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営業で成果を出すために敢えて行動しない勇気を持とう

こんにちは。お金のマッチングプラットフォーム"お金の健康診断"を提供する(株)400Fで代表をしている中村仁です。

現在、営業サークルをnoteにて運営しておりその中で営業に関するケーススタディやお悩み相談をやっています。このnoteではそういった中でよく相談を受ける内容についてピックアップして、僕なりの解説をしていきます。

今回は、営業で成果を出すためには敢えて行動しない勇気を持とう、と言うお話です。僕個人としては営業は行動量を落とすことは絶対にいけないと感じています。行動量が少ないのに圧倒的な成果は出せません。でも、行動量だけ増やしても成果は出ず、さらには量が多いばっかりに心身共に疲れてしまうと言う罠に陥ることがあります。

今回のnoteではそれはどう言うことなのかと言うことについてまとめていきます。

1. 営業は量が全てだが、量だけでは解決しない

僕は元々野村證券で営業をやっていたこともあってか、営業は行動量が絶対的に必要だと考えている人間です。さらに、その行動量を落とさないために営業は仕組み化するべきだと考えてる人間でもあります。

そういったことについては2008年に野村證券3年目で生え抜き支店を異動する時に書いたこちらのレポートにまとめています

しかし、行動量というのは罠があります。いくら行動量を増やしても、何も考えずに行動をしてしまうと以下のような事態が発生します

- 行動エリアが間違っているため、行動量を増やしても芳しい成果が出ない
- 大口先の情報などを把握していないため行動量を増やして会えた時に対応できない
- 電話/DM/手紙などを誰よりもやっているが全く反応がない
- 飛び込み訪問を必死にやっているが成果がなかなかでない

では、なぜこのように行動量を増やしても無駄足に終わって心身共に疲れてしまうようになるのでしょうか?

2. そもそも営業は誰のためにやるのか?

そもそも営業とはサービスもしくは商品をお客様に対して販売する職業です。つまりはお客様に対してサービスや商品の提供を行うというシンプルな原理原則があります。

そして、そのサービスや商品が魅力的であることを前提にした場合、一番大事なのは「なぜそのサービスや商品をお客様が買う必要があるのか?」ということです。

営業成果を出している人の中で「人間力で売る」「粘り続けて売る」とかを言っている人がいます。よく言われるGNP(義理・人情・プレゼント)などですね。

あと、セールステクニックでプレゼンのやり方や、話題の振り方などを解説している講座などもありますね

それらについては手段としては学ぶのはいいと思いますが、それをベースに営業をすれば成果が出るというのはナンセンスですし、お客様をバカにしているとしか言えないです。

そもそも営業とはお客様のためにやるべきです。セールストーク、プレゼン能力、義理・人情・プレゼントなどは二の次で、まずはお客様がどのような方なのか、そのお客様を取り巻く背景はどういったものなのか、そのお客様が抱えていると想定される課題は何なのか、それに対応するサービス・商品は何なのか、を考える必要があります

3. ソリューション営業を卒業してインサイト営業をやろう

これは毎回僕が営業サークルなどでもいっているのですが、時代は"インサイト営業"になってきていると考えています。

情報社会になり、またスマートフォンで簡単に情報を取得できるようになってきた中で、お客様はあらゆる情報を取得しています。僕は今後5年以内に、コロナの影響もあって、僕たちが想像する以上に営業においてはお客様に主導権が移っていくと考えています。

そういった中で単純に「この投資信託」「この保険」「自社株承継対策」「節税対策」などといったソリューションを提案してもお客様はその情報をほとんど知っていることが多く「それはもう知っているので結構です」となってしまいます。

そのため大事なのはお客様を取り巻く状況を理解して、お客様のインサイトを深掘りして情報を整理して、お客様が気づかなかったポイントなどについて取りまとめていくことで最終的なソリューションに落とし込んでいくことです。

このインサイト営業についてはハーバードビジネスレビューの「営業の教科書」が非常に参考になります。

4. インサイト営業に必要なのは"事前準備"

そしてこのインサイト営業を行うに当たって必要なのは"事前準備"になります。

お客様に関連した情報をできるだけ全て収集して整理をして、お客様がどのような状態なのかを理解して、それを解決する術はどのようなものがあるのかを整理していきます。

把握すべきお客様の情報は、金融においては以下のnoteにまとめています。

このように必要な事前準備をしないままに、行動量を増やしても失敗するケースは、


- 必死に営業をして開拓したかったお客様や深掘りしたかったお客様としっかりお話をできる時間をもらったけど、いざお会いしたら何を話せばいいか分からなくて面談が失敗に終わった
- 案件ビジネスをやるために事業承継の資料などを用意して話をしに行ったが「それはもう他でやっている」「自分は興味がない」と言われてしまい案件にできなかった

ということが多いと思います。

上記のようにならないようにするためにもまずはお客様の情報を整理して、何を話して、自分の提案したい内容まで会話をリードしていくのか、ということを想定おくことが大事です。

5. 準備が大事だからこそ"行動しない勇気"を持とう

さて、タイトルの本題になります。この事前準備は大事だとわかっている人は多いと思います。しかし、僕が野村證券で育成や部下を指導してきたり、営業サークルでケーススタディをやっている中で、「準備が不十分」というケースが非常に多いと感じています。

そして厄介なのはこの事前準備は"時間がかかる"ということです。例えば、対象先リストが150社あったとしたら、優先順位をつけてTier1, 2, 3などにターゲットを選別する必要があります。そうすると、Tier1, 2でだいたい50社くらいになると思うのですが、その50社についての情報を全て整理しないといけません。1社あたり30分必要としても25時間必要になります。1日5時間時間を確保するとしたら5日間かかります。顧客情報を取り扱うため平日会社でやる必要があるかもしれません。

9時-18時などで勤務をした場合には、お昼時間を除いて5時間をこの準備時間に使わないといけないのです。この準備とはPCを開いて帝国データバンクで企業情報を調べたり、顧客情報システムで過去のやりとりを洗い出したり、ネット上で企業情報や代表者個人のSNSやブログをまとめるという作業になります。

そのため、この準備時間は「営業をすることができません」。電話営業もしない、DMを送る準備もしない、そしてもちろん外回りもしません。

そうなると上司や周りの目が気になります。「なんで営業していないんだ」「電話を一件でも増やせ」などと言われるかもしれません。

でも無視しましょう。そもそもそういう指示を出してくる上司は大して成果を出していない人たちだと思います。本当に大きな成果を出している人は準備をする大切さをわかっています。その大切さを理解できない人たちの言うことを聞くと営業人生が終わります。

僕は京都支店で富裕層ビジネスをやっている時に部下を指導していた時は、この事前準備がしっかりできていなかったら(僕が納得しなかった)、営業をさせていませんでした。事前準備もできていないのにお客様のところに営業にいくのは失礼です。お客様のことをしっかり理解した上で話題を振るので会話が盛り上がり、仮に雑談の中でもインサイトが得られ案件につなげることができます。

だからこそ僕は声を大きくして言いたいです。

「営業で成果を出すために敢えて行動しない勇気を持とう」

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