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ZEP謎曲「ABC Song」とは?

前回はOGレーベルのビートルズでしたが、今回は別の日本製レーベルMARCが出したZEPのLP「White Summer」に関して触れてみたいと思います。MARCは簡素な作りのOGと違ってデラックスジャケットに包まれており、洗練された作りは第二世代の日本製ブート・レーベルと呼べるものでした。


ここが出した有名タイトルの一つがZEPの「White Summer」。このレーベルらしく73年のZEPを使った垢抜けたデザインのジャケで当時は名盤扱いされたそうで、それを物語るように海外製レーベルによるコピー盤まで生まれました。


しかし実際の中身は全然大したことなくて大部分を占めた70年デュッセルドルフはヨーロッパ製「Life」あるいは「Live」からのコピー。これは元のAudがなかなかいい音してるのでコピー盤であるこのMARC盤でも十分に楽しめました。だから当時は名盤扱いされたのでしょう。おまけにジャケもイケてるしね。

残りのパートはWizardoの「Caution Explosive」に収録されていた69年ウインターランドのAudなんですが、これピッチがめちゃめちゃ高くてこの上なく聞きづらい。


さてここからが本題です。
「White Summer」のB面ラストには「ABC Song」という謎の曲が収録されていて「Very Rare Studio Outtakes」とのクレジットが。子供なら誰もが歌う「A-B-C-D-E-F-G」から始まるあの曲。これがZEPと無関係な曲や演奏であることは一聴すれば明白で、当時ですら「誰だこれ」と思ったはず。にもかかわらずThe Amazing Kornyfone Labelサイトでは「プラントと娘カルメンによるヘッドリーグランジでの録音」と紹介されています…そんな訳ないだろ!笑

では、この「ABC Song」は何なの?

誰もがそう思いますよね?私もずっと疑問に思ってました…「Caution Explosive」を手にれるまでは。
「Caution Explosive」は先のピッチ高すぎ69年ウインターランドにかの「Live On Blueberry Hill」のコピーをミックスした二枚組。よって冴えない内容なのですが、それを手に入れて大したことのない内容に我慢しつつ最後まで聞いたら驚きましたね。Disc-2のB面を最後まで聞いていたら…まさかの「ABC Song」が出て来るじゃないですか!

そう、MARCの「White Summer」は「Caution Explosive」からウインターランドだけじゃなくて「ABC Song」までパクっていたのです。

何が「Very Rare Studio Outtakes」じゃ!

で、この「ABC Song」を歌っているのは誰かと言えば…「Caution Explosive」張本人Wizardoレーベルのジョン・ウィザードの友達「ラリー」という人物で、伴奏しているのがウィザードその人。というのも、ウィザードは友達とThe B.Toff Bandというバンドを組んでWizardoから自分たちのレコード「21 Golden Greats」を出している。そしてアルバムには「ABC Song」も入っている…「Caution Explosive」とは別バージョンで。

何が悲しくてこんな曲のバージョン違いにまで触れなければならないのか… 笑 でもこれで彼らの演奏でZEPとはまったくもって無関係だったことは分かってもらえましたよね。

最後に、この大元「Caution Explosive」には謎があります。それはどの資料を見ても「ABC Song」の記載がない。


Discogsのデータにないのはもちろん
ゴドウィン本にすら記載なし

これらの記載が何を表しているかというと…

みんなコノLPを最後まで聞いていないままデータを書いてしまった 笑

ということになります。つまり「Caution Explosive」の現物を手に入れ、なおかつ最後まで聞いた人にしか真相が分からない「ABC Song」だったのでした。やれやれ


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