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オンライン営業のニューノーマル

こんにちは。お金のマッチングプラットフォーム"お金の健康診断"を提供する(株)400Fで代表をしている中村仁です。

現在、営業サークルをnoteにて運営しておりその中で営業に関するケーススタディやお悩み相談をやっています。このnoteではそういった中でよく相談を受ける内容についてピックアップして、僕なりの解説をしていきます。

今回取り上げるのは「コロナによって一気に普及したオンライン営業はこれまでの営業をどう変えるのか?」ということです。僕が経営している400Fでは今後の営業はオンライン化が進むと考えていて2018年11月からサービスを展開してきました。

最初の方はオンラインで営業をすることに対して批判的な意見や理解されないことが多かったです。しかし新型コロナウイルスの影響によってオンライン営業の市場が一気に普及してきたことを感じます。

そして、約2年前からオンライン営業をみてきた僕たちなので、これまでの営業とは何が違うのかをわかると考えています。このnoteでは、オンライン営業がどのような変化をもたらすのか、もしくはどのように変化していかないといけないのかを解説していきます。

1. 新型コロナウイルスが変化させた環境

未曾有の混乱を巻き起こした新型コロナウイルスはあらゆる産業に影響を与えており、営業職も同じであると考えます。そういった中で僕は以下のようなインパクトが起きていると感じています。

- 営業においてお客様に主導権が移る
- 会えないことが前提となる中でごまかしが効かなくなる
- ズボラな営業は消滅していく

オンライン営業が当たり前になっていく中で僕が一番大きなインパクトだと思っているのが「主導権が移る」ということです。

これまで金融機関とお付き合いしているお客様はすでに担当者が決まっていたり、誰と付き合えばいいかわからないので熱心に営業してきた人と付き合うということが多かったと思います。もちろん紹介で素晴らしい営業と出会うこともあります。

しかし、オンライン営業が当たり前になってくると営業担当者のデータや人物像などは全て可視化されていきます。さらにオンライン営業では、お客様が営業を選ぶことができるようになっていきます。そのため、今後営業の世界ではお客様が営業を選ぶということがより当たり前の世界になっていくと思います。

また、オンライン営業はお客様にとってはzoomとかチャットで営業を受けることは「逃げることも容易になる」ということです。対面で営業を受けると、どうしてもお客様がプレッシャーを感じたり、営業の雰囲気やオーラで成約してしまうということがあったと思います。

しかし、オンライン営業においてはお客様は簡単に営業から逃げることができるため、勢いだけで営業をしたり、丁寧さなどがなけれお客様に見透かされてしまい成約に至らないケースが増えていくと思います。多くの営業は「会えばなんとかなる」とかを考えている人は多いと思います。しかし、オンライン営業ではそのマインドセットは全く通用しません。自宅でカバンをハンカチの上において感動を誘うというテクニックも無意味です。

そして、オンライン営業ではお客様はセカンドオピニオンやサードオピニオンをより取得しやすくなります。そのため、ズボラな対応をしたり、返信が遅い営業はどんどん見捨てられます。

このようにオンライン営業が当たり前になっていくとこれまでの「人間味」的な営業の効用は低下していくと思います。お客様に主導権が移っていることを前提に、あらゆる営業フローを見直していかなければなりません。

2. Top Tierにも影響はある

このような話をすると「トップ営業には関係ない」と思う人もいるかもしれません。しかし、これにも変化が訪れると僕は考えています。

トップ営業のタイプも様々な種類に別れます。オンライン営業が当たり前になる中でも生き残るのは「紹介で基盤拡大ができる営業」だと思います。紹介を受けることができている営業というのはお客様からの信頼を得られているため、オンラインが前提になった時代においてもより強さを発揮できると思います。

一方で、特定のお客様との取引に依存しており、お客様もこれまでの長年の付き合いなどで取引をしているケースにおいては危険信号が点滅していると思います。それは上記でも述べたように、オンライン営業が当たり前になってくると、お客様はセカンドオピニオン・サードオピニオンを取得しやすくなります。そうなっていくると、これまでの関係が一瞬で崩壊するリスクがあります。

実際に僕たちがサービスを提供しているお金の健康診断でも金融資産1億円以上のお客様が既存金融機関との付き合いに疑問を感じてオンライン営業にアクセスをしてきて、資産を移し替えるという事例が出ています。この流れはますます拡大すると思います。

そのため、トップ営業であるから大丈夫ということはなく、お客様との関係性が本当に強固なものであるかどうかを今一度見直しすることが大事だと思います。

3. 継続的な関係がより重要になる

では、そのような中でお客様との関係は何が大事になるのかというと「継続性」だと思います。オンライン営業はいつでもどこでもお客様と繋がることができます。お客様もより気軽に営業との関係を築けます。

そして、お客様に主権が移っているため、営業はお客様に負担をかけることなく長期的な関係を築くことが大事になってきます。

そうなると大事な考え方がSaaS企業がKPIとして取り入れているLTV(顧客生涯価値)、Churn(解約率)、CPA(口座獲得コスト)などの指標を営業職にも当てはめていくことです。

