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最近、雑音の混じるラジオやレコードの音楽をより好んで聞いている


はじめに

 はるかかなたで活躍した宇宙船の乗組員たち。任務を終え帰途の長旅で故郷の地球にようやく近づきつつある証としてまず聞くのはきっとこれ。雑音にまじるかすかなラジオの電波。

時間があれば音楽を聞く。若い頃はソニーのポータブルラジオ。いまはもっぱらPCで。いちばんのちがいはデジタルの澄んだ音。このところそんな音楽ならば難なく聞ける。

されど何かが違うし、やっぱりむかしのままでないのはたしか。

きょうはそんな話。

ラジオとレコード

 いちばん音楽に親しんでいたのは10代。かたわらにはいつもソニーのラジオ。FMを流していた。当時のわたしは団地のアパート住まい。アンテナをしっかり張れず雑音が多かった。

音楽とはそんなものだと慣れてしまい聞きつづけた。中学の同級生のつまびくギターの生の音にあこがれ、こづかいを貯めて買おうかと楽器店のカタログを手にとりながめた。

高校ではいくたびかバンドに加わらないかさそいを受けた。友人たちの多くが音楽に親しんでいた。大学では7割ほどが県外者で全国各地から集まり、親しくなり各地の話を聞くとそこまでないらしい。活動がさかんな土地柄で育ち、けっこう音楽にどっぷりなじめる環境だったらしい。

雑音混じり

 ラジオに親しんだのはレコードが高価だったのが大きい。LPレコードには手がでない。しかも家にあるレコードプレイヤーはごくちゃちなもの。それよりは時間さえあれば聞けるラジオならば金はかからずてっとり早くていい。

好みの音楽をカセットテープに録音しはじめた。レコードやテープのいずれも、基本的に音楽の背後にシャーとかザーと雑音がつねに加わる。何度もくりかえし聞くうちにそれも曲の一部として耳に定着する。

友人の部屋で

 大学のある友人の家に遊びに行くとステレオをもっていた。さっそく聴かせてもらう。さすがに自分の慣れ親しんだ音とちがう。そういうものかと納得。雑音のあまりの少なさになぜかものたらなさが強かった。

生の音楽を高校時代によくそばで親しんだせいだろうか。けっこう余分なかけ声、手拍子、地響きや音楽がこだまして振動する建物などがじりじり震えるなど雑音が味つけになったらしい。どうやら10代後半のわたしの慣れ親しんだラジオの音楽が原点なのかも。

最近、音楽をふたたびよく聴くようになり、CDや電子媒体でやりとりするクリアな音に同様のものたらない感想をもちがち。われながらなんともわがままでぜいたく。

おわりに

 臨場感のある音を好むのか、もしくはラジオやレコードのように雑音や振り切れそうなほどの高い音や重低音混じりのほうが10代のころとおなじくこころ落ち着くものなのか。わざとそうした雑音を混ぜて聴いてみようか。

もしかしてそんなものを売り出したら澄んだ音ばかりの世間で売れるかも。ふだん音楽を聴いているヒトビトははたしてどう思っているのだろう。こればかりは尋ねてみないとわからない。


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