですね。例年4,5人なので、二年前かな、コロナが来た時も4人入って。で3人抜けたんですけど。だから今、結構ギリギリなんですよ。けど、去年も一昨年も一応最初は4人入って、今年も4人くらい入ってくれれば嬉しいかなって感じですね。
―ちなみに全員早稲田生って感じですか
清水 いや、えーっとね、年によるな。二年前は3人他大で1人早稲田生で、一年前は全員早稲田生で、今年は早稲田生が多いな、やっぱ。
―飲み会とかもするんですか。
清水 昔はしてましたね。僕が一年生のとき、だから三年前とかは、前期に一回、後期に一回くらい飲み会があって、いろいろお話聞いたりとかしてましたね。
―そういう時ってハッピィ吉沢さんも来られるんですか
清水 来ますね。あの人感性が若いので、なんですかね、やっぱり年をとればとるほど頭が固くなるっていうイメージがあると思うんですけど、むしろ何でも受け入れちゃうから、面白い人だなと思います。
―座右の銘を教えていただけますか。
清水 パントマイム舞☆夢☆踏では全ての表現の基礎を学べるってところが大事なことなんだろうなって思っています。なんで全ての表現の基礎を学べるかって言ったらちゃんとした指導者がいることと、その指導者も理論に沿っていろんなことを教えてくれること、例えば、ハッピィさんはこの作品は肌に合わないとか絶対言わないんですよ。この作品はわかるわからないで教えてくれるんですね。お客さんが初めて見たときに、この作品がわかるかわからないか、わからない場合はどういうところを改変したらいいかみたいなところを全部教えてくれるので、全ての表現の基礎を学べるってのはパントマイム舞☆夢☆踏の良いところだと思っています。まあ座右の銘ではないけど、僕自身は学び続けることを大事にしてます。サークルであれ、授業であれ何であれ、学べるものがなかったらやっぱり価値はないと思っていて、多分どんなサークルでも学べるとこはあると思うんですけど、ただ、学ぶってことをクリティカルに知りたいんだったら舞☆夢☆踏がおすすめですね。

舞☆夢☆踏のメンバーへ

―最後に舞☆夢☆踏の後輩や新入生に向けてメッセージをお願いします。
清水 新入生に向けては、表現を一回もしたことがないとか、ダンスをしたことがない人達にとってパントマイムがその第一歩になると思うので、今後将来ダンスやってみたい、演劇やってみたいって人は一回だけでも舞☆夢☆踏に来ていろんなことを学んでみてもいいのかなと思っています。後輩たちに向けては、そうですね、ハッピィ吉沢さんは大事なことをいろいろ教えてくれるんですけど、じゃあ自分たちはその技をもって何をしたいのかってことを常に意識して欲しくて、学ぶっていうのは頭の中に知識を入れるってことではなくて、知識を入れてそれを実践するってことなので、なんでこれを教えてくれてるのかってことをずっと問い続けて欲しいですね。
―今同じ学年の人は何人くらいいますか?
清水 僕含めて4人ですね。
―4年生ってことはどんどんフェードアウトしていく人も?
清水 もともと6人くらいいてもう2人フェードアウトしてるので、結構根性で残ろうとしてるし、後結構自由なので、なんか一番最後のライブだけ出ようとしてる感じはしますね(笑)まあいっかと思ってますけど、それもそれでありですからね。
―ありがとうございました。

取材:2022年5月2日
対面取材

人研編集後記

現実には存在していないはずのものを、あたかも存在しているかのように見せるパントマイム。サークルインタビューを通して、サークル文化があたかも存在しているかのように見せている人物研究会。ふかいなあ。(楠城)

☆パントマイム舞☆夢☆踏☆

公式HP:パントマイム舞☆夢☆踏 (maimutou.info)
公式YouTube:パントマイム舞☆夢☆踏 - YouTube
Twitter:パントマイム舞☆夢☆踏(マイムトウ) 早稲田公認インカレサークル (@maimutou) / Twitter

★人物研究会★

「会いたい人に会いに行こう」をモットーとする1965年創立のインタビューサークル。早稲田祭などでは講演会の企画運営も行う。田中角栄公認現場叩き上げ。新会員募集中。

Twitter:早稲田大学人物研究会@jinken_2017
公式HP:人物研究会公式ウェブサイト