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10/25 ニュースなスペイン語 Biblioburro:ロバ文庫

今回はスペインではなく、コロンビアについて。

biblioはギリシア語語源で「本」を意味する。「聖書(Biblia)」もこの語由来だし、「図書館(biblioteca)」も同様だ。一方、burroは「ロバ」という意味だ。biblioburroー。そんな意外なふたつの語を組み合わせた造語だが、当然、辞書には載っていないので、とりあえず「ロバ文庫」と訳を付けておいた。

ルイス・ソリアノ(Luis Soriano)はロバ文庫の「先生(maestro)」だ。雌ロバ(burra)の「アルファ(Alfa)」と雄ロバの「ベータ(Beta)」の背中に本を載せ、週2回、コロンビアのグロリア地区(Gloria)まで通う。コーヒー豆の生育で生計を立てている(cafetero)グロリア地区のこどもたちに、「いろは(「アルファベット(=アルファ+ベータ)」を教えるためのこの活動は、今年で25年近く続いている。

往復8時間もかかる道のりを週2回。

年々、ロバに乗っての長い移動はこたえる。ソリアノがもうできなくなった時、彼を引き継ぐ者がいないのが心配の種だ(Los años ya le pesan para hacer estos largos recorridos en burro y teme que cuando él no pueda más no haya nadie que lo releve)。

ソリアノは言う。

ロバ文庫は現在のところ、利用者さんの愛によって支えられている。このプロジェクトは、しかし、いかなる資金援助も受けていない。原動力はこどもたちの感謝と笑顔だ(La biblioteca se mantiene en el tiempo por el amor de los usuarios. Este proyecto no tiene ningún tipo de financiación. La economía que tiene es el agradecimiento y la sonrisa de los niños)

「利他主義(altruismo)」と「気前の良さ(generosidad)」ー。スペイン人を特徴づけることばだが、コロンビアにも、これらのことばにふさわしい人が見つかった。

写真は「ロバ文庫」のソリアノと後につづく子供たち。「あっ、来たよ!(Ya viene)」とロバ文庫が見えると子供たちが駆け寄ってくるそうだ。