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よく聞くワードをQ&Aで解説「ZEH」

光熱費削減、温暖化防止、資産価値、健康寿命
メリットだらけの住宅の新定番ZEH(ぜっち)

暮らしのエネルギー消費をゼロにする(=ゼロエネ生活)が実践できるZEH(ぜっち)住宅について、普及に取り組むZEH推進協議会の小山貴史さんに用語の解説とそのメリットをお伺いしました。※聞き手:だん編集部


――テレビCMや住宅展示場などで「ZEH」という言葉を見かけますが、どういう住宅なのでしょうか?
「ZEH」はゼロ・エネルギー・ハウス(Zero Energy House)の3つの単語の頭文字をとった略称で、「ゼッチ」と読みます。住宅で使う年間のエネルギーの消費量についておおむねゼロを目指す住宅です。国が補助金を設けて普及を進めていることもあって取り組む住宅会社も増えているので、住宅展示場でも見かけるのだと思います。

――給湯や冷暖房にはエネルギーを使います。なぜ消費量がゼロになるのでしょう?
使うエネルギー以上のエネルギーを太陽光発電などでまかなうからです。

――なるほど。そもそもなぜ国はZEHを推進するのでしょうか?
石油や石炭などの化石燃料を使うと大気中に二酸化炭素を排出します。二酸化炭素は温暖化ガスのひとつ。化石燃料を使い続けたことで気温が上昇しているのが、温暖化問題です。

巨大ハリケーンや豪雨、大寒波などの異常気象が世界各地で起きていて、経済的にも大きなダメージを与えています。この流れを止めようと、2015年の12月にすべての国が参加して、気温上昇を2°C以内に抑えるために協力することを約束しました。

日本では、温暖化ガスの排出量を2030年までに2013年比で26%削減、2050年までに同80%削減という目標を掲げています。住宅分野ではZEHの普及が目標達成に向けた削減計画に盛り込まれているのです。

世界的には化石燃料を燃やさない「脱炭素社会」にシフトしています。例えば自動車業界では、トヨタ自動車が2025年頃までに全車種にプラグインハイブリッド車または電気自動車を設定するという目標を発表しました。

――住宅業界の脱炭素社会に向けた取り組みのひとつがZEHということですね。
はい。脱炭素、そして国策としてのエネルギー確保の点から、ZEHが住宅のスタンダードになるべきだと考えています。


高断熱+省エネ設備+再生エネ=ZEH

――具体的にはどんな住宅なのですか?
国が定めているZEHの要件は、①冷暖房に頼らずに快適な室内環境を保てるよう断熱性能を高めること。②冷暖房器具や照明、給湯設備などエネルギー機器を省エネ性能の高いものにして、エネルギーを効率よく使えるようにする。③太陽光発電システムなど再生可能エネルギーを使って、エネルギーの年間収支予測をおおむねゼロ以上にする。これら3つの要件を一定の水準で満たした住宅がZEHと定義されています。

――コストがかかりそうですね…。
たしかに初期の建築費用は高くなります。ですが、高断熱化で光熱費が安くなったり、太陽光発電で余った電力を売電したりと、建築費用とランニングコストをトータルで考えると、結果的には一般的な住宅と比べてお得になるケースがほとんどです。高断熱化で健康状態が改善することで、医療費が抑えられるという研究結果もあります。

――家計にはプラスになりますね。
ZEHは温暖化・脱炭素、さらには健康長寿や医療費削減といった社会的な課題に応える住宅。地球環境問題への対応という次の世代への責任を果たすことができます。これからの家づくりに欠かせない考え方ではないでしょうか。

※本記事は「だん01」の記事を再編集しています