【第15話】戦争勃発
隆史(仮)と私。
手を繋ぐと無言になること数回。
徐々に慣れてきて、スイミングの帰りなんかはマンションの非常階段で座り込み話したりすることもあった。
手を繋いだままね!!
手を繋ぐだけね!!
ドキドキしながらも穏やかな時間は私にとって大切な時間だった。
家では落ち着けないから…
修羅ですよ、修羅。
嫁姑戦争勃発でね!!
小4が分かるくらいですよ。
以前の同居解消となった原因は、消火したように見えて枯れ葉の下で火種が燻っていたわけです。
私は、おじいちゃん&おばあちゃん子。
普段忙しく、あんまり話すこと無いオトン。
オカンは言うまでもなく嫌い。
過ぎた事とは言え、小学校入学後すぐの引っ越し等…恨み辛みは数知れず。
私が描いた絵から服を作ってくれるおばあちゃん。
野球や日曜大工が得意なおじいちゃん。
祖父母は私に親が教えてくれないことをたくさん教えてくれたと思う。
引っ越してきて無理矢理な二世帯同居でも、私は祖父母が大好きなので嬉しかった。
狭かったからかもしれんけど、最初は一緒に食べていた夕食がいつからか祖父母は別になっていた。
冷蔵庫は共有、鍋は別。
なんだか家のなかの空気が重い。
当時の私ですら気付くぐらいなので、当人同士はバチバチにやりあってたんやろう。
今なら分かるんですよ。
嫁姑なんて他人中の他人ですからね。
表向き仲良くても心の中では殴り合いとかザラですよ。
空気の重さに気付いた時には、もう開始のゴングは鳴っているわけで…
結婚当初の同居時はハイハイと言われるがままやり過ごしたオカンも、数年経てば腹も座り開戦待った無し。
当時の私には、おばあちゃんを虐めるオカンという図式にしか見えなかった。
決定的となったのは、ある日の日曜日。
めったに2階に上がらないはずのおばあちゃんが泣きながら階段を降りてきたのである。
玄関でカブトムシの世話をしていた私は驚いた。
私に気付いたおばあちゃんは泣き顔を見せないよう下を向きつつ自室へと入った。
泣き顔を見たのは、もちろん初めて。
何が起きたのか…
なんで泣いてるん?
慌てて2階に上がった時、オカンの顔を見てすぐに分かった。
原因はオカンか。
「おばあちゃん泣いてたで!?」
オカンに詰め寄った。
「あんたには関係ない」
お決まりの文句。
関係ないっていうなら、とことん隠せよ。
気付かせておいて関係ないとか馬鹿にするな。
それを皮切りに、子供に見せないように…なんて配慮も無くなっていった。
嫁姑戦争が開戦し、家のなかは…世紀末。
言い争ったり、愚痴のオンパレード。
大好きなおばあちゃんを泣かせやがってクソババア。
こう思うのも当然の流れだった。
心の拠り所は隆史の横。
安心出来る場所は手を繋いでる隆史の横。
たった数分、数十分でも。
このあと数年間、戦争は続く。
鎮圧も制圧も不可能となり、また家族をバラバラにするまで2年と少し。
せっかく落ち着いた心が、また闇深くなるのも間近だった。
思い返すと…
人生で一番、純粋に掛け値なく人を好きやったのは小4の非常階段にいた…あの時やったと思うんよね。
良い想い出とは裏腹に…居心地の良さや安心感の沼にハマり過ぎて結果的に男無しでいられなくなったハジマリのような気もするけど…。
心の隅っこから黒いモヤモヤが滲んで来てるよ、周りを固められて逃げられへんよ?
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読んで頂きありがとうございました!
またエンジンの消耗部品がお逝きになったよぅ(;´Д⊂)
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