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3/25 ニュースなスペイン語 AVLO:低価格高速鉄道

スペイン国営鉄道(REd Nacional de Ferrocarriles Españoles)は24日、「AVLO(Alta Velocidad LOw cost:低価格高速鉄道)」の試験運転(viaje de prueba)をマドリードーバルセロナ間で実施した。所要時間は2時間30分でほぼ、東京ー大阪間と同じだ。当初は昨年の4月6日に試験運転を実施する予定だったが、コロナ禍の影響で延期することが決まっていた。

スペイン国鉄社長イサイアス・タボアス(Isaías Tabóas)は記者会見で、AVLOの定期運行を6月23日としたが、コロナの状況か改善すれば、前倒しするとの見解を示した。1日4本の運行(cuatro circulaciones diarias)を目指す。

AVLOの最大の特長はその名の通り、低価格であること。従来の「AVE(Alta Velocidad Española:スペイン高速鉄道)」と比べると、平均で60%ほどのコストカットを実現し、価格は7ユーロ(約899円)。しかも14歳以下は5ユーロ(約642円)。昨年12月11日までに先行販売では、20万枚のチケットが売れ、1月に実施したキャンペーンでは、5ユーロの4万枚のチケットがわずか1時間で完売した。

ビジネスクラス(clase preferente)はなく、全席ビジネスクラス(clase turista)となる。座席数もAVEと比べ、20%ほど増え、438席となった。全席コンセント(enchufe)装備、全車両Wifi完備。スーツケースと手荷物1つまでは無料で持ち込み可能だが、これ以外の荷物を持ち込む場合、1つにつき10ユーロ(約1284円)の追加料金が発生する。また、座席の指定、チケットの変更やキャンセルにも5ユーロを支払わなければならない。カフェテリアはないが、自動販売機はあるらしい。

目下、最大のライバル(gran competidor)と目されているのが、フランス国鉄(SNCF)が同時運行する高速列車「OUIGO」だ。こちらは5月10日の運行開始を表明している。ABLOと同じマドリードーバルセロナ区間を9ユーロ(約1156円)で運行する。当初ABLOも同区間を9ユーロの予定だったが、急きょ、2ユーロ引き下げた経緯があることから、ライバル心を隠し切れない様子。

スペイン国鉄は、現在、5機の112系(serie112)がAVLO仕様に変更しているが、さらに座席数の多い106系の導入も検討している(AVRIL)。こちらは、581座席を設置する予定。

コロナ禍に打ち勝つ施策となるか?

写真はABLO。