見出し画像

電気代削減のカギは住宅にあり。これからの家は高断熱住宅に。既存住宅なら内窓の設置で快適で健康な暮らしを手に入れる

住宅のエネルギー消費全般を研究テーマとし、健康・快適な暮らしを太陽光エネルギーで実現するエコハウスの普及に努める東京大学大学院准教授の前真之さんに、窓の断熱性能向上の重要さと、実際に内窓を設置したお話を伺いました。※高断熱住宅専門誌『だん』07から一部抜粋

窓のパワーアップで健康・快適な暮らしを実現

日本の家は、寒くて不快とよく言われます。筆者の研究室で行ったWEBアンケート(図1)からも、今住んでいる家の不満として、「冬の寒さ」が2位、「光熱費」が3位、「夏の暑さ」が5位と、温熱快適性や暖冷房費に関係する項目が上位にあがっています。

画像1

熱の流出・流入は窓・壁・床・天井と隙間や換気からが主ですが、日本の家は窓の性能が決定的に不足しており、暖房すると窓から一番多くの熱が屋外に流出します。また窓の隙間からは外気が容赦なく侵入し、冷たい窓表面で冷やされたコールドドラフトとともに、住む人の足元を冷やします。

9割の住宅が断熱不足 窓のパワーアップは必須

日本で断熱基準が初めて設けられたのは1980年。温暖地でペアガラスが必須の断熱等級4がようやく設定されたのは1999 年。それも強制ではなく任意の基準でした。

健康・快適な室内環境を実現するために「隙間風を防ぎ室内全体の温度を高く保つ」こと、暖冷房にかかる燃料費を減らすために「暖房に必要な熱を少なくすること」。この2つの目標を達成するためには、住宅最大の弱点である窓のパワーアップが絶対に必要なのです。

窓の断熱強化はまずは手軽な内窓から

断熱における最大の弱点である窓の断熱強化のため、最近では様々な工法が提案されています。窓枠を含めて窓全体を交換する方法や、障子の部分だけ交換する方法、既存の窓枠に新しい窓枠をかぶせる「カバー工法」など多種ありますが、一番手っ取り早いのは、既存の窓の室内側に新しい窓枠と障子を追加する「内窓」です。元の単板ガラスの外窓に内窓を追加すると、窓全体が二重化されるので、断熱性能が大幅に向上します。防音効果もバツグンです。施工が室内側からだけで済み、工期が短く費用もリーズナブルなのが大きな魅力です。

画像2


内窓は絶対おすすめ 暖かく涼しく遮音性も抜群

筆者が住んでいるのは築40年のRC造マンションです。窓はもちろん、単板ガラス+アルミサッシの実質無断熱。この冬に思い立って、内窓をつけることにしました。

家中の窓に内窓をつけていただきましたが、自分は在室したままで(ホテルなどに泊まる必要もなく)、工事は1日半で終了しました。窓枠を内側にネジ止めして障子(サッシとガラス)をはめるだけなので、作業は簡便で費用もリーズナブルです。

画像3

写真は筆者の自宅につけた内窓です。実際に内窓をつけてみると、冬に感じていた室内の寒さが格段に和らぐことを実感しました。また筆者の寝室は窓が北東に向いているので、夏は早朝に日があたりひどく暑くなっていたのですが、内窓のおかげで涼しいまま眠れるように。しかし一番の驚きは、その静かさ。外の道をいく車やバイクの音がほとんど聞こえなくなったのです。冬の寒さが大幅に和らぎ穏やかに眠れるようになり、夏早朝の日射熱も防げ、外の音も聞こえなくなり、まさに一石三鳥です。

家族に聞いてみても、生活の質がすごく上がったと大満足している様子。思ったより簡単な工事で、これだけ大きなメリットを得られる内窓は、絶対おすすめです。

断熱リフォームのススメ

断熱リフォームのメリットは明らかですが、「費用」「工事中の居場所」「仕上がり」の不安から、断熱リフォームに二の足を踏む人は少なくありません。家中全体を完璧に仕上げるのは、工事も大掛かりになりコストもかかります。手軽にできる断熱リフォームを広く知っていただくため、筆者の
研究室で「健康で快適な暮らしのためのリフォーム読本」という冊子を作成しました。この中では、手軽な部分リフォームから家中丸ごとのフルリフォームまで、その室内温度改善や暖房費削減の効果を、4つの断熱プランでシミュレーションにより検証しています。無料でPDFを公開しているので、ぜひご覧ください。

住まいを低コストで居ながらにあたたかく『健康で快適な暮らしのためのリフォーム読本』PDFはこちらからダウンロードが可能です。
※冊子はまとめ買いのみ対応➡ 健康で快適な暮らしのためのリフォーム読本

★関連記事 夏はどうして不快なのか? 住宅の夏の暑さ対策

※高断熱住宅専門雑誌「だん07」の「窓が変える暮らし」に全文が公開されています

電気料金の仕組みと値上がり対策についての記事は次号の「だん09」で電気予報士の伊藤菜々さんが解説しています。