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アフターコロナにおける営業のキャリアについて - D2Cの波は営業にもくる -

こんにちは。お金のマッチングプラットフォーム"お金の健康診断"を提供する(株)400Fで代表をしている中村仁です。

今回のnoteではアフターコロナの時代において営業のキャリアがどのようになっていくのかについて私見をまとめたいと思います(主に金融営業)。

従来営業職におけるキャリアとは成果を上げて、昇格してマネジメントになるか、もしくは優秀な営業はより手取りの多くなる道としての独立・転職という流れが多かったと思います。

しかし、今回の新型コロナウイルスの影響で営業のキャリアについても大きな転換期が来るのではないかと個人的に予想しています。

結論からいいますと、①成果を上げた人がマネジメントになるわけではなくなる、②独立という選択肢がより手軽になる、③ITリテラシーの低い営業は淘汰される、という流れが今後5〜10年で加速すると思っています。

このように考えるに至ったきっかけとそれぞれのキャリアについて以下にてまとめていきます。

1. アフターコロナが営業に与えた影響

新型コロナウイルスの営業によって従来型の営業は転機を迎えました。新規の営業については飛び込み外交といったものが通用せず、法人営業においても在宅勤務が中心になると担当者などへのアプローチが難しくなります。

また、これまでは対面営業で顧客と接することができたためその場の雰囲気や見た目なども成果に結びつくことがありました。しかし新型コロナウイルスの影響によって一気に市場が開花したオンライン営業ではそのような"空気感"のようなものは通じません。

弊社ではチャットやZoomを使ったオンライン会議システムを提供している関係で、各営業がどのように顧客と接しているのかというデータを持っています。それをみていると、これまでの金融営業で一定の成果を上げていた熱意ある営業といったものに固執している営業はオンライン営業では一切の成果も出せないな、と感じています。

オンライン営業は気軽にアクセスをしやすいため、対面することを意思決定して営業を受けるこれまでの営業とはユーザーのモチベーションが異なります。つまり、オンライン営業においては"フワフワしたユーザーニーズ"を如何に喚起するのかということが重要です。

この際に重要なことは、①質問力、②丁寧な解説力、③しっかりとクロージングを伝えること、だと思います。まず、多くの方がイメージするこれまでの営業とは"売る"ことに焦点を当てており営業自らが話をすることが多いと思います。しかし、オンライン営業では営業が話をしすぎるとユーザーは簡単に逃げます。そのため、ユーザーのインサイトを探るための質問力がないとユーザー獲得にはつなげることができません。

次に、ユーザーはかなり気軽に営業に会うようになってくるため下準備をしていないケースがあります。その際に阿吽の呼吸や専門用語を多用する営業をすると、これもユーザーは簡単に逃げます。

最後に、これまでの対面営業はいわゆる"圧"のようなもので最後のクロージングをしていたことがあると思いますが、オンライン営業では通じません。しっかりと次になんのアクションをして欲しいのかを伝える必要があります。

このようにアフターコロナにおける営業は、"ユーザーに主権が移る時代"の到来だと僕は考えています。そうなってくると、必然的にそのようなモデルチェンジの中で営業のキャリアのようなものも変化してくることが想定されます。

2. オンライン営業時代に求められるマネジメントとは

金融機関に多かった事例ですが、これまでの営業の延長線上のキャリアは現場で結果を出してマネジメントに昇格していくことでした。この際に、そもそもマネジメント能力があるから昇格するのではなく、営業成果を出しているからマネジメントに昇格する、という適材適所的な考えで人事が多かったと思います。

しかし、オンライン営業時代においては従来型の営業力が通用しなくなる可能性が高まる中で、営業成果を出してきた人をそのまま昇格させることは大きなリスクがあります。それは、オンライン営業時代において求められるマネジメント能力は"営業の仕組み化"や"営業力の平準化"をできる人が求められているからです。そのため、"適所適材"で、マネジメントとして求められる要素を有している人をマネジメントにさせるという発想の転換が必要になります。

営業の仕組み化とは下記にある"THE MODEL"のように、自社の営業フローを整理して、それぞれのファネルにおいて自分たちの営業は何が求められており、どのような役割や機能を提供すべきかを仕組み化することになります。

つまり、オンライン営業においては個人が成果を出せば良いというのはなく、チームで如何にして成果を出していくのかを考えマネジメントをする人が求められていくと思います。

多くの金融機関が従来型の営業で成果を出してきた人を昇格させる方針を取っていますが、早急にその方針を転換した方がいいと思います。ある意味"バリバリに成果を出しているわけではないけど組織をまとめるのが上手"という人こそマネジメントに昇格をさせて、営業成果を出せる人には報酬という面で報いてあげることが大事になってきます。それをしないと組織全体としての成長が停滞すると僕は考えています。

3. オンライン営業時代には独立が当たり前になっていく

営業職において"独立する"ということは、ある意味大きな成果を出すことのできる優秀な一部の営業が選択してきたキャリアだったと思います。しかし、アフターコロナにおいてはこのような考えはなくなり、誰でも当たり前に独立できるチャンスが到来すると考えます。

