見出し画像

米中貿易戦争に関するたくさんの記事を見て思うこと

たくさんの数字が飛び交っている

米中貿易戦争が繰り広げられています。

新たな関税引き上げの発表や、統計数値が出るたびに、

多くの識者が様々な分析をして、更にたくさんの数字とともに、分析と今後の展望が発表されています。

米中貿易戦争に限らず、日々たくさんのニュースに触れている人にとって、一つ一つの記事をしっかり理解するのは簡単なことではありません。

概況を理解するまでで精一杯

ついつい、新聞やネットニュースに書いてあることを、何の疑問もなく受け取ってしまいがちです。

というより、状況を理解するのに精一杯(概況だけで精一杯)ということの方が多いかもしれません。

特に、貿易戦争のような複雑な話題の場合、様々な角度や指標を用いて分析、考察されるため、単純に結論や展望が見えてくるものではありません。

私自身、銀行員時代、金融事情や経済情勢について、日々新たな情報を他者から仕入れ、お客さんにお話しするということを繰り返していました。

自分の見解を持つのは難しい?

統計数字の把握や、識者の見解を理解するところまでに止まり、自分の中で問題や今後の展望を考えるということが圧倒的に少なかったように思います。

権威のある新聞に掲載される記事や、分析の専門家などの立場であれば、より広く状況を把握し、数値に裏付けされた根拠を示しつつ、分析を進めていくことが求められるでしょう。

当然、ほとんどの人にとって、方々の統計や数値、事実を集めて分析するだけの時間はありません。

専門家の分析した展望には、数字に裏付けされた説得力があります。

どうしてもそちらを頼ってしまいます。

事実の一部からでも見解構築は可能

一方、持っている情報が少ないから、自分の考えを構築してはいけないということはありません。

限られた自分の持っている情報の中から、自分なりに分析して、展望を考えてみる訓練も必要ではないかと思います。

事実、データや論理的根拠をたくさん持っている人の予想が当たるわけでも、知識をたくさん持っている人の言ったことが必ず正しいわけでもないことは、過去の事実が証明しています。

太平洋戦争当時、各国の経済規模や軍事力の分析など全くできていなかった、とある製造業従事者は、アメリカ製品の質と自社製品の質を比べて、敗戦を確信したという話があります。

「これだけの物を作る国に勝てるわけはない」という理由から出た結論ですが、結果としては当たっているわけです。

得た情報の中で考える習慣をつける

数値やデータを並べた考察は、客観性があり、説得力も増します。

多くの人に届ける情報であればそのような説得力は必要です。

しかし、自分の中で考えを構築するのであれば、断片的な事実だけで問題ないはずです。

大きな組織のトップが、組織の全てを把握しているわけではありません。

重要な情報は何か、長年の経験や直感で判断し、限られた情報の中で決断しています。

もちろん、トップの人は長年、情報から考え、決断するということを繰り返してきたからこそできることです。

日頃から、限られた時間で得た限られた情報から考えることをしなければ、いつまで経ってもニュースを見て事実に追いつくことしかできません。

始めは、根拠に乏しい考察であっても、今後の展望などを自分で考えてみることが必要ではないかと思います。

繰り返すうちに、そのうち必要な情報の種類がわかってきて、効率的に情報収拾もできるようになり、効率的に、説得力のある展望を描けるようになるのではないでしょうか。

米中問題のような複雑な問題でも、考えることは自由

限られた情報だけでも、展望することは可能です。

これから貿易戦争はどうなるのか?

元々、アメリカの対中輸入量の方が中国の対米輸入量よりも多いので、規制のかけ合いになれば、アメリカの方が有利で、中国は打つ手がなくなるという見解が一般的だったように思います。

今の所、両国とも、大ダメージは受けていないように見えます。

アメリカ国内でも、多くの物価が上がるかと思ったら、そうでもない、

11月はダウ平均が過去最高を更新する日がありました。

中国も失業者増加の問題や、製造業に大きなダメージが予想されていますが、第三四半期のGDP成長率は6.0%で、中国政府が年初設定した想定の範囲内です。

アメリカ、中国両国はそこまで深刻な状況ではないという印象です。

もっと言えば、中国は、報復関税以外にも打つ手はまだあります。

いざとなれば更なる為替操作(国際批判覚悟で)や、公共投資での調整、輸出先の変更などで、なりふりかまわず対策を取るでしょう。

また、国内の個人消費こそが中国の強みです。

まだまだ力強く伸びているので、国内消費を刺激することの効果も期待できそうです。

過去のアメリカに挑んだ、ロシア、日本、ドイツの事例も大変研究しています。全く勝機のない喧嘩はしないはずです。

よって、今後の交渉で、中国が一方的に折れるということは考えられず、

しばらく泥仕合が続き、両国および他国への影響が取り返しがつかなくなる前に、収束するのではないかと思います。

互いに疲弊した結果、漁夫の利を第3国に取られるのは避けたいはずです。

細かい輸入量や増減率、失業率などの数値を把握しているわけではありませんが、持っている情報だけでも一応は考えられます。

根拠や説得力には乏しいですが、考えて道筋にしてみることが大事です。

繰り返し考え、発信することの意義

このようなことを、大変上手に素早くできる人が世の中にはいます。

そのような人は、情報感度が高く、また博識なように映ります。

一部の知っている情報と他の分野の情報(過去に自分が考えて発信してきたこと)を組み合わせて、短時間で考えを構築することを習慣にしてきたのではないかと思います。

情報が溢れかえっている世の中だからこそ、自分で考えを構築することで、情報を取捨選択する能力も磨かれるのではないでしょうか。

以上、ここまで読んでいただきありがとうございました。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?