地底人との再会 その7”最後の言葉”
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地底人との再会 その7”最後の言葉”

禅問答のような、それでいて息苦しくなるような会話、その中で私は地底人の問いに対して何て答えたら良いのか判らず、その思いをそのまま吐き出すように「それでは、我々はいったい何をすれば良いのでしょう?」と聞き返すと、地底人はまた空を見上げながら「日本人は集団主義を好む人種である、と自他(日本や諸外国)共に認めているようですが、私たちの目から見れば日本人は個人主義の人の方が多いように感じます。それなのに集団主義に見えてしまうのは、意識的に大きなバイアスが掛けられているからだと思います。それも悪い意味での陰湿なバイアスが、です。

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他の民族にも似たようなバイアスは存在しますが、日本人に掛けられているバイアスと比較すれば、その密度には大きな開きがあります。だから自己主張がしやすく、受けているバイアスに日本人ほど素直に従うこともないのです」と言い、ここで一呼吸置いた後、過去を振り返るような口調でまた話し始めたのです。

「日本では個人の考えを押さえ込む形で、全体主義的な方向に向かわせようとする強いバイアスが存在しているように、我々は感じています。そのバイアスの代表的なモノの1つとして、我々が注目しているのが同調圧力です。

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ところが困ったことに、そのことに疑問を持つ方は意外に少なく、たとえ疑問を持ったにしても、それに逆らえば仲間外れとなることや、場合によっては生活が脅かされる可能性も否定できないので、敢えて逆らうようなことはせず、同調圧力に従っている方が多いように感じます」そう言ってため息をつきました。

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そして何かを振り払うかのように、でもゆっくりとした動作で首を左右に振り、少しの間を置いて「この同調圧力から日本人が解放されれば、日本人が持っている縄文人のDNAが目覚めることでしょう。それがきっかけとなって、たくさんあるバイアスからも徐々に解放されていき、それが引き金となって、世界中の人々の中に眠る縄文人のDNAが花開くように感じます。

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そうなれば地球規模での変革が起こり、その先には、あなた達が良く言う“お金の無い世界”が待ち受けているのかも知れません。ワクワクするでしょう?だから、そうなるように上手な舵取りをして欲しいのです」そう言って、どこか寂しそうな目をして私の顔をのぞき込むように顔を近づけて来ました。


そして少しして顔を離し、また遠く山の頂に視線を移しながら「少し話し過ぎましたね。我々の立ち位置は“人類の観察者”なので、基本的に人類に干渉するようなことはできませんが、それでも人類を見ていると歯がゆくなることがしばしあります。その思いの反動とあなたに会って話ができるのもこれが最後かと思うと、ついつい話を止められなくなりました」というので、思わず地底人の言葉を遮って「ちょっと待って、話ができるのも最後?って、どういう意味ですか?」と聞いていました。

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それに対して地底人は「寿命ですよ。私の年齢は67歳、平均寿命を10歳近く超えています。仮死状態を作る冷凍カプセルで延命していましたが、さすがにもう限界です。だから、もうすぐ私には死が訪れます。それなので、あなたに会うのもこれが最後ということです」

私はここで何と言うべきなのか分からず、沈黙を続けていると「そんなに気にしないでください。死は誰にでも平等に訪れるものです。それが早いのか?それとも遅いのか?の違いだけですよ。それに、あなたに会ったことで、けっこう楽しい人生になりましたよ。何度もあなたに会っているのですが、あなたは気が付いていないようでしたがね」と言い、続けて「そろそろお別れの時間ですね。こんな時は何て言えば良いのかわかりませんが、月並みに“さようなら”ですかね?」と地底人が言うので、思わず「歩いて帰るんですか?」と、トンチンカンなことを口走ってしまいました。

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そんな私に対して地底人は優しく「今日は円盤で帰ります。すぐ裏に止めてあるのですが、ホログラムが掛かっているので、光の加減で多少空間が歪んで見えることもありますが、それに気付く人はいないと思いますよ。それでは改めて“さようなら”」と言い残し、ごく僅かでしたが振動音がして、空間に溶け込むように姿を消し、その場の空間がわずかに陽炎のように歪むのを見ました。

その後、また元の静寂が黒髪山神社を包んだのです。

35年ぶりに再会した地底人のお話しはここで終わります。

が、まさかの展開に。。。

つづく


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生まれつき目に視えない世界が視え、生きづらく自殺を試みた少年時代。高野山の阿闍梨様に拾われ、14~25歳まで在家僧侶として加持祈祷の修行を積む。サラリーマン生活40年。退職後、慈空庵を開きお祓い・霊視相談・お話会等を行っている。長典男公式サイトhttps://jikuan.jp/