そもそも、営業で生活をするには収支でプラスになり十分な手取りを生む必要があります。これまでは独立をすると、オフィス、システム、新規開拓に向けたマーケティング、人の採用などで多くのコストが発生し、そのコストを吸収して黒字化するにはかなりの営業成果を出す必要がありました。

まず、アフターコロナにおいてはユーザーがオンラインで相談するという概念について当たり前のものとして受け止めるようになってきました。これは大きなチャンスです。これまでの営業は新規営業のためには泥臭く対面営業やコミュニティへの食い込みなどを通して開拓をする必要がありました。

しかし、ユーザーとの接点をオンライン上でもてる。しかもネット完結型ではなく"相談"という営業が得意とする領域とオンラインが融合するのです。

また、オンライン営業システム時代はパソコンさえあれば準備できます。そのためコストのかかるオフィスなどを新設する必要なくある意味在宅でも独立して営業を行うことができます。加えてマーケティングなどもSNSなどを通したオンラインマーケティングを活用することができるため、フォロワーを増やす努力を個人で行って、オンラインコミュニティを形成してビジネスを成立さえることが可能だと思います。

オンライン上でのコミュニティについては、Twitter、note、Facebook、インスタグラム、そして昔からあるブログなど様々なツールを使ってユーザーにアプローチができます。つまり、金融営業においてもD2C(ダイレクトトゥコンシューマー)の時代がくると思っています。D2Cの概念やアパレルやコスメなどが多く取り上げられていますが、これは営業においても同じであると思っています。

なお、D2Cで勝つにはマーケティングノウハウを勉強したり、SNSなどの発信など継続的な努力が必要であり、それを自ら全て行うことは非常に大変でもあります。

そのため、僕は今後金融業界では新しいタイプのフランチャイズモデルが誕生していくと考えています。これまでのフランチャイズモデルは店舗を有していることなどを前提に考えられてきましたが、在宅ワーク×フランチャイズという新しい組み合わせが近い将来誕生すると確信しています。

フランチャイズモデルが成立すると新規ユーザーの認知拡大や獲得は本部が行います。そして、獲得してきたユーザーを独立を果たしたフランチャイズビジネスを展開している営業にアサインすることでビジネスが成立します。営業はオンライン上で営業ができるため、在宅、パソコンさえあれば事業可能、商品などは本部から提供される、といった仕組みの上で営業ができるためコストを抑えて事業展開が可能になります。これにより、収支のバランスもこれまでの独立モデルよりも負担が軽くなり、またフランチャイズモデルに乗っかることでビジネスができるため従来型の優秀な営業だけではなく、一度金融機関に就職したがライフイベントなどを通して退職してしまった人が復職する際に気軽に使えるモデルになったりすると思っています。

4. ITリテラシーと営業の関係はより密接になる

営業として今後必要とされる能力としてITリテラシーは極めて重要になっていくと思います。

ITリテラシーとは、パソコンを使える、というだけではなく、①オンライン営業のアナリティクス作業をできる、②SNSなどを通した情報発信やコミュニティ形成ができる、といった内容になります。

まず、従来より営業においては新規の場合には何件接触をして何件成約ができたなどをKPIとして取っているかと思います。オンライン営業においては全てがデータ化されるため、そちらのデータを活用して自らの営業ファネルの改善を行っていくことが必須です。

弊社のビジネスを通して多くの会社様とお付き合いしていますが、この部分についてしっかりとやっている企業が多くありません。しかし、オンライン営業においてはアナリティクスをしっかりやることこそが営業成果の差に繋がる為、しっかり学習する必要があると考えています。

そしてオンライン営業が普及すればするほど、個の時代に突入すると考えてます。ユーザーが営業を選ぶことができるようになってくるため、オンライン上で自らの考えや信念を発信して、それに共感してもらうことで営業としての成果にもつながっていきます。そのため、世の中にあるSNSなどのツールの特性をしっかりと学び、それぞれのプラットフォームでどのような情報発信をすることがユーザーにアプローチする上で重要なのかを考えていく必要があります。

5. まとめ

以上のように、アフターコロナにおいてはオンライン営業を主軸にしたキャリアを考えていく必要があります。

これらの時代に共通していることは、「ユーザーに主権があることを前提に考える」というものだと考えています。

オンライン営業が普及すればするほど、ユーザーが選ぶ、という金融営業ではあるようでなかった当たり前の状況が発生します。そうなってくると、売る能力ではなくユーザーに寄り添える営業の方が付加価値が高くなります。

そのようにユーザーと営業の関係が大きく変化することを前提に今後のキャリアを考えていかなければいけません。

これまでの10年とこれからの10年は大きく違います。それは業界構造の変化とかではなく、今回の新型コロナウイルスの影響でユーザーの行動や考え方が抜本的に変化したということです。この変化に敏感になって柔軟に変化していかなければ営業の未来はないと思います。

ぜひこのnoteの読者で営業職の方はそれを意識して今後のキャリアなどを考えていくことをお勧めします。

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