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決断を社員に委ねるべき時、自分で負うべき時

基本的に社長は、社員に様々な権限委譲をしていくことになります。そうしないと自分がボトルネックになってしまい、決済のハンコを待つ行列を裁くのが仕事、みたいになりかねません。権限委譲のポイントをまとめます。


■ 何のために決断を委ねるのか

権限委譲には部下を育成するという大きな役割があります。成功、失敗を含めて最後まで進捗を把握しておくことで経験を積めますし、自分の仕事の結果を把握してコントロールできることを「裁量権がある」状態といいますが、仕事への満足度が増すことが分かっています。

そう考えると、どんなことでも権限委譲することは問題ないのですが、考え方として「影響が及ぶ範囲」を考えておくと判断がしやすくなると思います。第一に優先順位が高いのは、顧客にどのような影響が及ぶか。サービスの内容を変えるとか、やめるといった顧客に不利益となるようなことについては慎重な判断が必要になります。その判断を任せされるかどうかという視点が必要です。同じように注意したいのがコンプライアンス関連です。ここが権限委譲と関連してくることはあまりないと思うのですが、社会的・法的に問題が起こりそうなことについてはあらかじめ知っておく必要があります。

その次に影響が及ぶのが社内になってきます。お金、時間、人材のリソースをどのように使うかということになりますが、基本的には問題が起きないように目配りされていればOKと思います。


■ 権限委譲しにくいこと

意外と見過ごされがちな大切な要素にサービスや商品の「値段」があります。値決めは経営者の専権事項と考えてもいいくらい、市場戦略的にも商品設計的にも大切です。なのですが、経営者側にも難しい問題なので決定を部下に丸投げしてしまうようなケースがあります。重要性を理解できていないと思われますので、しっかり手綱を握る必要があります。お金のブロックなどということもありますが、経営者でそんな甘いことを仰る方は個人的には見たことないです。ただ逆に、値段というものがどのようにつくのかというリテラシーを始め、経済というものに関する理解が少ない従業員の場合、高額の商品を売ることが難しい時があります。営業活動が中々進まなかったことがあり、その時は従業員側のお金への思考を整理する必要がありました。

後は時々苦労するのが、文章表現でしょうか。情報発信をされている社長さんの場合、それを部下の方に移譲するとどうしてもテイストが変わってきてしまいます。HPでもブログでもメルマガでもそうで、この塩梅はなかなか難しいです。プロのライターさんでも、代行して書くのが得意な方と、自分のテイストで書くのが得意な方とおられるくらいです。


■ 何を変えたいのか

企業の中で権限移譲をする時に、今のパターンのまま担当だけ別の人に引き継ぐというのと、別の人に担当を変えることで内容やパターンにも新しい風を入れようとすることの2パターンが考えられます。前者に比較して後者は中々難しいのです。経営学でその組織固有のやり方、パターン、考え方を「ルーティン」と呼びます。事業環境の変化で企業が新しいチャレンジをしようとする時に、リソースつまり「ヒト・モノ・カネ」を新しく配分するということはしやすいのですが、「ルーティン」を新しくする行動は行われにくく、変化を阻むのは大抵この「ルーティン」だと言われています。

そうすると失敗を恐れずにがらっと権限も、担当も変える必要があります。仕事の流れからやり方から変わらないと、本当は本質的な変化は難しいです。でも、管理する方が新しいことを知ることが難しいし、分からなくなると怖いし、ブレーキをかけてしまいます。自分が何を委ねたいのかをはっきりとさせることで、適切なラインを引くことが可能になるのです。

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