SaaS経営で肝となるKPIなどについては以下のサイトなどが参考になります。

SaaS経営のキモ!経営レベルで見るべきオススメのSaaS KPI 9選SaaSのKPIとSaaS経営の重要な切り口medium.com

一人のお客様の総資産や年収推移などは現在の職業などからだいたい予測できます。そうなると、そのお客様とのお取引の中で自社のウォレットシェアを考え、その中からどの程度の収益を達成できるのかをまず考えます。さらに、そのお客様が自分との付き合いをやめてしまうリスク(=解約)も考慮した上で、どの程度の年間収益が妥当なのかも考えます。

そうすると必然とそのお客様とお付き合うする中での顧客生涯価値がわかります。さらに、自分がそのお客様を開拓するためにかかる(かかった)コストを自分の時給とアプローチ時間から算出します。その上で、そのお客様との最適なビジネスの関係を考えます。

この時に大事なのはいかに解約率を下げるかということです。特に金融業界においてはお客様との刹那的な取引によって一瞬は収益をあげるけど継続しないという状況が多く発生していました。しかし、今後はそのような取引は営業がオンライン化していくことでますます難しくなってくると思います。

解約率を下げるために大事なのは「丁寧さ」です。オンライン営業を行う中で、チャットやzoomを使った営業では「雰囲気」や「勢い」というものは抹殺されます。それ以上にお客様に丁寧に対応しているか、スピーディーに対応しているかなど、営業の基本的な動作がより重要になってきます。上記でも述べたような営業成績は良いけどズボラな営業は非常に厳しい立場に追い込まれていくと思います。

4. 営業は安売りをするな

そしてSaaS企業的な経営を行うようになるなら、営業は1件当たりの契約金額をあげることが非常に大事になってきます。全てをオンライン完結しない対面営業も併用する職種の場合にはこの考えはより大事になります。

一人の営業がきめ細かく対応できるお客様の数には限界があります。営業をオンライン化することで、これまでの対面のみの営業モデルからはある程度担当顧客数を増やすことは可能だと思います。しかし、それでも人数には限界があります。

そうなるとお客様とのビジネスを考えるにはLTVを引き上げるには、単価をあげるか解約率を下げるか、が大事になります。営業において解約率を完全にコントロールすることは不可能です。そうなると自らの営業モデルでコントロールできるのは単価を引き上げていくことです。

金融業界などでは手数料競争が激化していますが、営業がその波に飲まれてはいけません。自ら付加価値を発揮できるようにして、安売りの激流に抗っていかなければ死が待っています。

5. 全てがオンライン化することを前提に考える

オンライン化の波は営業フローにだけインパクトを与えるのではなく、営業職の情報の透明性などにも影響は出てきます。これまで「優秀な営業」と言われても何が基準なのか、本当にその人が優秀なのかどうかが全くわからない状況でした。

これはお客様と営業に情報の非対称があるといっても過言ではありません。そういった中でお客様が適切な営業とより長く関係を築くことは難しいです。

しかし、オンライン営業が普及していくと、営業をアピールするための情報網が整っていきます。そうなると営業職のあらゆるデータがお客様向けに可視化されていきます。営業成績、過去の所属、資格、そしてお客様満足度など。

そうなってくるとこれまで会社の看板でごまかしていたような営業パーソンは全くお客様から見向きもされなくなると思います。このような流れは夢物語ではなく実際に徐々に進んできています。

もはや営業は自分の全てがオンライン化によって可視化され、お客様に主導権が移る中でごまかしが効かない世界に突入していることを強く認識しなければ今後5-10年後は活躍できないでしょう。

6.  個がより活躍できる業界になっていく

このように営業にとっては厳しい状況になるように書いてきましたが、オンライン化が浸透すると最も良いことは「個人」により焦点が当たることです。

これまでお客様は営業を選ぶ基準が無かったりわからなかったため、どうしても会社ブランドに依存していました。そのため、大手がより強いという状況が生まれてきました。

しかし、オンライン営業が普及して営業のあらゆる部分が可視化されていくとお客様は会社ではなく個人を選ぶ時代になってくると感じています。

そうなると営業は「会社のために働く」という呪縛から開放され「お客様のために働く」という立ち位置を獲得できます。さらにオンラインで個人のプロフィールでお客様を獲得できるようになると、会社に所属している必要性もなくなってきます。

今後、営業職の世界のおいてもますます個人が独立した形で活躍できる世界がくると僕は確信しています。

7. まとめ

様々な論点でオンライン営業についてまとめてきましたがいかがでしたでしょうか?

僕はオンライン営業が普及することによって個人の営業職がエンパワーメントされると感じています。

お客様に主導権が移り営業としてはやりにくい状況になってくるかもしれませんが、その流れにうまく乗れたら今度は自分自身が個人として活躍できるステージに立つことができます。

営業としてお客様のことだけを考えて長期的な関係をオンラインを使って効率的に築けることは非常に幸せなことだと思います。是非営業に関わっている皆様は営業は全てがオンライン化する、ということを前提に今後ビジネスを邁進してみてください。

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