マガジンのカバー画像

葬式仏教の研究

24
葬式仏教という日本の仏教のあり方を通して、日本の仏教の仕組みをあきらかにします。 高邁な教えから見た仏教ではなく、普通の人が仏壇やお墓に手を合わせるという、人の営みとしての仏教… もっと読む
運営しているクリエイター

2020年7月の記事一覧

24 僧侶が弔いに関わってはいけない時代のお話し/日本の仏教が葬式仏教になった理由⑤

24 僧侶が弔いに関わってはいけない時代のお話し/日本の仏教が葬式仏教になった理由⑤

 鎌倉時代初期に活躍した鴨長明という僧侶がいる。『方丈記』という随筆を書いたことで有名であるが、その鴨長明が当時広まっていた仏教説話を集めて、『発心集』という説話集を編纂した。その中に、次のような話が収録されている。

 ある時、京都に住むある僧侶が、思うところがあって、坂本にある日吉神社に百日詣をしようと決心した。

 八十日目を過ぎて何日目かのことである。お参りから帰る途中、家の前で人目をはば

もっとみる
23 室町時代、なぜお寺が爆発的に増えたのか?/日本の仏教が葬式仏教になった理由④

23 室町時代、なぜお寺が爆発的に増えたのか?/日本の仏教が葬式仏教になった理由④

 室町時代、仏教が爆発的にひろまったことを前述したが、その一方でこの時代は、日本仏教史の中では、めぼしいトピックがほとんど無い時代である。

 鎌倉時代のように、その後の仏教に大きな影響を与えるような指導者も出ていないし、取り立て大きな事件も無い。

 前述の日本史の教科書『日本史B』を見ると、室町時代で触れられているのは、北山文化・東山文化と新仏教の発展の項目のみである。

 北山文化・東山文化

もっとみる